補助金の話は、たいてい何を作るかから始まります。
機械、ハウス、苗、認証。
けれど実際に手が止まるのは、そこへ行く道が崩れているときや、水が来ないときです。

岩手は、その足元に金を出します。

⭐⭐盛岡市の農業用施設等維持改良事業は、農道整備とかんが排水が工事費の72%災害復旧の農業用施設にいたっては81%
対象者に「農業者」が入っているので、土地改良区のような団体でなくても個人で申請できます。農道や水路の補修は費用がかさむわりに補助が見つかりにくい分野で、 7割という水準は探して損がありません。

県の側にも事業費200万円未満の小規模整備50%(中山間55%)で見る「いきいき農村基盤整備事業」があります。
国庫事業に乗らない小さな案件の受け皿です。

もうひとつ、岩手は「植えてから稼げるまで」の空白期間にも払います。果樹は改植後の幼木管理に10アールあたり22万円りんどうは定植1年目の管理経費県と市町村が1/3ずつ。
植えた年は収入にならない、という当たり前を制度が認めている形です。

この記事では掲載16件を出し手ごとに金額つきで整理します。
一覧で見たい方は岩手県の補助金一覧からどうぞ。

岩手の内訳

出し手件数性格
岩手県4件⭐200万円未満の基盤整備/⭐果樹の未収益期間22万円/10a/りんどう/融資主体
花巻市4件⭐自動操舵は差額が対象・⭐RTK基地局が無償/研修は受入側にも/法人化20万円
岩泉町3件⭐就農に年150万×3年(60歳未満)/中古ハウスの移設も/種苗1/2・30万円
盛岡市2件⭐⭐農道72%・災害復旧81%(個人可)/⭐国県に乗れない人にドローン1/2
八幡平市・一関市・奥州市各1件研修生に月12.5万+受入農家に月5万/⭐50〜60歳の研修枠/ドローン講習1/2
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
岩手県には33の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

🥇⭐⭐道と水路に、7割が出る

盛岡市 農業用施設等維持改良事業補助金は、補助率がとにかく高い制度です。

対象補助率
⭐農道整備工事費の72%以内
⭐かんがい排水(用排水路・畑地かんがい施設)72%以内(⚠️土地改良区が管理するものは36%)
暗きょ排水施設(維持補修・改良・新設)54%以内
災害復旧(農地)63%以内
⭐災害復旧(農業用施設)81%以内(⚠️受益戸数2戸以上)

対象者に「農業者」が入っています。この種の制度は土地改良区や活動組織が主体になっていることが多いので、個人で申請できるのは大きな違いです。

⚠️ 1件5万円に満たない事業は対象外です。
小さな補修はまとめて計画してください。
⚠️かんが排水は「誰が管理しているか」で率が倍ちがいます(自分で管理するもの72%/土地改良区が管理するもの36%)。
⚠️農道整備には受益面積1ヘクタール以上・受益戸数2戸以上・幅員1.8メートル以上いう要件があります。
⚠️災害復旧は「原形復旧工事」が対象で、この機会に改良するという使い方はできません。
⚠️上限額の記載がないので、工事規模が大きい場合は先に農村整備係(019-613-8459)へ。

⭐県は「200万円未満」を拾う

岩手県 いきいき農村基盤整備事業は、事業費200万円未満の小規模な基盤整備対象で、国庫事業に乗らない案件の受け皿なっています。
補助率は定率50%、中山間地域なら55%

⚠️ 農業者2者以上での取組が要件で、 ⚠️実施主体は市町村・土地改良区・農地所有適格法人・多面的機能支払の活動組織等です=個人で使う場合は組織を経由することになります。💡困っている箇所の写真と概算を持って、市町村か土地改良区に相談するのが早道です。
💡盛岡市にお住まいなら市の維持改良事業(農道72%)のほうが率が高いので、どちらが有利か窓口で比較してもらってください。

🥈植えてから稼げるまでの、空白に払う

果樹もりんどうも、植えた年は収入になりません。その数年をどう食いつなぐかが実際の壁になりますが、岩手県はそこに正面から払っています。

岩手県 未来型果樹農業等推進条件整備事業は、改植後の未収益期間の幼木管理に10アールあたり22万円省力技術研修に10アールあたり3万円。
小規模園地整備・部分改植も1/2以内です(担い手育成型)。

⭐水田を樹園地に転換する「新産地育成型」さらに手厚く、大苗育成が10アールあたり20万円など。
水田転換は畑地化促進事業と併用で最大10アールあたり40.5万円なります。

