補助金の条件は、ふつう下から絞ります
認定農業者であること、5ha以上であること、生産性を10%以上伸ばすこと——一定以上の規模や意欲がある人に限るいう形です。

青森県の十和田市は、逆をやっています。

前年の農業所得が400万円未満であること。

これが十和田市の3つの制度すべてに共通する条件です。
スマート農機の導入も、ドローンの資格取得も、GPSの通信料も、所得が400万円以上ある人は使えません。所得に「上限」を設けて絞る制度は、全国的にほとんど見かけません。

青森にはもう1つ特徴があります。
機械そのものより「機械の周辺」に出る制度が多いことです。
ドローンの操縦資格GPSの通信料 RTK基地局の受信機——買ったあとに続く費用や、買う前の準備に補助がついています。

この記事では掲載18件を市町村別に金額つきで整理します。
一覧で見たい方は青森県の補助金一覧からどうぞ。

青森の内訳

出し手件数性格
平内町5件⭐すべて小口・認定不要が多い/⭐⭐熊撃退スプレーまである
青森県4件⭐スマート1,250万・所得向上1,000万/⭐大雪の借上げ2/3
十和田市3件🔴3件とも農業所得400万円未満が条件
青森市・八戸市各2件⭐認定不要/⭐市が持つRTK基地局の受信機/りんご以外の果樹
弘前市・鶴田町各1件⭐安全機能付き機械が独立枠/⭐盗難対策の防犯カメラ
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
青森県には40の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

🔴十和田市:所得400万円で線が引かれている

十和田市の3制度を並べます。
条件の欄がすべて同じである点を見てください。

制度補助率・上限共通条件
スマート農業機器導入支援1/2・75万円🔴前年の農業所得400万円未満
ドローンオペレーター育成支援1/2・10万円🔴前年の農業所得400万円未満
スマート農業通信料支援1/2・25,000円🔴前年の農業所得400万円未満

意図ははっきりしています。すでに機械化が進んで所得のある経営体ではなく、これから機械を入れる層に予算を回すいう設計です。

十和田市 スマート農業機器導入支援事業補助金ドローン本体(バッテリー1個含む)または自動操舵システム 1/2・上限75万円。
⚠️自動操舵の取付費用は対象外です。
⚠️過去に市からドローン購入・自動操舵導入の補助を受けていると対象外(1回限り)、 ⚠️同年度の「とわだの農業力サポート事業」「経営発展支援事業」に交付申請していると使えません。
⚠️事前申込制で、申込額が予算を上回ると抽選なります。

十和田市 農業用ドローンオペレーター育成支援事業補助金機体の補助とは別枠で、ドローンを買わずに資格取得だけでも使えます(1/2・上限10万円)。
法人は役員・従業員ごとに使えて、通算4名分まで
⚠️個人は過去に交付を受けていると対象外(1人1回)です。

十和田市 スマート農業通信料支援事業補助金GPS補正情報の利用料(通信料)1/2・上限25,000円。
機械の購入ではなく、買ったあとも続く費用に出る補助です。
自動操舵は導入したら終わりではなく、補正情報の契約が毎年かかります。
⚠️令和8年3月1日〜令和9年2月28日の間に終了する契約を1件とみなし、 ⚠️年度内の申込は個人1件・法人2件まで(通算では個人3件・法人6件)。
✅令和8年度の第二次申込は令和9年1月29日まで受付中です(予算がなくなり次第終了)。

⚠️ 3制度とも認定農業者または認定新規就農者であることが必要で、市税を滞納していないことが条件です。
⚠️スマート農業機器導入とオペレーター育成は例年5月と6〜7月の2回に分けた事前申込制(令和8年度は第一次5月11日〜5月29日、第二次6月15日〜7月17日でいずれも終了)。
🔴必ず交付決定を受けてから着手してください。💡ドローン申請では主たる操縦者の技能資格(または受講予定が分かる書類)が要ります。

