北海道は農業産出額が日本一です。
畑も牛も、1戸あたりの規模が本州とは桁が違います。

その北海道の補助金を17件並べて、意外だったのはこれです。

機械の補助が、ほとんど無い。

掲載17件のうち13件が新規就農・研修・後継者・免許—— つまり「人」にまつわる制度でした。
機械・設備の補助は富良野市のスマート農業1件だけです。

理由は考えれば当然で、北海道の農家はすでに機械を持っています。規模が大きいぶん国や道の大型事業も使えます。
足りないのは機械ではなくそれを動かす人です。
だから市町村は「来てくれる人」と「教える人」にお金を出しています。

この記事では掲載17件を市町村別に金額つきで整理します。
一覧で見たい方は北海道の補助金一覧からどうぞ。

北海道の内訳

出し手件数性格
北見市・音更町・余市町各2件就農+大型免許/⭐住宅50万円と防風林/⭐⭐教える側に出る
中標津町・旭川市・岩見沢市・更別村各1件⭐⭐400万円/⭐夫婦300万円+7年目まで/研修 月12.5万円/年100万×3年
士別市・上士幌町・北広島市・札幌市各1件⭐受入農家にも出る/⭐農家子弟の「独立」が対象/5年切れ目なし/販売費も可
富良野市・幌加内町・本別町各1件⚠️唯一の機械補助(1/4)/⭐⭐猟銃の購入も全額/⭐わな猟は全額
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
北海道には179の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。産出額日本一の規模に対して掲載17件は少なく、ここは当サイトの調査が最も追いついていない地域です。

🥇金額の並び:就農にいくら出るか

市町村金額特徴
中標津町⭐⭐営農経費に400万円⭐無利子貸付1,000万円も/JAの助成と重ねられる
旭川市単身200万・夫婦300万就農7年目までの投資を50%・最大300万円
岩見沢市研修中 月12.5万×2年住宅1/2・農地 年20万×5年・大型特殊4.3万
更別村年100万×3年=300万賃借料と借入金の金利をそれぞれ1/2・5年
士別市研修中 単身月10万・夫婦月12万受入農家に月3万+資材費年10万/固定資産税1/2
上士幌町月8万×36か月=288万農家子弟の「独立」が対象
北見市月6.25万×24か月農地・施設の借上料 各1/2・年20万×5年
札幌市1/2・上限50万加工・流通・販売の経費まで対象
音更町定額50万住宅の新築・増築・購入に出る

⭐⭐中標津町 新規就農補助金最大で、営農経費に上限400万円
そのうえ町の無利子貸付が上限1,000万円あり、生活・経営安定に必要な資金に使えます。
酪農地帯で初期投資が大きいぶん、町とJAが重ねて支える体制です。

⚠️ 町とJAで別制度です。JA中標津の就農助成金(年100万円×3年=300万円)と重ねられる体制で、 JAけねべつ管内なら新規参入時100万円+継続対策300万円で最大400万円。
どこまで重ねられるかは必ず農林課で確認してください。

旭川市 新規就農支援市単独としては全国トップ級のフルセットです。
新規就農奨励金が単身200万円・夫婦300万円「飛躍を後押しする補助金」で就農7年度以内の投資を50%・最大300万円
研修生の住宅費50%(月上限2.5万円)、園芸施設50%・上限250万円、スマート農業・省力化50%(自動操舵125万円等)、有機農業関連も50%・上限300〜500万円。

「就農7年目まで」という区切りが効いています。国の経営開始資金は3年で切れ、多くの市町村の支援も5年で終わります。
7年目まで投資に付き合う設計は珍しいものです。

更別村 新規就農者等育成支援制度は、営農初年度から毎年100万円を3年間(計300万円)に加えて、農地の賃借料の1/2農地取得のために借り入れた資金の金利の1/2それぞれ営農初年度から5年間見てくれます。
⚠️対象は20歳以上50歳未満で村長の認定を受けた方です。

金利に補助を出す制度は多くありません。北海道は農地の単価が本州と違い、借入額そのものが大きくなります。
元金は返すしかありませんが、利息の半分を村が持つ意味は小さくないはずです。

岩見沢市 新規就農サポート受け入れの手順が段階になっているのが特徴です。
相談→体験(2〜3日)→適性研修(6か月)→実践研修(2年)の4段階で、実践研修中は月最大12.5万円。
住宅費1/2・上限50万円、農地賃借料年20万円×5年、大型特殊免許上限4.3万円。
実践研修の修了者は全員が農地を確保できている実績あります。
⚠️対象は45歳未満(農業経験3年以上なら50歳未満)です。

⭐⭐教える側・受け入れる側にも出る

北海道でもうひとつ目立つのが、研修生ではなく「受け入れる農家」に出る制度です。

⭐⭐余市町 新規就農者農業研修事業は、お金を受け取るのが受入指導農家です。
指導謝金は指導者1名につき30日あたり4万円以内(30日未満は1日1,300円以内)。

