福島県の農業補助金18件のうち、6件がスマート農業・自動操舵の制度でした。
県内の主要な市がそれぞれ自前の制度を持っている、という状態です。

ところが、並べてみると様子がおかしいことに気づきます。

補助率が2/3から3/10まで、2倍以上ひらいている。そのうえ「何が対象か」の縛りが、市ごとにまったく別の考え方なっています。
ある市は農林水産省のカタログに載っているかで判定し、別の市は市が建てたGNSS基地局を使うか判定します。

つまり福島では、同じ自動操舵システムを買っても、住んでいる市によって補助率も、通る・通らないも変わります。機種を決める前に、自分の市がどちらの縛りなのかを確かめる必要があります。

この記事では掲載18件を市町村別に金額つきで整理します。
一覧で見たい方は福島県の補助金一覧からどうぞ。

福島の内訳

出し手件数性格
いわき市・須賀川市各3件⭐スマート2/3・300万/⭐45歳以上の継承/⭐災害修繕を常設化
南相馬市・会津若松市・郡山市各2件⭐GNSS基地局が条件/⚠️カタログ掲載のみ/⭐ブランディングに50万円
福島県2件⭐新品目・新技術に定額300万円/収入保険1/3
福島市・伊達市・喜多方市・二本松市各1件⭐2機種連携で200万/⭐スマートだけ50%/⭐集落なら12倍
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
福島県には59の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

🥇スマート農機は「どの市か」で条件がまるで違う

まず一覧にします。
補助率だけでなく、右端の「縛り」を見てください。ここが市ごとに別物であることが、福島でいちばん大事な点です。

補助率・上限何が縛りか
いわき市2/3・300万円ブランド戦略プランの重点作物。⚠️4月末締切
南相馬市2/3・150万円(リース含む)🔴市のGNSS基地局の補正情報を使うこと
福島市1/2・200万円(拡大枠)2機種以上を連携させること(一般枠は80万円)
伊達市50%・125万円⚠️農水省スマート農業技術カタログ掲載かつ50万円以上
会津若松市3/10・100万円⚠️農水省『農業新技術 製品・サービス集』掲載機器のみ

いちばん高い2/3といちばん低い3/10では、自己負担が2倍以上変わります。300万円の自動操舵システムなら、いわき市で100万円の自己負担、会津若松市では210万円です。

🔴南相馬市=機種ではなく「市の基地局」に紐づく

南相馬市 スマート農業技術導入促進事業自動操舵システム等が初回2/3・上限150万円(リース含む)農業用ドローンが1/2・上限100万円、操縦ライセンス取得講習費も1/2・上限10万円
追加導入とドローンは1/2以内になります。

この制度の特徴は市のGNSS固定基地局の補正情報を利用することが条件である点です。
市が基地局というインフラを持っていて、補助はそれとセットになっています。
機種のカタログを調べる必要はありませんが、市の基地局が届く範囲かどうかが効いてきます。

⚠️会津若松市・伊達市=「カタログに載っているか」で決まる

会津若松市 スマート農業導入支援事業補助金3/10以内・1事業者あたり上限100万円。
⚠️対象は農林水産省『農業新技術製品・サービス集』に掲載された機器のみです。

⚠️ 会津若松市は条件が多い制度です。
買いたい機種が掲載されているか先に確認 ⚠️見積書は原則2社以上、 🔴7月下旬の交付決定を受けてから発注する(事前発注は補助対象外になりうる)、 ⚠️導入後3年間の目標達成状況報告書の提出が必要、 ⚠️対象品目も限定されます(水稲・大豆・そば・指定野菜・果樹・花き・薬用作物・畜産)。
⚠️例年6月下旬までに計画書を提出する流れです。

伊達市 認定農業者等農業機械等購入費補助金考え方が明快で、スマート農業機械は50%、一般の農業機械は30%
スマートかどうかで補助率が20ポイント違います(上限125万円)。
⚠️スマート枠は農水省「スマート農業技術カタログ」掲載かつ50万円以上が条件です。
⚠️取得価格10万円未満の機械や軽トラック等の汎用性が高いものは対象外。
✅年度当初(4月)に募集し、予算に余裕があれば追加募集が出ることもあります。

