2026年7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源とする地震が発生しました(マグニチュード7.1、宇城市と氷川町で震度7)。
被災された農家のみなさまに、今すぐやることと現時点で確定している支援を整理しました。

⚠️ この記事は2026年8月10日時点の公式発表にもとづきます。
8月7日に激甚災害への指定が決まりました(詳細は下記)。
県・市町村の上乗せ補助と天災融資法の発動はまだ決まっていません。
決まっていないことは「未定」と書いています。
最新情報は必ず窓口でご確認ください。

まず、今すぐやること3つ

1. 片付ける前に写真を撮る(これが最重要)

壊れたハウス、倒れた機械、亀裂の入った農地、崩れた石垣。
撤去する前に必ず写真を撮ってください。片付けてしまうと被害を証明できず、あとで支援の対象外になることがあります。

  • 全体が写る引きの写真と、壊れた部分の近景の両方を撮る
  • 日付が分かる形で(スマホなら撮影日時が自動で記録されます)
  • 同じ場所を複数の角度から。
    枚数は多いほうが安心です
  • 応急処置で先に土砂をどけるときも、着手前の写真を残す
💡 これは費用ゼロで、いちばん効く行動です。
補助金の可否が写真1枚で変わることが実際にあります。

2. 市町村に被害を届け出て、罹災証明書を申請する

罹災証明書〔=災害で被害を受けたことを市町村が公的に証明する書類〕(または被害証明書)は、災害支援のほぼすべての入口になります。
農地・ハウスの被害は市町村の農政担当へ、住宅の被害は税務・防災担当へ届け出ます。
申請は無料です。

※自治体によっては「り災証明書」と平仮名で書かれています。
同じものです(「罹」が常用漢字にないため、表記が分かれています)。

💡 災害救助法が適用された21市町村(2026年7月28日適用)
市:熊本市/八代市/水俣市/山鹿市/菊池市/宇土市/上天草市/宇城市/天草市/合志市
町:美里町/大津町/菊陽町/御船町/嘉島町/益城町/甲佐町/氷川町/芦北町/津奈木町
村:西原村

この21市町村に入っていなくても、被害があれば罹災証明書は発行されます。適用地域外でも使える制度はあります。
「うちは入っていないから」と諦めず、まず市町村の窓口に相談してください。

3. 県の相談窓口に電話する

熊本県が7月29日に窓口を設置しました。
「何が使えるか分からない」という状態で電話して大丈夫です。制度を選ぶのは窓口の仕事です。

熊本県の相談窓口(2026年7月29日設置)

営農のこと(栽培・家畜・農地の復旧)

受付は平日9時00分〜17時00分です。
お住まいの地域の窓口へどうぞ。

地域窓口電話
県央県央広域本部 農業普及・振興課096-333-2776
宇城宇城地域振興局 農業普及・振興課0964-32-0351
上益城上益城地域振興局 農業普及・振興課096-282-3010
県北県北広域本部 農業普及・振興課0968-25-4207
玉名玉名地域振興局 農業普及・振興課0968-74-2135
鹿本鹿本地域振興局 農業普及・振興課0968-44-2118
阿蘇阿蘇地域振興局 農業普及・振興課0967-22-0622
県南県南広域本部 農業普及・振興課0965-33-3418
芦北芦北地域振興局 農業普及・振興課0966-82-5194
球磨球磨地域振興局 農業普及・振興課0966-24-4117
天草天草広域本部 農業普及・振興課0969-22-4256

お金のこと(融資・返済の相談)

熊本県農林水産部団体支援課金融班:096-333-2371(平日8時30分〜17時15分)。
既に借りているお金の返済を待ってもらう相談もできます。

融資そのものは、日本政策金融公庫に特別相談窓口が開いています。
下の「農林漁業セーフティネット資金」「農林漁業施設資金」を扱う窓口です。

日本政策金融公庫熊本支店農林水産事業:096-353-3104(平日9時00分〜17時00分)。

国の制度全般については、農林水産省大臣官房地方課災害総合対策室:03-6744-0578。

返済を待ってもらえる可能性があります。農林水産省は7月29日に「被害農林漁業者等に対する資金の円滑な融通及び既往債務の償還猶予等について」を出しており、すでに借りているお金の返済猶予・条件変更が制度として用意されています。
公庫・銀行・JAなど、借りている先に相談してください。
返せないかもしれないと黙っているのが、いちばん危険です。

加工・直売もされている方へ

経済産業省・中小企業庁も7月29日に支援措置を発表しています。
セーフティネット保証4号(一般枠とは別枠で借入の100%を保証=金融機関が貸しやすくなる)、災害復旧貸付、既往債務の条件変更、小規模企業共済の災害時貸付などです。

農業だけを営んでいる場合に対象になるかは事業の形態によって変わります。
商工会・商工会議所か熊本県信用保証協会に「自分は対象か」を確認してください。
加工・直売・観光農園をされている方は、対象になる可能性が高いです。

いま使える支援(2026年8月10日時点で確定しているもの)

制度対象内容
農地・農業用施設等災害復旧事業農地、用排水路・ため池・農道国が復旧費の一部を補助。8月7日の激甚指定で補助率が86%→97%に引き上げ
農林水産業共同利用施設災害復旧事業JAの選果場・倉庫など共同利用施設国が復旧費の一部を補助
農林漁業セーフティネット資金経営の維持(運転資金)融資・上限600万円ほか
農林漁業施設資金農舎・畜舎・農機具の復旧、果樹の改植融資・負担額の80%など
被災者生活再建支援金住宅の被害基礎+加算で最大300万円
農業共済・収入保険(NOSAI)加入している作物・施設・機械・収入損害に応じた支払い。まずここを確認