研修生を受け入れるのは、教える農家にとって手間そのものです。自分の作業の手を止めて説明し、失敗も引き受けることになります。
そこを町が補うことで、受け入れ先が見つかりやすくなる—— 研修支援を「入る人」ではなく「迎える人」の側から設計した形です。

⚠️ 研修者は「就農予定時に49歳以下」で、認定新規就農者になることが確実な人であることが要件です(農水省の古い一覧に65歳とあるものは現行要領と異なります)。
⚠️通算研修期間の支給対象は原則360日以内(研修期間そのものはおおむね2年以内)。
⚠️受入指導農家が農業法人で複数の指導者がいる場合は研修生の人数が限度、個人農家の場合は1名が限度です。

士別市 就農支援セット同じ考え方で、研修受入農家に月3万円+資材費年10万円
研修する側は単身月10万円・夫婦月12万円(2〜3年)で、就農5年以内の農地集積は賃借料を年15万円上限で最大5年、新規参入者は取得農地の固定資産税1/2を最大5年軽減されます。

住まいの側では余市町 新規就農者農業研修家賃助成家賃の1/2・月1万円まで(2年以内)。
⚠️家賃が月額1万円以上であること ⚠️居住期間が3か月以上、 ⚠️間借り(他人の家の一室を借りる形)は対象外 1戸建て・アパート等の独立した住宅が対象です。
🔴請求は年2回(4〜9月分、10〜3月分)まとめて提出する式なので、毎月振り込まれるつもりで資金繰りを組むと足りなくなります。

⭐余市町は果樹(りんご・ぶどう)とワインぶどうの産地です。
研修先を探すときは新規就農活動支援センターが窓口になります。

⭐農家の子どもが「独立」する場合

上士幌町 担い手育成助成事業農家子弟の独立対象にしています。
月額8万円を36か月以内最大288万円

🔴ポイントは「親元就農(後継)ではなく、独立した経営体を営むこと」条件である点です。
⚠️「経営体の農業経営に関する主宰権を有していること」要件で、親の経営の一部門を任される形では対象になりません。

親元就農の支援は各地にありますが、「親の下に入る」のではなく「別の経営体として立つ」ことを求める制度あまり見かけません。
国の制度からも外れやすい層です。
⚠️入口は「就農希望届出書」の提出で、まず農林課に出して台帳に登録してもらう流れです。

音更町 農業後継者農村定住促進事業奨励金補助の対象が「住宅」いう珍しい形で、新築・増築・購入のいずれでも50万円
⭐対象は「農業に従事していて将来親などから経営を継承する予定の人」または「現在自ら農業を経営している人」親元就農者が使えます

⚠️ 原則45歳未満、対象は農村地域に限られます(市街化区域、音更・木野間の市街化調整区域、駒場市街、一部行政区は除く)。
⚠️居住後に町内会へ加入することが条件。
🔴居住開始日から3か月以内の申請が必要です。
家が建ってから動くと間に合わないことがあるので、計画段階で農政課へ相談してください。

北広島市 農業後継者・新規就農者支援就農1年目から5年目まで切れ目なくカバーするメニュー型です。
農業後継者等育成奨励金(60歳未満の研修)、就農3年以内の農地賃借料助成、就農4〜5年目の資材購入費・農地賃借料等(国の資金が切れた後の受け皿)スマート農業推進事業。
⚠️補助率・金額は各交付要綱で要確認です。

北見市 新規参入就農支援事業経営開始資助金月6万2,500円×最長24か月+農地・農業施設の借上料をそれぞれ1/2・年20万円まで最長5年。
⚠️就農時20〜46歳未満・約2年の研修修了・青年等就農計画の認定が要件で、 ⚠️親族からの農地譲受は対象外です。
同じ北見市に大型免許等取得費助成事業(大型・大型特殊・けん引免許が1/2・上限2万円)もあります。

札幌市 新規就農支援事業1/2・上限50万円ですが、生産だけでなく加工・流通・販売に関する経費まで対象いう広さが利点です。
⚠️独立・自営就農から5年以内(三親等以内の親族からの経営継承は対象外)。
✅2名以上の農業者団体・経営開始5年以内の法人も対象になります。

唯一の機械補助と、道内らしい2つ

掲載17件のうち機械・設備の補助は富良野市 スマート農業促進支援事業だけです。
補助率は区分を問わず対象経費の1/4以内

  • 可変施肥が上限150万円最も大きい。
    GPSガイダンス自動操舵システムと農業用ドローンは各50万円
  • 栽培環境制御設備22万円/環境モニタリング16万円。
    両方を複合導入すると35万円(別々に足すより有利)
  • ⚠️GPSガイダンスは標準装備(最初から車両に付いているもの)だと上限20万円下がります。
    後付けの自動操舵装置のほうが有利です
  • リース契約による導入も対象(リース期間総額の1/4以内など)
🔴 受付は例年4月上旬の10日間ほどだけです(過去の実績は4月1日から4月10日)。
この期間を逃すと1年待ちなるので、次年度分は3月のうちに農林課へ確認して見積りを用意しておいてください。
🔴他の補助事業との併用は不可(要綱第4条第3項)。
⚠️同一年度内に同じ区分へ2回は補助されません。
⚠️翌年に経営耕地面積を維持または拡大することが要件で、 ⚠️ドローンは無人航空機の散布作業に係る講習の受講が必要です。

