栃木県の農業補助金には、はっきりした特徴が2つあります。

1つは、「買う補助」より「続ける補助」が多いこと。
小山市は作付面積や防除面積に10アールあたりの単価で、しかも上限なし出す制度を複数持っています。
機械を買わなくても使えます。

もう1つは、県が「継いだものを直して使う」側を見ていること。
中古のハウス・畜舎・機械の修繕に1/2以内(畜産施設なら上限500万円)という制度があります。

この記事では掲載19件を市町別に金額つきで整理します。
一覧で見たい方は栃木県の補助金一覧からどうぞ。

栃木の内訳

出し手件数性格
小山市8件⭐面積・頭数の単価制。上限なしが3つ
宇都宮市3件⭐新規就農者だけ補助率が1/2に上がる
栃木県3件⭐中古を直す/園芸/指導役の設置
大田原市・栃木市・芳賀町各1件スマート農業と就農。⭐大田原はRTK利用料も
鹿沼市・那須塩原市各1件いちご就農+移住/⭐狩猟免許は全額
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
栃木県には25の市町があり、表に出ていない市町にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

⭐小山市(8件):面積と頭数に、単価で出す

小山市の制度は「何を買ったか」ではなく「どれだけ作ったか」で決まるものが中心です。
上限額の定めがない制度が3つあります。

制度単価上限
高収益作物導入補助金1年目7万円/2年目5万円/3年目3万円(各10a)=3年で15万円/10a⭐なし
直播栽培補助金12,000円/10a(1haで12万円)⭐なし
広域防除推進事業費補助金無人ヘリ1,200円/10a・ドローン等1,000円/10a⭐なし(⚠️同一作物2ha以上)
おやま和牛肥育素牛導入補助金肥育素牛1頭につき1万円100頭=100万円

高収益作物導入補助金は、水田で高収益作物(露地野菜)の作付面積を増やすことが条件で、3年で10aあたり15万円
上限額の定めがないので、面積に応じてそのまま積み上がります。
⚠️年度当初に経営所得安定対策事業に同意し、小山市農業再生協議会へ営農計画書を出しておく必要があります。

直播栽培補助金は、直播にするだけで10aあたり12,000円。
育苗と田植えの工程が省けるので、労働時間と生産費の削減にそのまま効きます。
⚠️作付け前に農政課へ相談してください。

広域防除推進事業費補助金機械の購入ではなく、毎年かかる防除作業の費用出ます。
ドローンを買う補助は各地にありますが、飛ばす作業のほうに面積単価で出す制度は多くありません(⚠️同一の対象作物の散布面積合計が2ヘクタール以上必要)。

小山市の有機農業支援:更新料まで全額

⭐⭐有機JAS認証取得及び更新支援事業補助金補助率が「対象経費の全額」
しかも取得だけでなく毎年の更新申請も対象です。

有機JASは維持費が毎年かかるのが実務上いちばんの負担なので、更新を見てくれる制度は効きます(⚠️登録認証機関への振込手数料・郵送料・申請書式集代は対象外)。

小山市 有機農業機械導入補助金1/2以内・申請者1者あたり年間100万円まで。
有機農業「専用」の機械補助を市単独で持つ自治体は多くありません
⚠️申請年度の有機農業取組面積が30a以上あること、国または県から同種の機械の補助を受けていないこと、交付決定前に買った機械は対象外であることに注意してください。

ふゆみずたんぼ・なつみずたんぼ事業補助金は、冬に田んぼへ水を張る取組への支援です。
維持管理費2,000円/1a+栽培管理費2,500円/1a=10aで最大4.5万円
水田魚道・看板・江の新規整備は「対象経費の全額」です。

⚠️ ふゆみずたんぼは栽培期間中・冬期湛水期間中とも、畦畔を含めて化学肥料と農薬を使用しないことが条件。
⚠️なつみずたんぼ(750円/1a)は7月1日〜9月末に約2か月以上湛水し、その間は栽培を行わない=作らない田んぼになります。
湛水中は水深5〜10cmを維持し漏水防止措置が必要で、 ⚠️生井・寒川・中・穂積・豊田地区内の取組に限られます
⚠️冬期湛水は10月〜1月に、夏期湛水は7月〜9月に開始する必要があります。

農薬と化学肥料を使わない米や、生きものを育てる田んぼの米は、同じ値段で売るのが難しい一方で、事情を知っている人には高くても選ばれます
直売所やJA出荷だけだとその差が価格に乗りにくいので、自分の田んぼの取組を説明できる場所を持っておくと違ってきます。

小山市の残る1件がスマート農業機械等導入補助金で、枠が2つあり要件が正反対です。

  • 【規模拡大推進枠】1/3・上限80万円。
    目標年度に経営規模を1ha(施設園芸・果樹は0.2ha)以上拡大することが条件(⚠️地域計画の目標地図への位置付けが必要)
  • ⭐【営農持続支援枠】1/3・上限50万円。
    経営規模が2ha(施設園芸・果樹は0.4ha)未満であること条件=小さい経営だから対象になる逆転設計です

規模が小さくてスマート農業の補助を諦めていた方は、こちらに当てはまることがあります。
⚠️どちらも交付決定前に導入した機械は対象外です。

⭐県の3件:新品を買わずに「直して使う」

栃木県 経営資源有効活用リフォーム支援事業中古の継承資産を直して使うための制度で、新品購入の補助とは発想が逆です。
補助率1/2以内・上限150万円、畜産施設なら上限500万円

