収入保険は「入っておいたほうがいいのは分かるが、掛金が重い」と言われる制度です。
価格の下落も、災害も、病気やケガで働けなくなった場合もまとめて見てくれる代わりに、毎年の掛金が経営に効いてきます。

あまり知られていませんが、この掛金を市町村が半分出してくれることがあります。当サイトに掲載している9件を調べたところ、補助率は1/3〜1/2、上限は2万円から20万円まで10倍の開きありました。
しかも多くは1回限りで、締切は2月下旬に集中しています。
知らないまま加入すると、使えたはずの補助を取り逃します。

① 掛金を補助する自治体(掲載9件)

上限額の大きい順に並べました。
⚠️は申請前に必ず確認しておきたい条件です。

自治体補助率上限注意点
埼玉県 深谷市1/2以内20万円⭐掲載中で最大。⚠️申請窓口は市ではなく埼玉県農業共済組合
宮崎県 川南町1/220万円⚠️公式ページが削除済み。令和6年度で終了した可能性があり町へ要確認
高知県 香美市1/2以内10万円1,000円単位。その年度の1月1日時点の加入状況で判定
香川県 丸亀市1/2以内10万円⚠️対象は新規加入者のみ
埼玉県 本庄市1/2以内5万円掛捨て部分が対象。100円未満切り捨て。⚠️1回限り
石川県 羽咋市定額年4万円(その他の農業者は年2万円)⭐加入初年度から3年間続く。認定農業者なら通算12万円
岐阜県 海津市定額2万円⚠️保険料が5万円以上になる人が対象。新規加入の年のみ
青森県 八戸市1/3要確認保険料・事務費の加入者負担分が対象。⚠️1農業者1回限り
和歌山県 橋本市1/3要確認⭐果樹共済の掛金も同じ1/3で対象。果樹農家はどちらでも使える

このほか、福島県南相馬市の「園芸作物等どんどん拡大支援事業」には収入保険の掛金を2/3補助するメニュー含まれています。
単独の掛金補助ではなく園芸の作付拡大とセットの制度ですが、補助率だけを見れば掲載中で最も高いのがこの2/3です。

② 補助率だけで選ぶと間違える

この表でいちばん大事なのは、補助率と上限をセットで見ることです。
とえば掛金が年20万円かかる経営で比べると、こうなります。

制度計算実際に戻る額
深谷市(1/2・上限20万円)20万円 × 1/2 = 10万円(上限内)10万円
本庄市(1/2・上限5万円)20万円 × 1/2 = 10万円 → 上限で頭打ち5万円
橋本市(1/3・上限は要確認)20万円 × 1/3 = 約6.6万円約6.6万円(上限次第)

補助率が同じ1/2でも、上限のせいで戻る額は倍違います。逆に補助率が1/3でも上限が高ければ、1/2で上限の低い制度を上回ることがあります。
自分の掛金がいくらになるかを先に出してから、どちらが得か計算してください。

③ 見落としやすい3つの落とし穴

1. ほとんどが「1回限り」

本庄市と八戸市は要綱に1回限り明記され、海津市は新規加入の年のみ丸亀市は新規加入者対象です。
収入保険は入り続けてこそ意味がある制度なのに、補助は入口だけ、という設計が主流です。

例外が石川県羽咋市で、加入初年度から3年間続きます。
認定農業者は年4万円なので通算12万円。
上限額だけ見ると深谷市の20万円に負けますが、「続く」という点では掲載中でいちばん手厚い設計です。

2. 締切が2月下旬に集中している

収入保険の保険期間は1月から12月です。
保険料が確定するのが年度の終わりごろなので、補助金の締切も2月下旬寄ります。
本庄市は例年2月最終週の金曜、深谷市は令和8年度分が令和9年2月26日まで。

⚠️深谷市は予算を超える申請があると、期限前でも締め切られます。「2月まであるから」と構えていると、1月の時点で終わっていることがあります。

3. 小さすぎると対象外になることがある

岐阜県海津市は保険料が5万円以上になる人が対象です。
補助制度は「小規模なほど手厚い」と思われがちですが、この制度は逆で、掛金が一定以上の規模でないと使えません。自分の掛金の見込みを農業共済組合(NOSAI)に出してもらってから、対象になるかを市に確認してください。

④ 申請の前に知っておくこと

青色申告が入口

収入保険は青色申告の実績がある農業者対象です。
白色申告のままでは、掛金の補助以前に保険そのものに入れません。
「掛金を補助してもらえるなら入ろうか」と考えたなら、先に青色申告へ切り替えるのが最初の一歩なります。

青色申告には複式簿記による記帳が必要ですが、いまはクラウド会計ソフトで通帳やレシートを取り込めば、帳簿と申告書がそのまま作れます。
会計ソフトの導入費に使える補助金あるので、あわせて確認してみてください。

ナラシ対策とは選べません

収入保険と、ナラシ対策(米・畑作物の収入減少影響緩和交付金)や野菜価格安定制度などの類似制度は選択制で、両方に入ることはできません。

おおまかには、米・麦・大豆が中心ならナラシ品目が多い・新しい作物に挑戦する・直販が中心なら収入保険向きます。
収入保険は品目を問わず「その経営の売上そのもの」を見るので、ナラシの対象にならない野菜や果樹をつくっている人ほど価値があります。
どちらが有利かは経営の中身しだいなので、加入前にNOSAIで試算してもらうのが確実です。

申請窓口が市役所とは限らない

⚠️深谷市の奨励金は、申請窓口が市ではなく埼玉県農業共済組合です。収入保険の加入手続きと一括で扱われるため、市役所の農政課に行っても手続きできません。
自治体のページに「窓口」がどう書かれているかを必ず読んでください。

⑤ 自分の地域に制度があるか調べる

掛金補助はここに挙げた9市町だけとは限りません。
市の「農業振興関係の補助金一覧」に紛れていることが多く、単独のページを持たない自治体もあります。丸亀市の制度も、一覧PDFの中に「農業収入安定化支援対策事業補助金」という名前で載っていて、ページ名からは収入保険の補助だと分かりませんでした。

探すときは◯◯市収入保険補助」だけでなく、◯◯市農業補助金一覧」でも調べてみてください。
お住まいの地域の制度はみのり補助金ナビ県を選ぶと一覧になります。
「収入保険」で検索すると、掛金補助の制度がまとめて出てきます。

⚠️ 金額・要件・締切は年度で変わります。
とくに川南町の制度は公式ページが削除されており、令和6年度で終了した可能性があります。
申請の前に必ず自治体の窓口で最新の内容を確認してください。