補助金で最もやりきれないのは、申し込んだのに予算で外れたときです。
制度が合わなかったのではなく、順番が回ってこなかっただけ。
それでも柵は張らなければならないし、獣は待ってくれません。
福岡県の飯塚市に、その人だけを対象にした制度があります。
「国の鳥獣被害防止総合対策整備事業に柵の資材支給を要望したが、予算の都合で当該年度の対象から外れた方」——これが対象条件です。
しかも対象地は国事業で要望していた同一箇所、資材は同一かつ同一延長、購入先は国事業で落札した事業者に限られます。
国の事業の「続き」として設計されているわけです。
こういう制度は全国的にほとんど見かけません。
福岡にはもうひとつ、規模で入口を振り分ける考え方が通っています。
久留米市の鳥獣対策は50万円未満なら市、50万円以上なら国庫。
GAPは県と市の両方にあり、県自身が「市町村の上乗せがあるので併用の可否を確認して」と案内しています。
この記事では掲載17件を出し手ごとに金額つきで整理します。
一覧で見たい方は福岡県の補助金一覧からどうぞ。
福岡の内訳
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
福岡県には60の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。
🥇⭐⭐国の事業から外れた人を、市が名指しで拾う
飯塚市 鳥獣被害防止柵集落共同設置事業費補助金は、対象が「国事業に要望したが予算の都合で当該年度の対象から外れた方」に限定されています。
- ⚠️対象地は国事業で設置を要望していた同一箇所に限られます
- ⚠️資材は国事業で要望した対象資材(ワイヤーメッシュ柵・電気柵)と同一、かつ同一延長であること
- ⚠️購入先は国事業で落札した事業者に限られます
- ⭐設置場所までの送料も補助対象に含まれます(飯塚市の資材購入事業のほうでは送料が対象外なので、ここが違います)
条件を並べると窮屈に見えますが、これは「国の事業をそのまま引き継ぐ」ための条件です。
同じ場所に、同じ資材を、同じ業者から。
国の順番が回ってこなかったという一点だけを理由に、市が肩代わりする形になっています。
⚠️ 補助割合が数値で公表されていません。額は事前に農林振興課へ確認してください。
⚠️市税の滞納がないことが条件です。
同じ飯塚市の鳥獣被害防止資材購入事業費補助金は、⭐1戸でも申請できます(1/2・上限15万円)。
⭐2戸以上なら2/3・上限30万円に上がり、補助率と上限額の「両方」が上がる設計は珍しいものです。
⚠️ 送料・工具・施工費は対象外で、資材の購入費(税抜)のみ。
⚠️家庭菜園は対象外。
🔴資材を購入・設置した後では補助を受けられません。
必ず事前に市へ相談を。🔴申請は同一年度につき1回限りで、 🔴処分制限期間内は同じ対象地で再申請できません(ワイヤーメッシュ柵14年・電気柵8年・その他8年)。
💡3戸以上で検討している場合は国の鳥獣被害防止総合対策事業の対象になることがあるので、先に市へ相談すると有利です。
久留米市は「50万円」で市と国を振り分ける
久留米市 有害鳥獣被害防止施設整備事業は総事業費50万円未満の電気柵・防鳥ネット等に4/10。
⭐小規模でも使えるのが市単独事業の利点で、個人で1区画だけ囲いたいときに向いています。
⚠️50万円以上の大規模な整備は国庫の鳥獣被害防止総合対策事業(3戸以上のほ場が対象)に振り分けられます。
⚠️⚠️国庫事業を使う場合は毎年9月ごろまでに翌年度分の要望調査に手を挙げる必要があります=1年前から動く制度です。
国庫事業では自力で侵入防止柵を設置する場合は定額補助、業者に請け負わせる場合は6/10になります。
⭐GAPは県と市の二段になっている
福岡県 GAP認証拡大推進事業は1/2・上限50万円。
この制度で効くのは対象範囲の広さです。
- ⭐初回審査だけでなく「維持審査」も対象。GAPは取ったあとの更新費用が続くので、ここが対象なのは大きい
- ⭐土壌・水質・残留農薬の分析費が対象。GAP取得で想定外に重くなるのがこの分析費です
- ⭐認証取得に必要な環境整備(出荷調製施設の改修等)も対象
- ✅個人でも申請できます
久留米市 国際水準GAPレベルアップ支援事業は市費1/2・上限50万円。
こちらも認証審査だけでなく土壌分析・水質分析・残留農薬分析の経費が対象です(⚠️対象は営農集団3戸以上・認定農業者など)。
🔴 県が自ら「久留米市など市町村が別に上乗せ補助を持っている場合があります。
併用の可否を先に確認してください」と案内しています。まず両方の窓口に併用できるかを聞いてください。⚠️市の補助事業は採択状況により必ず実施できるとは限りません。