福島市 スマート農業実装支援事業2機種以上を連携させるスマート技術なら1/2・上限200万円(拡大枠)その他は1/2・上限80万円(草刈機は50万円)。
単発で1台入れるより、組み合わせたほうが枠が広がる設計です。
✅県のRTK-GPS支援など他事業との併用も可とされています。
⚠️対象は市内の認定農業者・認定新規就農者で、市税の完納が条件。
⚠️予算がなくなり次第終了です。

いちばん枠が大きいのはいわき市 農業生産振興ブランド戦略プラン推進事業で、スマート農業導入が2/3・上限300万円
園芸パワーアップは重点作物2/3(施設400万円・機械200万円)で、自動操舵・ドローン・環境制御・有機栽培機械・出荷資材まで対象です。
⚠️例年4月末が締切(令和8年度は4月30日で受付終了)と早く、 ⚠️対象は認定農業者・認定新規就農者・3戸以上の団体等です。

⭐45歳以上・認定を持たない人の受け皿

⭐⭐いわき市 経営継承支援金(次世代・第三者継承)45歳以上の親元継承・第三者継承対象で、国の給付金の対象外であることが要件
月額5万円×最長3年=計最大180万円です。

基盤を譲る側にも継承奨励金1万円/10aが出ます。受け取る側だけでなく渡す側にも出すことで、「継いでくれる人はいるのに、話が前に進まない」状態を動かす設計です。
血縁でない第三者への継承も正面から対象にしています。
⚠️前年世帯農業所得600万円未満・年間労働1,800時間程度が要件です。

郡山市 多様な新規就農者支援(農業でふくしまぐらし支援事業)認定新規就農者「以外」の新規就農者対象という珍しい設計です。
高年(50〜65歳未満)や副業型・半農半Xも対象で、定額50万円。
⚠️前年世帯所得600万円以下・就農計画の作成が要件、 ⚠️例年6月上旬〜中旬に先着募集(令和8年度は6月8日〜22日)です。

就農したあとの固定費にはいわき市 農地賃借料支援あり、機構を介した農地の賃借料を年5万円まで支援。
⚠️就農3年目までの認定農業者・認定新規就農者が対象で、 ⚠️ねぎ・いちご・トマト等の重点作物・作付推進作物、 ⚠️機構を介した5年以上の賃貸借契約が要件です。

売り方をつくる制度

郡山市 新規就農者等マーケットメイキング事業パッケージ・パンフ・POPのデザイン制作費、WEBサイト開設費対象で、ブランディングコンサル・撮影費なども入ります。
1/2以内・上限50万円(対象経費20万円以上)。
⚠️初回認定の認定農業者・認定新規就農者・農業法人が対象です。

就農したばかりの人の「売り方」に的を絞った制度は多くありません。作るための機械には補助が出ても、その先の売り先づくりは自己負担になりがだからです。

企画そのものを支えるのが会津若松市 農村活性化プロジェクト支援事業で、1/2以内・上限50万円。
報償費・旅費・委託料・広告宣伝費・機械装置費対象が広く、 ✅個人の農業経営者・認定新規就農者も申請できます。
⚠️審査会でのプレゼンテーションが必須で、企画書と説明の準備が要ります。
⚠️締切が例年5月中旬と早く、⚠️同一事業者への補助は通算3回まで(同一種別へは1回限り)。

県の新風を吹き込む!チャレンジ農業者応援事業令和8年度に始まった新しい県単独事業です。
県内(地域内)で初めて取り組む新品目・新技術の導入は定額・上限300万円
新ビジネス等チャレンジ応援は1/2以内・上限150万円で、 ⚠️こちらは「就農6年目以降10年目未満の新規就農者による新品目導入」または「担い手による経営品目の大幅な転換」が対象です。
⚠️令和8年度から令和10年度までの事業で、別枠に企業等の農業参入支援(1/2以内・上限400万円)もあります。