⭐認定を持たなくても使える制度

十和田市とは対照的に、入口を広く取っている制度もあります。

青森市 スマート農業推進事業認定農業者・認定新規就農者といった資格要件がありません
青森市に住所を有する農業者なら申請でき、購入経費の1/2以内・上限50万円。
⚠️省力化・収量/品質向上・経費削減のいずれか1つ以上に取り組むことが条件で、 ⚠️予算の範囲内で先着順申請状況により最高交付額が50万円未満になることがあります。
✅令和8年8月3日〜11月30日で受付中(追加募集)です。

青森市 RTK-GNSS基地局利用促進事業少し毛色が違います。
市が自前でRTK-GNSS基地局を設置していて、その電波を受信する機器購入費に1/2・上限25万円。
基地局の利用料ではなく、受信する側の機器そのものが対象です。
自動操舵を使うには「基地局+受信機」の両方が要りますが、基地局は市が用意したので、受信機を買う側を市が助けるいう組み立てになっています。

弘前市 農業持続化・効率化対策事業二階建てです。

  • 重点担い手枠=認定新規就農者・認定農業者・集落営農組織(面積拡大者または遊休農地解消者)が対象で1/2以内・上限100万円
  • 多様な担い手枠市内農業者なら認定の有無を問わず対象(機械1/3・上限30万円)
  • 農作業安全対策(安全機能付き機械)が1/2以内・上限50万円で独立したなっている=全国的にも珍しい
  • 集出荷環境整備(荷捌き場等の舗装)も1/3以内・上限25万円

「農作業安全」に独立した枠を置いている注目に値します。
安全機能付きの機械は同等品より高くなりがちで、安全のための上乗せ分が自己負担になるのがふつうだからです。
⚠️下限額に注意で、重点担い手枠の機械導入は50万円以上、その他は10万円以上。
🔴募集が年度当初(3月中旬〜4月上旬)と非常に早いので、前年度のうちに機種と見積を固めておく必要があります。

平内町(5件):小口だが、拾う範囲が広い

平内町の5件は上限50万円以下の小口ばかりですが、拾っている範囲が広く、認定を求めないものが多いのが特徴です。

平内町 農業用ドローン操縦資格取得費補助金ドローン「本体」ではなく「操縦資格の取得費」対象。
入学費・教材費・教習料・検定料・諸手続費が1/2・上限12万円です。
専従者・雇用人も対象になるため、従業員に資格を取らせる使い方ができます。⚠️申請の時点ですでに資格を取得済みだと対象外(取る前に申請)、 ⚠️一人につき1回限り、 ⚠️資格取得後5年間は町内で農業に従事することが条件、 ⚠️平内地域病害虫防除実施協議会の事業に協力できることが条件です(畑作農家は除く)。

平内町 農業用ハウス設置等補助金新設が1/2・最大30万円、改修が1/2・最大10万円で、認定農業者などの認定は不要
⚠️中古資材費・農地整備費・ハウスの撤去費は対象外、 ⚠️改修は設置後3年以上経過したハウスが対象、 ⚠️同一年度に申請できるのは新設1棟・改修1棟まで、 ⚠️園芸施設共済などの保険に加入している(する予定である)ことが条件です。

平内町 有害鳥獣被害防止柵等設置費補助金電気柵などの購入費が1/2・上限10万円で、団体要件がありません。
個人の農業者1人でも申請できます

⚠️申請時にすでに設置に着手していると対象外、 ⚠️同一年度に一人(1経営体)1件まで、 ⚠️設置場所が他人の土地の場合は所有者の承諾書、隣接地の耕作者・所有者の承諾書も必要です。

平内町 「担い手農家経営改善」支援事業だけは向が違い、大規模に水稲を作る向けです。
フレコンタンク・はかり・スケールシャッターの導入が1/2・上限50万円(⚠️対象品目はこの3つに限られ、汎用の農業機械は対象外)。
⚠️認定農業者または認定新規就農者で、水稲を9ha以上栽培しており今5年間も9ha以上続けられることが条件です。
ただし現時点で9ha未満でも、5年以内に9ha以上にする経営改善計画があれば対象なります。