💡県では農業大学校等でのGAP認証取得に向けた生産者研修(例年7月〜12月)も実施されています。
県の6件:女性・薬用作物・暑さ
⭐福岡県 女性認定農業者育成事業は女性農業者に限定した補助金で、全国的にも数が少ないものです。
新しい品目を導入するときの資材費(肥料費・種苗費等)が1/2・ 1事業計画あたり100万円以内。
⚠️条件は「当該年度または翌年度に認定農業者になること」なので、今は認定農業者でなくても、これから目指すなら対象になります。
⚠️ただし事業計画が審査会で認められることが必要で、書類を出せば通る制度ではありません。
⭐福岡県 薬用作物の産地化を通じた中山間地域振興事業は、中山間地域で薬用作物(生薬の原料)の新規栽培に取り組む人への10アールあたりの定額支援です。
生薬用赤シソは10アールあたり59,000円、シャクヤク・カノコソウ・ミシマサイコなど県推進品目は 10アールあたり87,000円。
🔴 出荷先となる製薬会社等との契約が先に必要です。契約なしでは対象になりません。
🔴薬用作物は製薬会社が定めた農薬使用量・施肥量・乾燥条件などの基準に沿って生産し、記録を残す必要があります。
慣行栽培のつもりで始めると出荷できません。⭐併せて「中山間地域の新たな収入源確保対策事業」があり、これまで活用していなかったクヌギの樹皮等を新規出荷する場合の機械リース料も対象になります。
収穫機など生産効率化のための機械導入は1/2以内。
✅個人でも申請できます。
福岡県 暑さに負けない!園芸対策強化事業はハウスの高温対策設備が1/2または1/3。
⭐対象設備が幅広いのが特徴で、細霧冷房システム、養液冷却栽培システム、ヒートポンプ、天窓換気、換気扇・循環扇まで含みます。
⭐換気扇・循環扇のような比較的安価な設備も対象なので、大がかりな投資でなくても使えます。
⭐県の活用ガイドの利用区分に「個人」が明記されているので、認定農業者であれば個人でも申請できます。
⚠️ 補助額の上限は県の活用ガイドに記載がありません(2026-08-07に令和8年度版で再確認)。
導入したい設備の見積もりを持って農林事務所に確認してください。
💡国の産地生産基盤パワーアップ事業・強い農業づくり総合支援給付金でも同様の支援が受けられます。
どちらが有利か農林事務所で比較してもらうのが得策です。
⚠️申請時期は年度により異なるので、夏前に動くなら前年度のうちに相談しておくのが安全です。
福岡県 特用林産基盤整備事業はたけのこ・きのこなど特用林産物が対象で、作業道等整備・展示林整備が4/10以内、その他は3/10以内。
⭐放置竹林の整備(客土・支障木竹整理)が対象になるので、竹林の荒廃に困っている地域で使えます。
竹材粉砕機・ハウス施設・椎茸乾燥機・防獣設備・小型運搬車・ほだ場の整備まで幅広い。
⚠️受益戸数3戸以上が要件で、個人単独では申請できません(生産者で組織する任意団体でも可)。
久留米市の残り2件と、6次産業化
久留米市 遊休農地再生事業は重機を使う場合1/2以内・上限100万円で、 ⭐加算条件に当てはまれば150万円まで上がります(加算条件=①集落営農法人が行う ②再生後に米・麦・大豆をつくる ③獣類被害の頻発地域)。
重機を使わない場合は1/2以内、または10アールあたり5万円のうち少ない額です。
⚠️⚠️ 対象農地は「申請日の前1年以内に新たに借用または取得した農地」です。
以前から持っている自分の荒れ地には使えません。⚠️農振農用地(青地)で農地法に基づく1号遊休農地であること、 ⚠️対象農地で3年以上営農する予定であることが条件。
⚠️申請は前期(4〜6月)と後期(9〜11月)の2回に分かれています。
⭐久留米市 6次産業化等チャレンジ支援事業は6つのメニューを持ち、商品開発・販路拡大・商品改良・ ⭐農家民泊・農家レストラン整備が各上限50万円、コンサルティングが上限30万円(1/2以内)。
農家民泊・農家レストランの整備まで対象に入っている自治体は多くありません。⭐6次産業化の相談会が毎月1回、無料で開かれています。制度を使う前にここで相談できるのは実務的です。
別枠で商談会等出展支援(1/2以内・上限10万円)もあります。
県側は福岡県 6次産業化発展事業で、⭐専門家の指導に基づく「商品改良」が対象(1/2・上限75万円)。
すでに商品はあるが売れない、という段階で使えます。⭐パッケージデザインの費用が対象になるのも実務的で、デザイン費は自己負担になりがちな部分です。
⚠️機器整備にかかる上限事業費は50万円まで(上限75万円の枠を機械だけで使うことはできません)。
⚠️個人で使うには認定農業者であることが必要です。
市町村の残り:規模の入口が違う
糸島市 農業経営持続化支援事業補助金は機械(20万円以上)と施設(工事費20万円以上)が1/2以内・上限50万円(1回限り)。