「定額300万円」は珍しいです。
補助率がかからないので、対象経費がそのまま出ます(⚠️新品目・新技術の枠に限る)。

南相馬市の園芸と、須賀川市の3件

南相馬市 園芸作物等どんどん拡大支援事業補助金は、産地化品目(ブロッコリー・ねぎ・玉ねぎ・きゅうり)は種苗代が全額
その他の園芸は種代2/3・苗代1/2、果樹改植4万円/10a、パイプハウス整備は1/3・上限30万円で、収入保険の掛金も2/3補助されます。
品目を指定して種苗代を全額出すのは、産地をつくる意思がはっきり出た形です。

須賀川市は性格の違う3件を持っています。

須賀川市 遊休農地等再生対策支援事業1/2・上限99万9千円。
草刈り・伐採・抜根・深耕・整地といった再生作業に加えて、 ⭐土壌改良資材代・運搬散布経費・種苗代、 ⭐暗きょ排水工や客土といった条件改善整備も(再生作業に付帯するものなら)対象です。
国・県の補助対象にならない農地が対象=国県の制度から漏れた遊休農地の受け皿。

⚠️ 条件が細かい制度です。
対象農地は1号または2号遊休農地に該当すること、事業費が10アールあたり3万円以上、かつ200万円未満土壌改良費・種苗代は再生作業の金額を超えない範囲まで、果樹・アスパラガス等の減価償却資産となる種苗と植え付け労務費は対象外。
🔴その農地を荒廃させた直接の原因者は対象になりません。⚠️過去に遊休農地の解消を目的として国・県の補助金を受けた農地も対象外です。

須賀川市 環境にやさしい米づくり推進事業有機JAS認証を受けた米づくりが10アールあたり2,000円、特別栽培の認証が10アールあたり1,000円
⚠️認証がないと対象になりません。
⚠️上限額・募集時期が公式ページに記載されていないため、農政課への問い合わせが必要です。

3つ目が須賀川市 被災した農地等の修繕費補助です。
個人所有の農地等は、大規模被害でなければ国の災害復旧の対象外で自己負担なります。
須賀川市は激甚災害に指定された災害被災した場合に限り、40万円未満の修繕工事費の1/2補助します。

⭐この制度は、東日本大震災・令和元年台風19号・2021年福島県沖地震などで市が都度対応してきたものを、令和4年度から常設制度にしたものです。
災害のたびに臨時で組んでいた対応を、あらかじめ制度として置いておく—— 繰り返し被災してきた地域だからこその形です。

⚠️ 対象は40万円未満修繕工事です(40万円以上の工事は対象外)。
⚠️補助率は1/2(東日本大震災時の緊急対応は9割補助でしたが、常設化にあたり1/2になりました)。
🔴 被災したら、まず「自然災害による農地等の被害状況報告書」を農政課へ提出してください。
💡市が管理する農道・林道・ため池等の復旧は別枠(国の補助金を活用)です。

⭐鳥獣対策は「一人か、まとまるか」で12倍違う

喜多方市 電気柵購入支援事業補助率1/2以内ですが、上限額が組み方で大きく変わります

  • 個人=上限5万円
  • 3戸以上の団体・法人=上限30万円
  • 集落環境診断を済ませた計画作成地区=上限60万円(個人の12倍)

⚠️前年度に事前申込みをしていることが条件で、新規に申し込む人はまず貸出事業の対象になります。
⚠️購入前に本申請を完了すること、⚠️同一年度内の複数申請は不可、 ⚠️過去にこの事業で導入した場所の更新は対象外、 ⚠️複数箇所に設置して一体管理できない場合も対象外です。

二本松市 有害鳥獣被害防止資材購入事業補助金✅個人で申請できますが、 ⚠️補助率が事業費の1/6以下と低く上限10万円に届くには60万円の資材購入が必要です。

⭐⭐そして二本松市は、市自身が自分の制度より国庫事業を勧めています。「3戸以上でまとまれるなら国庫事業(鳥獣被害防止総合対策交付金)のほうが圧倒的に有利。
資材費が100%(地元負担なし)なる」と案内されています(⚠️ただし一団の農地を維持・管理し、侵入防止柵を自力施工できることが条件)。
⚠️資材を買う前に農業振興課へ相談してください。
購入後は対象外です。
⚠️出典ページの更新日が2019年4月と古いため、申請前に電話で確認することをおすすめします。

