愛媛県の農業補助金には、はっきりした特徴が2つあります。

1つは、県単独の制度がほとんど無いこと。
当サイトが確認できた県単独のものは1件だけで、しかもそれは補助金ではなく融資です。
主役は市町なので、県のページから探すと空振りします。

もう1つは、みかん産地らしく「収穫の人手を集める費用」に出る制度があること。
八幡浜市はアルバイターの宿舎にする空き家の改修に1/2・30万円求人広告費に3/4出します。

この記事では掲載18件を市町別に金額つきで整理します。
一覧で見たい方は愛媛県の補助金一覧からどうぞ。

愛媛の内訳

出し手件数性格
大洲市6件⭐移住就農は70歳まで。6次産業化は2/3
今治市3件⭐有機農業に絞った研修給付+JAS取得
松山市・新居浜市・愛南町各2件鳥獣/⭐愛南は50〜65歳に100万円とドローン委託
八幡浜市・西条市各1件⭐⭐八幡浜は収穫の人手に出る珍しい制度
愛媛県1件⚠️補助金ではなく融資(返済が必要)
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
愛媛県には20の市町があり、表に出ていない市町にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

⭐⭐八幡浜市:人を雇う費用ではなく「人が来られる状態」に出る

八幡浜市 みかんアルバイター等確保支援事業費補助金は、この記事のなかでいちばん珍しい設計です。
収穫期の人手不足を、賃金ではなく受け入れ環境から解こうとしています

  • ⭐アルバイター用の宿泊施設にする空き家等の改修費が1/2・上限30万円
  • ⭐アルバイター募集の求人広告掲載費が3/4・上限2.5万円(補助率3/4は広告費への補助としてかなり高い)
  • 園地の簡易屋外トイレ設置が1/2・上限15万円
    働く場所にトイレが無いことは、人が集まらない理由として実際に大きい

就農希望者の住居とする空き家改修も対象なので、移住就農の受け皿としても使えます。
申請窓口はJAにしうわです。
⚠️市内在住または市内で営農していることが要件で、市税等の滞納がないこと、メニューによっては認定農業者であることが必要です。
⚠️令和8年度の申請は12月末までとされています。

大洲市(6件):50〜70歳の移住就農に150万円

大洲市 移住者機械等支援事業補助金50歳以上70歳以下対象。
国の新規就農支援(原則49歳以下)から外れる年代で、上限70歳は全国的にもかなり高いです。
機械・施設の導入費(税抜)を1/3以内・上限150万円で補助します。

⚠️ 申請日から起算して2年以内に移住したであること。
⚠️申請前に購入・工事の契約や着手をしていると対象外です。
⚠️総事業費30万円未満は対象外、運搬用トラック・倉庫など汎用性の高いものも対象外。
⚠️1経営体につき1回のみ(1回で2種類以上の導入は可能)。

年齢を重ねてから就農する場合、いちばん最初に効いてくるのは体が一日もつかどうかです。
機械の補助で作業そのものは軽くできても、朝起きたときに疲れが残っているかどうかは別の問題として残ります。

大洲市には、ほかに5つの制度があります。

  • 担い手経営発展等支援事業=機械・施設が1/3以内・上限100万円(地域計画上の販売農家は50万円)。
    認定農業者だけでなく「基準に準拠する担い手」も対象で、林業の機械・施設も対象なります
  • スマート農業推進モデル事業=ICT機器が1/2以内・上限150万円(ハウスの自動換気装置・農薬散布用ドローン等)。
    ⚠️対象は市内に住所がある認定農業者・認定新規就農者に限られます
  • 6次産業化等推進事業補助率2/3・上限100万円(地産化推進事業は50万円)。
    カフェ開業のための施設整備も対象
    ⚠️「新たに取り組む場合」が対象で、すでに実施している事業の継続には使いにくい設計です
  • 鳥獣被害対策関連事業=✅個人で申請できます。
    捕獲檻は1/3以内・上限2万5千円、狩猟免許取得費等は「対象経費を合計した額を補助」=実費が出る書き方です(⚠️防止施設の上限額は市の一覧に記載がないため要確認)
  • ハゼの実生産振興事業=品種ハゼの苗木代を1本あたり1,000円まで(購入価格の1/2以内)。
    ⭐苗木代への補助は全国的にも珍しい類型です。
    ⚠️「ハゼの実の収穫を目的」とした植栽に限り、景観目的では対象外

⚠️大洲市の制度は「国・県の補助事業の採択に該当しないこと」が条件ものが複数あります(担い手経営発展・スマート農業モデル)。
国県が使えるならそちらが優先で、市の制度はその受け皿という位置づけです。
いずれも事前に農林振興課へ相談してください。

今治市(3件):有機農業に絞って人を育てる

今治市 有機農業就農サポート事業月62,500円×最長12か月=年間75万円研修給付です。
有機農業に絞った研修給付は多くありません。

⚠️ 条件は細かめです。
前年の世帯所得600万円以下研修はおおむね年1,200時間以上(月100時間ペース)、研修後は市内で独立自営・雇用・親元のいずれかで就農し2年間は市内で有機農業を続けること。
⚠️国の新規就農者育成総合対策など他制度と同時には受けられません(受け皿型)。
⚠️研修先と常勤雇用契約(週35時間以上)を結んでいないこと、研修先が3親等以内の親族でないことも要件です。
⚠️研修を始める前に研修計画書の提出が必要です。

今治市 有機農業推進事業費補助金有機JAS認証の取得経費に年5万円以内。
最大3年度まで受けられるので、初年度だけで終わりません(⚠️「生産行程管理者研修会」への参加が必要)。
今治市は「食と農のまちづくり」で有機農業を推進しており、就農サポート事業と組み合わせて設計できます