⭐⭐熊撃退スプレーに補助を出す町

平内町 熊撃退スプレー購入補助金は、スプレー本体の購入費が1/2・上限5,000円。
農業者に限らず、町内に住んでいる人なら誰でも対象です(法人は除く)。

金額としては小さな制度ですが、山際の畑で作業する人にとっては現実的な備えです。
田畑は山と地続きで、朝夕の見回りや草刈りは人の少ない時間帯に行います。
⚠️熊に対して効果が認められないものは対象外で、 ⚠️同一年度に申請できるのは1人1件(2個以上まとめて買っても1件扱い)、 ⚠️町税の滞納がないことが条件です。

県の4件:スマートに1,250万円、大雪の借上げに2/3

青森県スマート農業チャレンジ支援事業1/2以内・上限1,250万円県内で最大の枠です。
自動操舵、GPS付き農機、センサー搭載選果機、ドローン、無人草刈機、環境制御装置などが対象。
⚠️原則として新品で50万円以上ものが対象で、既存機械の単純更新は対象外。
⚠️個人の場合は青色申告をしていることが条件 ⚠️農機具共済等への加入が必須です。
🔴例年4月中旬〜5月中旬の要望調査(令和8年度は5月15日で受付終了)と早いので、前年度から準備が要ります。

青森県 所得向上プログラム実践支援事業ハード(機械・施設)が1/2・上限500万円/3戸以上の団体は1,000万円ソフト(技術導入・研修)が定額・上限50万円。
⚠️県のシステムで経営分析と経営診断を受けることが条件で、 ⚠️所得目標は個人なら50万円以上かつ10%以上の増加(法人は150万円以上かつ10%以上)。
✅令和8年8月19日17時まで追加募集中です。

十和田市が「所得400万円未満」で絞るのに対し、県のこの事業は「所得を50万円以上増やす」ことを求めます。同じ県内でも、制度が向いている相手はまるで違います。

青森県 果樹園復旧支援事業(大雪被害)は、令和8年1月からの大雪で被害を受けた果樹園の復旧に必要なバックホーや薪割り機の借上げ経費2/3以内で支援します。
オペレーター派遣なら1日28,000円が上限。
機械を買うのではなく「借りる」費用への支援である点が実情に合っています。
復旧は一時期に集中する作業なので、そのために重機を買う人はまずいません。

⚠️ 令和8年8月末日まで募集中です。⚠️2026年1月1日〜8月31日の借上げが対象期間で、 ⚠️運搬費は園地までの往復1回分のみ(関連会社等から借りる場合は運搬費だけが対象)。
窓口はJAまたは市町村(果樹産地協議会)です。

雪への備えとしては青森県 野菜等産地力強化支援事業耐雪型ハウスの設置資材メニューがあります。
ほかに①省力化(労働時間削減・規模拡大・コスト低減の機械等)と ③高温対策(品質向上・出荷量確保のための機器・資材)の枠があり、雪と高温の両方に備えられるのが北国の産地向けの設計です。

八戸市と鶴田町

八戸市 特産果樹産地育成・ブランド確立事業りんご以外の特産果樹(ぶどう等)対象という珍しい絞り方です。
生産基盤整備(園地整備・苗木・支柱)が1/4〜1/2以内、雨よけハウス等の施設・集出荷機械が1/3以内。
りんごの県で「りんご以外」に補助を出すのは、単一作物への依存から抜ける狙いがはっきり出ています。
⚠️認定農業者や3戸以上の営農集団が対象です。

八戸市 農業経営収入保険加入促進事業補助金収入保険の保険料・事務費(自己負担分)の1/3を補助。
⚠️1農業者につき1回限りで、令和7〜9年度のいずれかを保険期間とする加入が対象です。

鶴田町 農業用防犯カメラ整備補助事業農作物の盗難対策を正面から目的にした数少ない制度です。
対象経費の1/3以内・1台あたり5,000円まで、1戸で最大5台=上限は実質25,000円