⭐前年の農畜産物販売額15万円以上・経営農地10アール以上から対象で、小規模でも届く受け皿になっています。
対照的にうきは市 園芸関係事業は事業費50万円以上〜5,000万円以下と幅が広く、 ⭐対象機械が具体的です(剪定枝粉砕機・乗用型草刈機・高所作業車・ヒートポンプ)。
⭐対象施設は雨よけハウスとその附帯施設・鉄骨ハウス・果樹棚など、果樹の産地らしい顔ぶれです。
⚠️対象は認定農業者と営農集団(3戸以上)で、 ⚠️事業費が50万円未満だと対象外(少額の機械は市の別制度へ)。
朝倉市 新規就農者営農支援補助金は就農3年以内の人に1/2以内・上限30万円。
⭐農業機械・施設に加えて種苗・肥料・農薬などの生産資材も対象で、就農初期のこまごました出費を丸ごと支える設計です。
⚠️認定新規就農者、または朝倉地域の担い手・産地づくり協議会の農業研修修了者が対象。
八女市 新規就農者育成支援(研修給付)は研修者へ月最大2.5万円、⭐受入農家へ月最大2.1万円。
茶をはじめ八女の産地で学びながら就農準備ができます。
⚠️詳細・上限は募集要領で要確認です。
北九州市 農業機械設備等の購入に対する補助制度は鉄骨ハウス・パイプハウス・省力機械・集出荷施設が1/3以内で、 ⭐補助額の上限が定められていません(ただし「予算の範囲内での交付となるため、ご希望に添えない場合もある」と市が明記)。
🔴 導入予定年度の「前年7月末まで」に農政事務所へ相談・申込む方式です。
買ってからでは使えません(期間外も状況により受け付けるのでまずは相談を)。
⚠️本体価格(税抜)50万円以上、⚠️軽トラックなど汎用性のある機械は対象外、 ⚠️農業経営改善計画(青年等就農計画)に記述されていないものは対象外=計画に導入を書き込んでおく必要があります。
💡門司・小倉北・小倉南=東部農政事務所(093-951-1020)、若松・八幡東・八幡西・戸畑=西部農政事務所(093-693-9912)。
福岡で申請するときの注意点
- ⭐国の事業に外れても諦めない。飯塚市には国事業から外れた人だけを対象にした柵の補助があります。
国の制度から外れた場合の受け皿については国の補助金から落ちた人が使える県・市町村の制度もあわせてどうぞ - 🔴県と市の併用可否を先に聞く。GAPは県(1/2・50万円)と久留米市(市費1/2・50万円)の両方にあり、県自身が併用の確認を促しています。
高温対策も国の事業と比較してもらうよう県が案内しています - 🔴1年前から動く制度がある。北九州市は導入予定年度の前年7月末までに要望、久留米市の鳥獣で国庫事業を使う場合は毎年9月ごろまでに翌年度分の要望調査へ。
前年度から動く型については前年度の要望調査で決まる補助金の記事もどうぞ - ⚠️「50万円」で入口が変わる。久留米市の鳥獣は50万円未満が市・以上が国庫、うきは市は50万円未満だと対象外で別制度へ、北九州市は50万円以上が対象。
事業費の見積もりが出た時点で、どの窓口かが決まります - 🔴買う前・設置する前に相談する。飯塚市は購入・設置後だと補助を受けられず、北九州市も買ってからでは使えません
- ⚠️「新たに借りた農地」が条件のものがある。久留米市の遊休農地再生は申請日の前1年以内に新たに借用または取得した農地が対象で、以前から持っている自分の荒れ地には使えません
まとめ:福岡は「外れた」「規模」で探す
- 国の柵の事業に外れた=⭐⭐飯塚市(同一箇所・同一資材が条件。
送料も対象) - 小さく柵を張る=⭐飯塚市(1戸1/2・15万/2戸以上2/3・30万)/久留米市(50万円未満に4/10)
- GAPを取る・維持する=⭐県(⭐維持審査も分析費も対象)+久留米市(市費1/2)。
🔴併用の可否を先に確認 - 女性が新品目を始める=⭐県の女性認定農業者育成(1/2・100万円)
- 商品はあるが売れない=⭐県の6次産業化発展(⭐パッケージデザインも対象)
- 農家民泊・レストランをやる=⭐久留米市(各上限50万円・⭐毎月無料相談会)
- 荒れた農地を借りて再生する=久留米市(最大150万円。
⚠️1年以内に新たに借りた農地に限る) - ハウスの暑さ対策=⭐県(⭐換気扇・循環扇のような安価な設備も対象)
- 中山間で新しい収入源を探す=⭐県の薬用作物(10aあたり5.9万〜8.7万円。
🔴製薬会社との契約が先) - 放置竹林を整備する=県の特用林産(⚠️3戸以上)
- 小規模で機械を入れる=糸島市(⭐販売額15万円から)/朝倉市(⭐種苗・肥料・農薬も対象)
鳥獣の柵は鳥獣被害対策の補助金、有機・環境の制度は有機農業・環境保全の補助金もあわせてどうぞ。
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