富山県の農業補助金には、はっきりした特徴が2つあります。

1つは、品目が制度を作っていること。
砺波市は掲載4件のうち3件がチューリップで、種球の購入が10/10(全額)
富山市には薬用植物に10アールあたり1万〜3万円いう制度があります。
どちらもその土地でなければ生まれない設計です。

もう1つは、県の主力事業が「県1/3+市町村1/6=約1/2」と負担割合まで決まったセット物であること。
市町村が乗らなければ動きません。

この記事では掲載18件を市別に金額つきで整理します。
一覧で見たい方は富山県の補助金一覧からどうぞ。

富山の内訳

出し手件数性格
富山市7件⭐薬用植物・農地集積は面積単価で上限なし
砺波市4件⭐⭐4件中3件がチューリップ。始める人と続ける人で別枠
富山県4件⚠️2件は市町村とセット(県1/3+市町村1/6)
南砺市2件⭐草刈り・水管理の労力軽減/土壌診断は申請が軽い
射水市1件⭐有機なら限度額が150万円に上がる
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
富山県には15の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

⭐⭐砺波市:チューリップに「始める人」と「続ける人」の2本立て

日本一のチューリップ産地らしく、砺波市は品目に絞って厚く出します。
しかも制度が2つに分かれているのが特徴です。

これから始める人=種球が全額

砺波市 チューリップ球根・切花新規生産振興事業補助金は、種球・球根・資材等の購入費が10/10以内(全額補助)1年目は上限45万円
1年目(新規生産)→2年目(生産拡大)→3年目(定着化) 3年続く段階設計です。

  • 栽培技術習得の研修費も1/2以内・年10万円まで
  • チューリップ農家の後継者として就農する人も対象
  • 教える側にも支援があります(指導の匠による栽培技術指導活動支援=年5万円の定額)
⚠️ 年次ごとに作付面積の要件が上がります(球根=1年目5a以上→2年目10a以上→3年目15a以上)。
⚠️切花は「栽培本数4万本以内」という上限つき要件です(1年目45万円・2〜3年目35万円)。
⚠️学習圃場の設置・技術指導の受講・栽培面積/本数要件の達成が条件です。

すでに作っている=面積を維持するだけで出る

砺波市 チューリップ球根の生産支援3種は、すでに球根を作っている農家対象です。
続ける人への支援が別枠であるのは珍しい構成です。

  • ①ネット栽培普及支援=22,000円/10a
    ⚠️県の「チューリップスマート団地モデル支援事業」に該当しない圃場(モデル地区外)が条件で、県のモデル事業とは併用できません
  • ⭐②球根生産圃場確保支援=8,000円以内/10a
    球根は連作障害が出やすく圃場の確保そのものが課題なるため、面積を維持するだけで助成が出ます
  • ③球根生産土壌改良=1/3以内。
    有機質肥料の施肥8,000円/10a、緑肥栽培2,400円/10a、珪酸石灰・シリカロマンの散布4,000円/10a、発酵鶏糞の散布2,400円/10a。
    ⚠️ウイルス対策が目的の制度で、散布する資材が指定されています

切花で出荷する場合、市場に出すだけでなく自分で売り先を持てるかどうかで単価が変わります
チューリップは贈答や式典の需要があり、産地の名前が通っている品目なので、産地と作り手を説明できる場所があると引き合いの入口になります。

砺波市の残り2件も、性格がはっきりしています。

  • 美しい農村景観整備事業=耕作放棄地の復元に10万円以内/10a(1haなら100万円規模)。
    対象者が「所有者、集落等」=土地の所有者個人でも申請できます
    復元だけでなく「保全管理」も対象で、戻したあとの管理費にも使えます。
    ⚠️財源は県1/4・市1/4の協調事業なので、県の予算枠の状況で採否が左右されることがあります。
    ⚠️着手前に市へ相談してください
  • 狩猟免許等取得者確保対策補助金=1/2で銃5万円以内・わな2万円以内。
    「銃砲所持許可証の取得等に要した経費」も対象です。
    銃猟は免許と所持許可の二段構えで費用がかさむので、両方見てくれる制度は多くありません。
    ⚠️試験に合格して免許を受けた場合に限り、市の猟友会加入または鳥獣被害対策実施隊としての活動が条件です

富山市(7件):面積に応じて、上限なしで出るものが2つ

富山市 薬用植物生産推進事業10アールあたり10,000〜30,000円上限額の定めがありません
薬用植物(生薬原料)に特化した補助は全国的にも珍しく、「薬」で知られる富山市ならではの制度です。
✅個人でも申請できます。
⚠️単価は品目で3倍の差があるので、何を作るかで金額が変わります。

富山市 目指せ担い手農地集積促進事業補助金上限なしです。
貸借期間が10年以上なら10,000円/10アールで、 5年以上10年未満の2倍。
1ヘクタールを10年以上で借りれば10万円になります。
⚠️農地中間管理機構(農地バンク)を通した契約であることが前提です。

富山市 農業法人育成事業補助金補助率3/4・上限225,000円。
法人化支援は1/2が多いなかでは高めの設定で、登記や定款作成などの実費に近い規模です(⚠️認定農業者であることが前提)。

富山市 有害鳥獣対策(狩猟免許・侵入防止柵・サル追い払い)有害鳥獣捕獲隊員育成事業は、どちらも狩猟免許に定額で出ます(⭐銃46,000円・わな10,000円)。
銃の46,000円は相場からすると高いです。
✅市民が対象なので個人で申請できます(⚠️捕獲隊員として活動することが前提)。
電気柵の予防的設置は市1/2(3戸以上の集落)、サル追い払い対策は1/2・上限10万円(被害地域の集落)です。