音更町 耕地防風林造成奨励金は、強風による農作物の被害を防ぐ耕地防風林植える費用に 1アールあたり1,500円(50アールまで=最大7万5,000円)。
国または道の事業の補助対象基準に満たない小規模な造成が対象=国道の網から漏れた分を町が拾う制度です。
防風林への補助は全国的にも珍しく十勝の強風地帯ならではの実利があります。
⚠️4月1日以降に苗木を購入して植栽したもの、面積3アール以上、苗列は原則2列以上・列間と苗間が2メートル以下という条件があります。

⭐⭐猟銃の購入に全額20万円

幌加内町 狩猟免許等取得費助成金は、猟銃免許・猟銃所持許可の取得または更新が対象経費の全額(10万円以内)。
そして⭐⭐第一種猟銃所持許可を受けた人の「猟銃等の購入費」が全額で20万円以内
銃本体に出る制度は全国的にも屈指です。

⚠️ 新たに第一種猟銃免許を取得して所持許可を受けた人は、町から有害鳥獣の捕獲活動の要請があった場合に5年間従事することを誓約する必要があります。
⚠️免許・所持許可の「更新」にかかる経費は町の鳥獣対策実施隊員に限られ、 ⚠️わな猟のみの取得は対象に挙げられていません(第一種猟銃が前提)。

わな猟なら本別町 狩猟免許等取得費用の補助で、わな猟免許は取得費が全額補助
第一種・第二種銃猟免許は1/2補助(銃所持許可の取得費も対象)です。
⚠️取得後5年以上の有害鳥獣捕獲活動の継続が条件で、 ⚠️受験前に町農林課への連絡が必要になります。

北海道で申請するときの注意点

  1. 🔴町とJAで別制度。
    重ねられるかを必ず聞く。
    中標津町は町の補助400万円・無利子貸付1,000万円に加えてJAの助成があり、どこまで重ねられるかは農林課で確認するよう案内されています。
    金額を足し算する前に確認してください
  2. 🔴富良野市は4月上旬の10日間だけ。唯一の機械補助がこの受付期間です。
    3月のうちに見積りを用意しておかないと1年待ちになります
  3. ⚠️「親族から」は対象外の制度がある。北見市は親族からの農地譲受が対象外、札幌市は三親等以内の親族からの経営継承が対象外。
    いっぽう上士幌町は農家子弟でも独立するなら対象です。
    親元かどうかで通る制度が入れ替わります
  4. ⚠️年齢の上限が制度で違う。岩見沢市は45歳未満(経験3年以上なら50歳未満)、北見市は20〜46歳未満、更別村は20歳以上50歳未満、音更町の住宅は原則45歳未満、余市町の研修は就農予定時49歳以下、北広島市の奨励金は60歳未満です
  5. 🔴申請のタイミングが決まっているものがある。音更町の住宅奨励金は居住開始日から3か月以内本別町の狩猟免許は受験前に連絡上士幌町は先に「就農希望届出書」を出して台帳登録が入口です
  6. ⚠️入金のタイミングを確認する。余市町の家賃助成は年2回まとめて請求なので、毎月入る前提で資金繰りを組むと足りなくなります

まとめ:北海道は「人」から探す

  • 新規参入で大きく始める=⭐⭐中標津町(営農経費400万円+無利子貸付1,000万円)
  • 就農後も投資を続けたい=⭐旭川市(夫婦300万円+7年目まで50%・300万円
  • 研修から入りたい=岩見沢市(月12.5万×2年・ ⭐修了者は全員農地を確保)/士別市(単身月10万・夫婦月12万)
  • 借入の利息が重い=⭐更別村金利の1/2を5年
  • 農家の子どもが独立する=⭐上士幌町(月8万×36か月。
    🔴主宰権を持つことが条件)
  • 親元に就農して家を建てる=⭐音更町(住宅に50万円)
  • 研修生を受け入れる=⭐⭐余市町(30日あたり4万円)/士別市(月3万+資材費年10万)
  • 国の資金が切れた4〜5年目=北広島市(受け皿メニューあり)
  • 加工・販売までやる=札幌市(1/2・50万円・⭐販売経費も対象)
  • スマート農機を入れる=富良野市(1/4・可変施肥150万円。
    🔴4月上旬の10日間だけ)
  • 猟銃を買う=⭐⭐幌加内町全額20万円/わな猟なら本別町(全額)

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