高知県の農業補助金には、はっきりした特徴が2つあります。

1つは、「貸す側・譲る側」にお金を出す制度があること。
ハウスと農地を貸した所有者に10アールあたり10万円中古ハウスを譲ると1棟10万円
新規就農者を増やすには、まず出し手を動かす必要があるいう設計です。

もう1つは、借りる側の固定費も下げていること。
農地の賃借料を5年間半額する制度があり、入口と出口の両方から流動化を狙っています。

この記事では掲載21件を市町別に金額つきで整理します。
一覧で見たい方は高知県の補助金一覧からどうぞ。

高知の内訳

出し手件数性格
安芸市6件⭐ユズ特化+ハウス・農地の流動化
高知県6件⚠️ハウスは市町村が上乗せして決まる
香美市4件⭐貸す側に奨励金/シカ柵は5/6
四万十町2件⭐機械500万円+農地の賃借料
土佐町・越知町・高知市各1件55歳以下/30〜60歳未満/⭐ドローン2/3
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
高知県には34の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

⭐⭐高知の芯:出し手にお金を払う

新規就農でいちばん詰まるのは、農地とハウスが見つからないことです。
高知はそこを「借りたい人」ではなく「持っている人」に払うことで動かそうとしています。
3つあります。

制度誰がもらうか金額
香美市 サポートハウス応援奨励金ハウスと農地を貸す所有者Ap型10万円/10a・パイプ等5万円/10a
安芸市 中古ハウス流動化区分ハウスを譲る/貸す人譲渡1棟10万円・貸付1棟5万円
高知県 トライアル就農制度受け入れる農業法人1人あたり10万円

就農する側から見ると、これは「貸し手に伝える材料」になります。「貸してくれたら市から奨励金が出ますよ」と言えるかどうかで、話の通りやすさが変わります。

⚠️ 香美市は契約期間が5年以上あること、ハウスと農地の所有者が同一でセットで貸すこと農業委員会の承認を受けた契約であることが条件です。
ハウスは使用可能な状態、または修繕すれば使える状態であることも必要。
⚠️安芸市はおおむね10アール以上の園芸用ハウス対象で、相手方が安芸市在住の新規就農者であることが条件です。

借りる側にも、毎年の固定費への補助があります。安芸市 新規就農者農地確保等事業農地の賃借料の50%以内を最大5年間(⚠️認定新規就農者・安芸市在住が条件。
定額の上限はなし)。
四万十町 新規就農者農地等確保支援事業賃借料の1/2以内です(⚠️第三者から3年以上の賃借。
前年度に町の新規就農者確保推進事業で採択されていることが前提)。

空きハウスや空き家を引き継ぐ形になると、前の持ち主の道具や家財が残っていることがあります
処分費を払って捨てる前に、値がつくものが混じっていないか見ておくと、就農初期の出費を少し抑えられます。

安芸市(6件):ユズに絞って厚く出す

安芸市はナス・ピーマンなどの施設園芸とユズが主力です。
ユズ関係だけで3件あります。

  • ⭐⭐ゆず振興対策事業費補助金苗木代が10/10(全額)
    上限は10アールあたり10万円、苗木1本あたり1,000円以内。
    ✅新植だけでなく改植・補植も対象。
    果樹の苗木補助は1/3〜1/2が一般的なので突出しています
  • 柚子栽培設備等導入費補助金新規就農・規模拡大は2/3更新等は1/2(上限100万円)。
    動力噴霧機・自走式草刈機・木材破砕機・運搬機などが対象。
    JAの柚子部会員でなくても、ユズを出荷販売していれば対象です
  • 柚子園地整備等原材料支給事業=⚠️お金ではなく資材の現物支給です。
    生コンクリート10立方メートル、その他資材30万円まで。
    「作業場所の改善や駐車スペースの確保」が対象=園地に至るまでの環境整備に使える珍しい制度です
🔴 ゆず振興対策は必ず定植の「前」に交付決定受けてください。
植えてからでは対象外です。
事業完了後5年以上のゆず栽培継続が見込まれること、ゆずを生業として出荷販売していること(自家用は対象外)も条件です。
⚠️原材料支給は受付が例年5月の3週間ほどだけ(令和8年度は5月7日〜5月29日)。
この時期を逃すと1年待ちになります。

安芸市の残る3件は就農の受け皿です。
農業大学校学費補助15歳から64歳まで対象で、県立農業大学校の在学2年間の授業料が最大1/2(⚠️卒業後に安芸市に居住して就農することが条件。
国の準備資金を受けている人は対象外)。
ほかに前述の中古ハウス流動化農地確保等事業あります。

香美市(4件):シカ柵は5/6、狩猟免許は8万円

香美市 防護柵の設置補助金シカ用が5/6以内・上限40万円
自己負担が6分の1で済む計算で、全国的にも高い補助率です。

  • シカ以外(イノシシ・サルなど)=農業者団体3/4以内・上限50万円/個人2/3以内・上限10万円
  • 被害が出てからの緊急対応=1/2以内・上限5万円
  • ⚠️シカ用の柵は高さ150cm以上、電気柵は4段以上いう基準があります
  • ⚠️対象経費は資材の購入費のみ。
    設置の工賃は自己負担です

香美市 狩猟免許取得補助金銃猟が上限8万円(射撃訓練費・診断書・初心者講習・免許登録手数料まで)、わな猟は上限1万2千円。
⚠️高知県猟友会と香美市猟友会に加入し、3年間の有害鳥獣捕獲に従事することを誓約する必要があります。