柵を張ったあとは見回りが毎日の作業なります。
範囲が広いほど負担が重くなるので、電源の取れない山際なら電源確保が難しい場所での監視にエコパワーカメラ【監視カメラレンタル】[広告]のような電源不要のレンタル型を組み合わせる手もあります。
⚠️補助の対象になるかは制度ごとに違うので、購入・契約の前に担当課へ確認してください。

経営全体のリスクには福島県 収入保険加入促進事業あり、✅個人でも使えて新規加入者の保険料の1/3県が補助します。
⚠️過去にこの補助を受けた人は対象外。
⚠️個人は令和9年保険について令和8年4月1日〜12月31日に加入申請、法人等は令和9年2月28日までです。
窓口は福島県農業共済組合。
⚠️事業期間は令和8年度までとされているので、継続の有無は県へ確認してください。

福島で申請するときの注意点

  1. 🔴スマート農機は「機種を決める前」に市の縛りを確認する。会津若松市と伊達市は農水省のカタログ掲載が条件南相馬市は市のGNSS基地局の利用条件です。
    確認すべきポイントが市ごとに別物なので、他市の情報をそのまま当てはめないでください
  2. 🔴締切が春に集中している。いわき市のブランド戦略プランは4月末、伊達市は4月の1か月、会津若松市は6月下旬までに計画書、郡山市の新規就農支援は6月上旬〜中旬の先着。
    年度が明けたらすぐ動く必要があります
  3. 🔴交付決定の前に発注しない。会津若松市は7月下旬の交付決定後でないと発注できず、喜多方市は購入前に本申請の完了が必要、二本松市は資材を買う前に相談が必要です
  4. ⚠️喜多方市は「前年度の事前申込み」が入口。その年に思い立っても本申請には進めません。
    新規の人はまず貸出事業から始まります
  5. ⚠️まとまると金額が跳ね上がる制度がある。喜多方市は個人5万円→集落60万円で12倍、二本松市は市の1/6より国庫事業の10/10(地元負担なし)有利。
    近隣と組めるかどうかを先に考える価値があります
  6. ⚠️国の制度との関係で対象が決まる制度がある。いわき市の経営継承支援金は国の給付金の対象外であることが要件、郡山市は認定新規就農者「以外」が対象、須賀川市の遊休農地は国県の補助対象にならない農地が対象です。
    年齢や形態で国の制度から外れた方は国の補助金から落ちた人が使える県・市町村の制度あわせてどうぞ

まとめ:福島は「市」で条件を確認してから機種を選ぶ

  • 自動操舵を入れる=⭐南相馬市(2/3・150万円・🔴市の基地局が条件)/ ⭐いわき市(2/3・300万円)
  • スマート機器を1台入れる=伊達市(⭐スマートだけ50%)/福島市(⭐2機種連携なら200万円)/会津若松市(3/10・⚠️カタログ掲載のみ)
  • 45歳以上で経営を継ぐ=⭐⭐いわき市(月5万円×3年・ ⭐譲る側にも1万円/10a・第三者継承も可)
  • 認定を持たずに就農する/半農半X=⭐郡山市(定額50万円・50〜65歳未満も可)
  • 売り方をつくる=⭐郡山市のブランディング(1/2・50万円・WEBサイトも対象)/会津若松市(⚠️プレゼン審査あり)
  • 新しい品目に挑む=⭐県のチャレンジ農業者応援定額300万円
  • 園芸を広げる=⭐南相馬市(産地化品目は種苗代が全額・収入保険掛金も2/3)
  • 荒れた農地を引き受ける=須賀川市(1/2・99万9千円・⭐国県の受け皿)
  • 電気柵を張る=⭐喜多方(集落なら60万円)/二本松市(⭐⭐3戸以上なら国庫の10/10を検討)
  • 災害で農地が壊れた=須賀川市(⭐激甚災害時・40万円未満の修繕の1/2)

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