⚠️ 条件が細かい制度です。
対象は防犯カメラの購入費のみ支柱・設置工事費は対象外。
🔴すでに購入済みのカメラは対象外=見積書を持って交付申請 → 交付決定の「後」に購入します。
⚠️カメラを買っただけでは交付されず、領収書の提出と設置の確認を経て交付されます。
⚠️減価償却資産の耐用年数を経過するまで使い続けることが条件(途中の転売・用途外使用は不可)。
⚠️例年11月下旬までの窓口受付です。

1台5,000円という金額は、正直なところ本体代の一部にしかなりません。広い園地を守ろうとすると台数も配線も必要になり、電源の取れない場所では設置そのものが難しくなります
補助の範囲を超える分をどう組むかは自分で決めることになるので、電源不要のものを含めて選択肢を見ておくと判断しやすくなります。
とえば電源確保が難しい場所での監視にエコパワーカメラ【監視カメラレンタル】[広告]のようなレンタル型もあります。
⚠️ただし鶴田町の補助は「購入費」が対象なので、レンタルは補助の対象外です。
買うか借りるかは分けて考えてください。

青森で申請するときの注意点

  1. 🔴十和田市は所得を先に確認する。3制度とも前年分の農業所得400万円未満条件です。
    金額や補助率を調べる前に、そもそも対象になるかを確かめてください
  2. 🔴募集が春に集中している。弘前市は3月中旬〜4月上旬(前年度末)、県のスマートチャレンジは4月中旬〜5月中旬、十和田市は5月と6〜7月の2回。
    前年度のうちに機種と見積を固めておく必要があります
  3. いま受付中のものもある。青森市の2件は11月30日まで、県の所得向上プログラムは8月19日17時まで(追加募集)、県の果樹園復旧(大雪)は8月末日まで、十和田市の通信料支援は令和9年1月29日まで。
    春を逃しても諦めるのは早いです
  4. 🔴買う前・取る前に申請する。鶴田町の防犯カメラは購入済みだと対象外、平内町のドローン資格は取得済みだと対象外、平内町の鳥獣柵は設置に着手していると対象外です
  5. ⚠️先着順・抽選の制度がある。青森市は予算の範囲内で先着順交付額が上限未満になることもある)、十和田市のスマート農機は申込額が予算を上回ると抽選平内町の各制度は予算額に達した時点で受付終了です
  6. ⚠️併給できない組み合わせがある。十和田市のスマート農機は、同年度の「とわだの農業力サポート事業」「経営発展支援事業」に交付申請していると使えません。
    国の制度から外れた方は国の補助金から落ちた人が使える県・市町村の制度あわせてどうぞ

まとめ:青森は「自分がどちら側か」で探す

  • 所得400万円未満でこれから機械化する=🔴十和田市の3件(農機75万円/資格10万円/通信料25,000円)
  • 所得を大きく伸ばす計画がある=県の所得向上プログラム(⚠️所得50万円以上かつ10%以上の増加が目標)
  • 大きく投資する=⭐県のスマート農業チャレンジ(1/2・1,250万円)
  • 認定を持っていない=⭐青森市(1/2・50万円)/ ⭐平内町のハウス・鳥獣柵/⭐弘前市の多様な担い手枠
  • ドローンの資格を取る=⭐平内町(1/2・12万円・専従者や雇用人も対象/十和田市(⭐法人は4名分まで)
  • 自動操舵の維持費を下げる=⭐十和田市の通信料(1/2・25,000円)/ ⭐青森市のRTK受信機(1/2・25万円)
  • 農作業の安全対策をする=⭐弘前市(安全機能付き機械に1/2・50万円の独立枠)
  • 大雪で果樹園が被害を受けた=⭐県の果樹園復旧(借上げ2/3・⚠️8月末まで)
  • りんご以外の果樹を始める=八戸市(1/4〜1/2以内)
  • クマ・盗難に備える=⭐平内町の熊撃退スプレー(誰でも可)/ ⭐鶴田町の防犯カメラ(1台5,000円・最大5台)

スマート農機の選び方はドローン・スマート農業機械の補助金買ったあとの資金繰りはスマート農業の資金鳥獣の柵は鳥獣被害対策の補助金あわせてどうぞ。
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