それぞれの詳しい条件はみのり補助金ナビで「災害・復旧」のカテゴリを選ぶと一覧で確認できます。

【8月7日決定】激甚災害に指定されました

発災から10日後の2026年8月7日、政府は持ち回り閣議で今回の地震を激甚災害に指定する政令を決定し、同日公布・施行しました。
全国を対象とする「本激」としての指定です。

いちばん大きいのは、農地・農業用施設の復旧にかかる国の補助率が上がったことです。

対象通常嵩上げ後
農地の災害復旧事業86%97%
農業用施設・林道の災害復旧事業86%97%
農林水産業共同利用施設(農協の倉庫等)20%50%(農林水産大臣が告示した市町村は90%)

⚠️ 農地・農業用施設の数字(86%→97%)は過去5か年の実績の平均として国が示しているものです。
実際の補助率は事業ごとの査定で決まるため、この率がそのまま保証されるわけではありません。

⚠️ そしていちばん大事な注意点です。
この補助率は市町村などが行う災害復旧事業に対して国が出す割合であって、農家が申請して直接受け取るお金ではありません。
自分の農地を復旧してもらうには、まず市町村に被害を届け出て、復旧事業の対象に入れてもらう必要があります。届け出ていない被害は、そもそも事業に載りません。

あわせて金融の支援措置も決まりました(同じく8月7日)

農林水産省は同じ日に、被災した農業者向けの金融支援措置を発表しています。

  • 災害関連資金の実質無担保・無保証人化、および貸付当初5年間の金利負担軽減(2%)
  • 農業近代化資金=債務保証料を引受当初5年間免除、実質無担保・無保証人での債務保証引受け
  • 農林漁業セーフティネット資金・農林漁業施設資金の貸付限度額の引上げ
💡 すでに公庫へ相談している方も、もう一度確認する価値があります。8月7日より前に条件を聞いていた場合、金利や保証の条件が変わっている可能性があります。
問い合わせ先は日本政策金融公庫熊本支店農林水産事業096-353-3104(上記「お金のこと」の窓口)、または農林水産省経営局金融調整課03-3501-3726です。

停電・断水が続いているときにできること

地震のあとは電気と水が止まります。
農業では、これが被害を二次的に広げます。

  • ハウス——換気やかん水の制御が止まり、晴れれば数時間で作物が傷みます
  • 畜産——搾乳、給水、換気扇が止まると家畜の命に直結します
  • 保冷——収穫物や種苗の温度管理ができなくなります

まずは手動での換気・給水に切り替え、優先順位(家畜 → 苗 → 収穫物)を決めてください。
復旧の見込みが立たない場合は、JAや県の営農相談窓口に電話して、近隣の発電機の貸し借りや保冷施設の空きを聞くのがいちばん早いです。

断水すると、水は飲用と家畜が優先になります。
そのあとに必ず問題になるのがトイレです。
避難所に入れず車中泊や自宅避難をしている農家ほど、ここで困ります。

  • 断水中は水を流さない。配管が壊れていると汚水が逆流したり、床下に漏れることがあります
  • 便器に大きめのポリ袋を二重にかぶせ、新聞紙や高吸水性ポリマー〔=紙おむつなどに使われる、水を吸って固める粉〕で固めて可燃ごみとして処理する(市町村の指示に従ってください)
  • 猫砂やペットシーツでも代用できます

まだ決まっていないこと(いつ分かるか)

ここは正直に書きます。
下記はまだ決まっていません。決まっていないものを「もらえる」と書いている情報には注意してください。

まだ決まっていないこと決まると何が変わるか分かる時期の目安
熊本県・市町村の上乗せ補助ハウス・機械の再建で自己負担がさらに下がる可能性県議会・市町村議会の補正予算のあと
天災融資法にもとづく資金種苗・肥料・飼料などの資金を低利で借りられる被害額がまとまり、政令で指定されたあと
💡 決まるのを待つ必要はありません。写真の撮影・罹災証明書の申請・窓口への相談は、いま進めておくほど後が楽になります。
制度が決まったときに「写真がない」だけで対象外になるのが、いちばん惜しいパターンです。

お金を受け取る順番

  1. 共済・収入保険——加入していれば最初に確認。
    損害評価前でも一部を先に受け取れる場合があります(NOSAIへ連絡)
  2. 補助金——災害復旧事業や、今後決まる上乗せ補助。
    返済不要ですが後払いです
  3. 融資——それでも足りない分をつなぐ。
    返済が必要なので最後

補助金は工事のあとに支払われる(精算払い〔=先に自分で払って、あとで補助金が振り込まれる仕組み〕)のが基本です。
手元の資金が足りない期間を融資でつなぐ、という組み立てになります。

まとめ

  • 片付ける前に写真を撮る。費用ゼロでいちばん効きます
  • 市町村へ被害を届け出て、罹災証明書を申請する
  • 県の営農相談窓口(地域別・平日9〜17時)と金融相談窓口096-333-2371へ電話する
  • 農業の支援と住宅の支援は別。
    両方確認する
  • 激甚指定は8月7日に決定(農地の復旧が86%→97%)。ただし市町村の復旧事業に載らないと使えないので、被害の届け出を先に
  • 上乗せ補助・天災資金はまだ未定。
    待たずに準備を進める
  • 受け取る順番は共済 → 補助金 → 融資

みのり補助金ナビでは「災害・復旧」カテゴリで、いま使える制度の条件・必要書類・申請手順を確認できます。
ハウスの補助金まとめもあわせてご覧ください。