残る2件は規模の小さい受け皿です。
6次産業化ステップアップ支援事業1/2・上限30万円で、加工の試作や小規模な機器導入から使えます。
営農組織等生産体制強化事業1/3・上限33万3千円で、国県の大型事業に乗らない規模の設備投資の受け皿です。

県の4件:2つは市町村とセット

🔴とやま型集落営農スマート農機導入事業富山県 新規就農者機械導入支援事業は、どちらも県1/3+市町村1/6=合わせて約1/2
市町村が乗らなければ動きません。

  • 集落営農スマート農機=対象は経営面積30ha以上(中山間は20ha以上)の集落営農組織。
    標準事業費900万円。
    ⚠️労働時間10%以上削減・法人化・地域計画の目標地図への位置づけが要件
  • 新規就農者機械導入=対象は50歳未満の認定新規就農者
    標準事業費1,000万円。
    ⚠️就農5年後の所得目標300万円・農業版BCPの策定要件です

富山県 スマート農業機械導入加速化支援事業県が窓口で、補助率1/3。
上限はロボット農機500万円・自動操舵トラクタ等300万円・後付けシステム83万円
後付けの自動操舵・レベリングは83万円が上限=少額から使えます

⚠️ 収量コンバイン・GNSSガイダンス装置・ドローンは対象外です。
⚠️ロボット農機は1ha以上、自動操舵・後付けは50a以上のほ場で使うことが条件。
⚠️データ連携環境を整備しているメーカーの機械選ぶ必要があります。
⚠️例年4月中旬〜6月上旬の要望調査で受け付けます(令和8年度は4月17日〜6月9日で終了済み)。

富山県 地域資源ブラッシュアップ支援事業は、商品開発の試作・機械導入・施設整備・販路開拓・販促資材まで幅広く対象。
一般事業は1/2・上限250万円、農福連携は1/2・上限300万円
⭐小さく始めたい人向けに上限50万円の「ローカルスタートアップ」あります。
⚠️一般・農福・農観メニューは事業費の下限が100万円で、小規模すぎる取組は対象外。
⚠️例年5月下旬が必着締切です(令和8年度は5月22日で終了済み)。

南砺市・射水市

南砺市 ブラッシュアップ農業導入促進重点事業草刈りと水管理という、いちばん時間を取られる作業出ます。
小規模草刈機(スパイダーモア・ウィングモア)、水管理システム(給水ゲート・水位センサー等)、育苗ハウス温度センサー等が1/2・上限200,000円。
⚠️上限200,000円は3年間(令和6〜8年度)の通算なので、 1年で使い切らず分けて使えます(⚠️交付は同一年度あたり1回限り)。
⚠️締切は令和8年12月28日と年度末より早めです。

南砺市 健全な土づくり推進事業土壌診断費用の1/2・1区画あたり上限6,000円(1人あたり上限30,000円・各年度最大5区画)。
診断を出すだけで書類も少なく、申請しやすさは最高クラスです。
⚠️締切が5月末と早いので、年度が替わったらすぐ動く必要があります(令和8年度は5月29日で受付終了)。

射水市 オーガニック野菜等生産拡大支援事業補助金1/3以内で、有機農業なら限度額150万円・有機以外は100万円差がついています。
⚠️有機で100万円を超える額を受ける場合、超える部分は有機JAS認証を取得した後の交付なります。

対象品目はえだまめ・いちご・こまつな・キャベツ・白ネギ・さつまいも・りんご・もも・ぶどう・切り花「稼げる!とやまの園芸産地プラン」に位置付けられた品目)。
⚠️その園芸作物の作付面積を20アール以上拡大すること目的であること、 ⚠️事業実施年度から5年間、毎年5月末日までに実施状況の報告必要です。

富山で申請するときの注意点

  1. 🔴締切が早い制度が多い。南砺市の土壌診断は5月末、県の地域資源ブラッシュアップは5月下旬必着、県のスマート農業は6月上旬まで、南砺市の労力軽減は12月28日。
    年度が明けたらすぐ動くのが前提です
  2. 県の事業は市町村とセット。集落営農スマート農機と新規就農者機械導入は市町村が1/6を負担しないと成立しません
  3. 併用できない組み合わせがある。砺波市のネット栽培普及支援は県のチューリップスマート団地モデル事業と併用不可。
    どちらが有利か市に確認を
  4. 着手前・作付前に相談する。砺波市の農村景観整備は着手前、チューリップの生産支援は作付前に農業振興課へ確認が必要です
  5. あとから続く義務を見ておく。射水市は5年間の報告義務、県の新規就農者機械導入は農業版BCPの策定が要件です

まとめ:富山は「品目」と「面積」から探す

  • チューリップを始める=砺波市(種球が全額・1年目45万円・3年続く)
  • チューリップを続ける=砺波市(圃場確保だけで10aあたり8,000円)
  • 薬用植物を作る=富山市(10aあたり1万〜3万円・上限なし)
  • 農地を借りて広げる=富山市(10年以上なら10aあたり10,000円・上限なし)
  • 草刈りと水管理を楽にする=南砺市(1/2・3年通算20万円)
  • 有機で園芸を広げる=射水市有機なら限度額150万円)
  • 荒れた農地を戻す=砺波市(10aあたり10万円・所有者個人でも申請可)

機械の選び方はドローン・スマート農業の補助金あわせてどうぞ。
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