🔴 香美市の柵・免許はどちらも交付決定の前に払った費用は対象外です。
資材を買う前、免許の手続きを始める前に農林課へ申請してください。

香美市 収入保険制度支援対策事業保険料の1/2以内・上限10万円。
申請は高知県農業共済組合を代理人として行うので、農家側の手続きが軽く済みます(⚠️青色申告が前提・1月1日時点で加入していること)。

県の6件:ハウスは「市町村がいくら乗せるか」で決まる

🔴高知県 園芸用ハウス整備事業費補助金県の交付先が市町村で、市町村が上乗せする仕組みです。
区分で県の補助率が変わります。

  • 研修のみ=新設1/2以内・中古2/5以内/研修のれん分け=新設も中古も2/5以内
  • 新規就農区分=2/5以内/高度化区分=1/3以内/流動化区分=1/4以内
  • ✅流動化区分でも、受益者が新規就農区分に当たる場合は2/5以内に上がります
  • 中古ハウスの改良も対象
    初期投資を抑えたい人向けです

安芸市は市の上乗せで新規就農区分が合計80%対象経費の限度額を10アール当たり一般ハウス800万円・軒高/高強度ハウス1,100万円と公表しています(=安芸市の新規就農者なら最大640万円/10a)。
⚠️受け取れる額はお住まいの市町村次第なので、まず市町村の窓口へ。

園芸用ハウス等リノベーション事業費補助金既存ハウス向けで、補強・被覆資材の高度化が1/3以内、環境制御装置・内部設備の導入は1/2以内(データ駆動型農業=IoPに必要な設備も対象)。

就農支援は3本立てです。

  • 新規参入者支援事業=国の就農準備資金への上乗せで月2.5万円(⭐申請時34歳以下ならさらに月2.5万円加算で月5万円)。
    🔴研修終了後1年以内に就農しないと全額返還、研修期間の1.5倍または2年の就農継続が必要
  • 後継者就農促進事業国の資金を受けられない後継者の受け皿
    研修は月10万円(地域の研修機関なら7.5万円)、経営開始支援は月10万円を最長2年・夫婦の共同経営なら1.5倍の年180万円(⚠️3親等以内の親族の経営を継承して経営主になること・原則49歳以下)
  • 中山間地域就農支援事業=⭐65歳未満対象。
    資材・機械の購入、施設整備、修繕が対象で県1/2以内+市町村1/4以上。
    ⚠️補助率・上限の詳しい要綱は県サイトで公開されていないため窓口で確認が必要です

四万十町・土佐町・越知町・高知市

四万十町 新規就農者確保推進事業機械・施設が1/2以内個人通算で500万円まで。
町単独としては全国的にも高い水準です(⚠️軽トラック・運搬車など汎用性の高いものは対象外になる場合あり)。

土佐町 新規就農定着支援事業55歳以下対象。
生活支援が 1年目月5万円→2年目月4万円→3年目月3万円(3年で最大144万円)、機械購入50万円、中古ハウス改修が1/2・上限100万円(⚠️法人等に常雇いされた就農者は対象外=独立・自営が前提)。

越知町 ふるさと就農支援給付金就農時30歳以上60歳未満年72万円(月6万円)。
国の経営開始資金で外れた50代も申請できます。
⚠️給付期間は資料により「最長1年」「最長2年」と記載差があるため、必ず産業課へ確認してください。
農業と他部門の複合経営(半農半X型)を想定した設計です。

高知市 スマート農業推進事業費補助金ドローン・草刈機が2/3・1台300万円市町村では最高水準ですが、条件が重い制度です。

⚠️ ドローンは導入3年後以降の防除面積が1台あたり10ヘクタール以上水稲だけでなく高収益作物の防除も実施すること。
農業経営体が申請する場合はさらに2戸以上の他の経営体の防除作業を受託することが求められます。
⚠️草刈機は導入翌年度以降、年間15日以上の使用が必要。
⚠️申請時に費用対効果の算定書で見込みの値が1.0以上になること、地域計画・目標地図への位置づけ、県税・市税の完納も条件です。

高知で申請するときの注意点

  1. 🔴ハウスは市町村に聞く。県の補助率だけ見ても実際の額は分かりません。
    市町村がいくら上乗せするかで決まります
  2. 🔴買う前・植える前・契約前に申請する。安芸市のユズ苗は定植前、香美市の柵と免許は交付決定前、安芸市・四万十町の農地賃借は契約前です
  3. 受付が短い制度がある。安芸市の原材料支給は例年5月の3週間だけ(令和8年度は5月7日〜29日)
  4. 返還条件を先に見る。県の新規参入者支援は研修後1年以内に就農しないと全額返還、後継者就農促進事業も交付期間と同じ期間の経営継続が必要です
  5. 貸し手・受入側の制度は「相手に伝える」もの。香美市のサポートハウスも安芸市の流動化区分も、お金を受け取るのは所有者側です

まとめ:高知は「借りる」を軸に探す

  • ハウスを借りたい=香美市・安芸市の制度を貸し手に伝える/県のハウス整備は中古の改良も対象
  • 農地の地代を下げたい=安芸市(5年間半額)/四万十町(1/2)
  • 50代・60代で就農する=越知町(30〜60歳未満・年72万円)/土佐町(55歳以下)/県の中山間(65歳未満)/安芸市の学費補助(64歳まで)
  • 親元を継ぐ=県の後継者就農促進事業(月10万円×2年・夫婦なら年180万円)
  • ユズを植える=安芸市(苗木代が全額・設備2/3・資材の現物支給)
  • シカが出る=香美市(柵5/6・上限40万円/狩猟免許は銃猟8万円)
  • ドローンを入れる=高知市(2/3・300万円。
    ⚠️受託や面積の条件が重い)

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