⚠️ 新産地育成型は2ヘクタール以上(基盤整備を行う場合は5ヘクタール以上)のまとまった面積が要件です。
⚠️国の果樹経営支援対策事業等との併用が前提のメニューもあります。
💡類似の「果樹型トレーニングファーム推進条件整備事業」(園地整備1/2・未収益22万円/10a一括・技術指導定額)もあるので、新規就農者の研修受入とセットで考えるならそちらも検討を
窓口は岩手県農畜産物価格安定基金協会(019-626-8141)または県の農産園芸課です。

岩手県 りんどう生産拡大支援事業は、定植1年目の管理経費県1/3(上限2.2万円/10a)+市町村1/3=あわせて2/3支援します。
りんどうは岩手が日本一の産地で、その看板品目に挑戦する入り口として用意されています。
⚠️実施主体はJAの生産部会等なので、部会経由での申請になります。

機械・施設のほうは岩手県 経営体育成支援事業が、融資を活用した導入に3/10以内・上限300万円(⭐地域計画の目標地図に位置づけられ規模拡大を目指す人は上限600万円)。
条件不利地域支援では共同利用機械・施設が1/2以内・上限4,000万円になります。
⚠️融資主体型は金融機関からの融資を受けることが前提、 ⚠️実施主体は市町村なので相談は市町村の農政窓口へ。

🥉花巻市:スマート化した「差額」だけを見る

花巻市 スマート農業機器導入支援には、他ではあまり見ない設計が2つあります。

  • 自動操舵内蔵の農機は「標準車両との差額」が対象。トラクター本体まるごとではなく、スマート化した分だけを見てくれます
  • 市内平場全域をカバーするRTK基地局4基が無償開放されています(誤差2〜3センチ)。
    自動操舵は基地局の利用料が継続的にかかるのが普通なので、ここは実際に効きます

農水省スマート農業技術カタログ掲載の機器が3/10・1申請あたり上限100万円、農業用ドローンの教習費は1/2(1経営体につき累計3人まで)。

🔴 機器の購入・教習の受講より前に農政課へ申請することが交付の条件です。
事後申請は認められません。
⚠️同種機器の2回目の導入は対象外 ⚠️ソフトウェア・情報通信機器その他、農業経営以外への汎用性が高いものは対象外。
⚠️対象は認定農業者・認定新規就農者・集落営農組織・地域計画の中心経営体等です。

ドローンの講習は他市にもあります。
奥州市 農業用ドローン講習等補助オペレーター技能認定の取得講習費が1/2・上限30万円(法人は累計2件まで)。
盛岡市 地域みらい農業人材支援事業ドローン購入が1/2・1台60万円、オペレーター講習が定額15万円、遠隔操作等草刈機が定額60万円です。

⭐ 盛岡市のこの制度は補助対象者の要件に「国や県等の支援事業の活用見込みがない方」が入っています=国・県の制度から漏れた人を市が拾う設計です。
対象は市内農地を10アール以上耕作している方で、認定農業者でなくても申請できます。「修繕費」が対象に入っているのも実務的で、新しく買うほどの余裕はないが直せば使える、という場面に合います。
⚠️⚠️受付は年に1か月だけ(令和8年度は5月1日〜5月29日17時必着)。
⚠️複数メニューの併用はできません。
⚠️⑤その他の機械・施設の購入と⑥修繕費だけは所得要件があります(令和7年の農業所得が認定農業者で200万円以下、それ以外で50万円以下)。

就農の入口:研修も、受け入れる側も

八幡平市 新規就農者等研修支援金研修生に月12万5,000円(夫婦18万7,500円)+子ども加算+家賃上限2万円/月受入農家にも月上限5万円
⚠️45歳未満の新規就農予定者・体験研修者が対象で、 ⚠️国の経営開始資金を受給していないことが条件です。

花巻市 農業研修支援事業研修生の家賃を1/2以内・月2万円まで(2年以内)補助しつつ、研修生を受け入れた経営体に月5万円(2年以内=最大120万円)
募集・交付は随時です。

一関市 新規就農サポート市外からの転入者の家賃を1/2以内・月2万円上限で最大24か(最大48万円)。
50〜60歳のシニア世代向け研修プログラム(6か月〜1年)あり、この年代向けの研修枠を持つ市は多くありません。新規学卒者等には2年以内の給与つき研修もあります。

就農後の元手は花巻市 新規就農者支援事業農業用機械・生産資材費等の初期費用に上限80万円(1回限り)と、農地の賃借料を10アールあたり1万円・50アールまで(年5万円)5年以内
⚠️親元就農は除きます。