今治市 農業生産被害対策費補助金鳥獣対策で、電気柵5万円・防鳥網/防護柵10万円・猿用複合柵15万円箱わな15万円がそれぞれ上限(すべて1/2以内)。
個人・団体どちらも対象で1年度1回。
⚠️資材の購入・設置前の申請が必須(事後申請は不可)です。

愛南町(2件):機体を買わずにドローンを使う

愛南町 ドローン防除等普及支援事業補助金は、ドローンの購入費ではなく「散布を委託した費用」出ます。
10アールあたり1,500円で、町の計算例では1.5ヘクタールに2回散布して45,000円。
✅個人でも法人でも申請できます。

機体は100万円を超えることも珍しくないので、買わずに頼むほうが現実的な規模の農家にとっては、こちらのほうが効きます
⚠️農薬そのものの費用は対象外(委託費のみ)。
⚠️令和7年度から令和9年度までの事業で、令和10年度以降は未定です。

愛南町 新規壮年就農者支援金50歳以上65歳未満に100万円(各50万円を半年ごと2回)。
✅町内に住所を有する認定新規就農者が対象です。
⚠️独立・自営就農であること、5年間の経営計画を作り経営審査会の承認を受けること、 ⚠️交付期間中と交付終了後3年間、年2回の就農状況報告書必要です。
⚠️予算の範囲内なので、要件を満たしてもすぐ交付されるとは限りません。

松山市・西条市・新居浜市

担い手総合支援事業(愛媛県・松山市)は、県と市が一緒に負担する形の制度です。
トラクター・コンバイン等の機械、ハウス・冷庫等の施設が対象で、 1/2以内県費上限500万円+市費上限250万円=計750万円
⚠️事業費50万円以上・耐用年数5年以上汎用性が高くないもので、経営改善計画に基づく規模拡大が条件です。

松山市 鳥獣被害防止施設等資材購入費補助金は、立場によって3段階分かれます=個人(認定等)1/2・上限3万円/個人(一般)1/3・上限2万円/共同1/2・上限50万円
⚠️市内店舗で購入すること、市税完納、新設(個人100m以上、共同300m以上)が条件です。

西条市 頑張る農家支援事業市独自でメニューが5つあります=園芸用ハウス1/3・30万円/ ⭐新規就農者の省エネ改修・小型機械1/2・15万円/スマート農業1/3・30万円/ ⭐遊休農地を再生して新しい品目に挑戦する人に7万円/10a以内/ 5年以上の利用権設定による農地集積に5,000円/10a。
⚠️着手前の申請が必須で、申請書・収支予算書・事業計画書等の5点セットと現地確認があります。

新居浜市は2件で、どちらも「毎年出ていく費用」に出ます。
有害鳥獣被害防止対策事業費補助金資材購入費の1/2で、認定農業者・認定新規就農者は上限5万円、それ以外は3万円(⭐認定を取っておくと上限が2万円分上がります)。
⚠️購入前に見積書を添えて申請すること、工事費は対象外です。

新居浜市 ジャンボタニシ防除対策事業費補助金特定の害虫に絞った珍しい制度で、メタルアルデヒド粒剤の購入費を1/3以内・100㎡あたり180円まで。
⚠️水稲の移植から3週間以内に散布していることが条件で、散布が遅れると対象外。
⚠️事前申請ではなく「散布後」に申請するです。
🔴この事業は令和8年度(2026年度)で終了予定なので、使うなら今年度中です。

県の1件は「融資」です

愛媛県農林漁業共同化資金は、⚠️補助金ではなく融資返済が必要です。
貸付限度額は事業費の80%以内(✅青年農業者は90%以内)。
⚠️償還は2〜5年以内・据置2年以内と短めなので、回収の早い投資に向きます。

✅使途は幅広く、複合経営・農作業受託・家畜導入・青年農業者の海外研修なども対象です。
愛媛県の農業制度資金のうち、これだけが県独自の制度で、ほかは国の公庫資金などになります。
⚠️金利は公表されていないため県へ確認が必要です。

愛媛で申請するときの注意点

  1. 🔴県ではなく市町から入る。県単独の補助金は確認できず、唯一の県制度は融資です。
    松山市の担い手総合支援も窓口は市です
  2. 買う前・着手前に申請する。大洲市の移住者支援、今治市の鳥獣対策、新居浜市の鳥獣、西条市はいずれも事前申請が必須です
  3. ⚠️例外が1つ。新居浜市のジャンボタニシ防除だけは散布後に申請します。
    同じ市でも式が違うので混同しないこと
  4. 国県の補助が使えるならそちらが優先。大洲市の2件は「国・県の補助事業の採択に該当しないこと」が条件です
  5. 終了予定・期限つきの制度がある。新居浜市のジャンボタニシは令和8年度で終了予定、愛南町のドローン防除は令和9年度まで、八幡浜市は令和8年度分の申請が12月末までです

まとめ:愛媛は「市町」と「年齢」から探す

  • 収穫の人手を集めたい=八幡浜市(宿舎改修30万円・求人広告3/4・園地トイレ15万円)
  • 50代・60代で移住して就農する=大洲市(50〜70歳・機械150万円)/愛南町(50〜65歳・100万円)
  • 有機農業で始める=今治市(研修に月62,500円+JAS取得を3年)
  • ドローンを買わずに使う=愛南町(散布委託に10aあたり1,500円)
  • 加工や直売に広げる=大洲市の6次産業化(2/3・カフェ開業も対象)
  • 獣が出る=今治市(猿用複合柵15万円)/松山市(共同なら50万円)/新居浜市(認定農業者は上限5万円)

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