岩泉町 次世代就農者支援事業補助金年間150万円を最長3年間の定額給付
就農時60歳未満まで対象で、国の給付の対象外になる層も拾います(町内で専業農家から経営継承する後継者、または認定新規就農者)。
⚠️交付後5年以上の町内居住・就農、⚠️所得制限(後継型700万円以下等)が条件です。

同じ岩泉町の新規就農スタートアップ支援事業10万円以上の農業機械・施設の取得・修理費と、1アール以上の中古ハウスの移設・修理費1/2以内・上限50万円(就農5年以内)。
新規導入・拡大作物支援事業ピーマン・ブロッコリー・畑わさび等種子・苗の購入費を1/2以内・上限30万円で支援します。

法人化を考えているなら花巻市 担い手農業者等法人化支援事業一戸一法人の設立に定額20万円(⚠️国事業との同時交付は不可。
集落営農組織の法人化は国事業=定額25万円の対象)。

岩手で申請するときの注意点

  1. 道と水路を後回しにしない。盛岡市は農道・かんが排水が72%、災害復旧の農業用施設が81%で、個人でも申請できます
    県にも200万円未満の小規模整備を50%(中山間55%)で見る枠があります
  2. ⚠️「誰が管理しているか」で率が変わる。盛岡市のかんが排水は自分で管理するものが72%、土地改良区が管理するものは36%です
  3. ⚠️1件5万円未満は対象外。盛岡市の維持改良は小口を切っているので、細かい補修はまとめて計画してください
  4. 🔴買う前・受講する前・着手する前に申請する。花巻市のスマート機器は事後申請が認められず、盛岡市の地域みらいも交付決定前の着手は対象外です
  5. ⚠️⚠️受付が年1か月だけの制度がある。盛岡市の地域みらい農業人材支援事業は令和8年度が5月1日〜5月29日17時必着でした。
    逃すと1年待ちです
  6. ⚠️国・県の事業と二者択一のものがある。盛岡市の地域みらいは「国や県等の支援事業の活用見込みがない方」が対象、花巻市の法人化支援は国事業との同時交付が不可です。
    どちらを使うか先に決める必要があります
  7. 💡「植えてから」の期間も制度に入れて計算する。果樹は改植後の幼木管理に10アールあたり22万円、りんどうは定植1年目に県+市町村で2/3。
    初期投資だけでなく、無収入の期間まで含めて資金計画を立ててください

まとめ:岩手は「足元」と「空白期間」から探す

  • 農道・水路を直す=⭐⭐盛岡市(農道72%・かんがい排水72%・災害復旧の施設81%。
    ⭐個人可・⚠️1件5万円から)
  • 小さな基盤整備をする=⭐県のいきいき農村基盤整備(200万円未満・50%/中山間55%。
    ⚠️2者以上・組織経由)
  • 果樹を植え替える=⭐県の未来型果樹(⭐未収益期間の幼木管理22万円/10a。
    水田転換は併用で最大40.5万円/10a)
  • りんどうを増やす=⭐県+市町村で2/3(定植1年目の管理経費。
    ⚠️JA部会経由)
  • 自動操舵を入れる=⭐花巻市(⭐標準車両との差額が対象・ ⭐RTK基地局4基が無償)
  • ドローンの免許を取る=奥州市(1/2・30万円)/花巻市(1/2・3人まで)/盛岡市(講習は定額15万円)
  • 国県に乗れない=⭐盛岡市の地域みらい(⭐認定なしでも可・⭐修繕費も対象。
    ⚠️⚠️受付は5月の1か月だけ)
  • 研修を受ける=⭐八幡平市(月12.5万+家賃2万)/花巻市(家賃1/2・月2万)/一関市(⭐50〜60歳の枠あり)
  • 研修生を受け入れる=⭐八幡平市(月上限5万)/ ⭐花巻市(月5万・2年で最大120万)
  • 60歳近くで就農する=⭐岩泉町(年150万×3年。
    ⭐就農時60歳未満)
  • 中古ハウスを移設する=⭐岩泉町(1/2・50万円。
    就農5年以内)
  • 新しい作物を試す=岩泉町(ピーマン・ブロッコリー・畑わさび等の種苗1/2・30万円)
  • 農地を借りて始める=⭐花巻市(初期費用80万円+ ⭐賃借料10aで1万円を5年)
  • 法人にする=花巻市(一戸一法人に定額20万円。
    ⚠️国事業と同時交付は不可)

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