  • 対象はハウス・果樹棚・畜舎・農業機械など。
    付帯設備の修繕やハウスの被覆資材の交換も含みます
  • 施設の移設(解体・運搬・再設置)の費用も対象
  • 申請できるのは①継承した認定新規就農者本人 ②譲渡予定の農業者 ③譲渡前提で取得した農協、の3者
🔴 三親等以内の親族から購入・借りている施設や機械は対象外です。
親元就農では使えません。
⚠️修繕費は1事業実施主体あたり50万円以上原則で、小さな修理は対象になりません。
⚠️倉庫・運搬用トラック・パソコン・フォークリフト等の汎用性が高いものも対象外です。

園芸大国とちぎフル加速総合対策事業4/10以内・各経営体につき400万円(⚠️県開発オリジナル品種と地域の特色を活かした園芸品目の取組、および機械は1/3以内)。
⭐原則は受益面積30a以上・受益農家3戸以上ですが、認定農業者が県開発オリジナル品種(うど・りんどうあじさい)や地域の特色を活かした園芸品目に取り組む場合は10a以上でよく、3戸要件も外れます
⭐園芸品目の事業継承者が連棟ハウスの高機能化に取り組む場合も同じ扱いです。
⚠️申請は市町村長の承認を経て農業振興事務所長へ出す方式で、県へ直接ではありません。

産地人材育成確保事業(とちぎ農業マイスター設置事業)は、⚠️申請するのは受け入れ側(農協・市町農業公社・農業生産組織・協議会等)で就農希望者本人ではありません。
マイスター設置は月4万円以内、指導期間は原則1年間で 1かあたり100時間以上の指導。
指導を受けられるのは非農家出身者・新部門開始予定者で就農予定時に概ね50歳以下人です。

宇都宮市(3件):新規就農者だけ補助率が上がる

宇都宮市 園芸作物生産施設等整備事業は、パイプハウス・作業機械等が対象で認定新規就農者1/2以内・上限300万円/認定農業者3/10以内・上限100万円。
大谷石採掘場跡地の冷熱利用可能地域なら上限が新規就農者500万円/認定農業者300万円に上がります。

宇都宮市 土地利用型農業生産施設等整備事業水稲・麦・大豆用コンバイン・田植機・農薬散布ドローン等が対象で、 3/10以内新規就農者は1/2以内)。
上限は団体500万円/大規模個人・新規就農者300万円。
⚠️団体10ha以上の利用、新規就農者は5年後に10ha集積する計画が条件です。

宇都宮市 生分解性マルチ・多年張被覆資材導入支援事業機械ではなく資材そのものに出る数少ない補助です。
分解性マルチが10分の3以内・上限20万円、多年張被覆資材も同条件(⚠️こちらは認定新規就農者のみ)。
✅認定農業者・認定新規就農者なら個人で申請できます。
⚠️生分解性プラスチック協会の識別表示制度に対応した製品が対象で、その年度内に使う分量だけ対象になります。
⚠️例年4月末までに要望調査票を提出する式です(令和8年度は4月30日で締切済み)。

大田原市・芳賀町・栃木市

大田原市 スマート農業技術導入支援事業費補助金自動操舵システム・農業用ドローン・リモコン草刈機が1/2・上限50万円ですが、注目は別枠のほうです。
RTKサービス利用料に1ライセンス上限9,000円(2ライセンスまで)
自動操舵は機械を買っても通信料が続くので、ここを見てくれる自治体は貴重です。

⚠️ 対象機械は農水省のスマート農業技術カタログ掲載品で、1品80万円以上の未使用品に限ります
⚠️機械導入の申請期間が令和8年5月1日〜6月15日と1か月半しかありません(RTK利用料は随時・予算に達し次第終了)。

芳賀町 スマート農業推進事業補助金1台10万円以上のスマート農業機械・機器(トラクター・ドローン等)が1/2以内・上限50万円。
⚠️地域計画の目標地図への掲載と、翌々年度までの経営面積拡大計画が要件です。

栃木市 新規就農サポート事業費補助金資材費・種苗費などの生産経費と経営合理化の機器費が1/2以内・上限60万円1年1回・合計2回まで)。
国の新規就農支援の対象外の人が対象で、就農時50歳未満・新規就農3年以内・主たる収入が農業収入であることが条件です。

鹿沼市・那須塩原市

鹿沼市 いちご新規就農者支援は、いちごハウス整備が30/100以内・上限300万円。
⭐これに移住支援が単身60万円・世帯100万円(子1人あたり+100万円)重なります。
⚠️2年間のいちご新規就農者研修の修了が条件で、国の就農準備資金(研修中)と組み合わせられます。

那須塩原市 狩猟免許等取得費補助金狩猟免許取得費・猟銃所持許可取得費が全額補助(上限なし)
猟銃等の購入費も1/2・上限5万円(本体・保管庫)で出ます。
⚠️新規取得者が対象(更新・再登録は除く)で、市の駆除活動に5年以上継続協力できること条件です。

栃木で申請するときの注意点

  1. 🔴受付期間が短い制度がある。大田原市のスマート農業は 5月1日〜6月15日の1か月半、宇都宮市のグリーン農業支援は4月末までに要望調査票出す方式です
  2. 買う前・導入前に申請する。小山市の有機農業機械とスマート農業機械はどちらも交付決定前に買うと対象外です
  3. 親族からの継承では使えない制度がある。県のリフォーム支援は三親等以内の親族からの購入・賃借が対象外です
  4. 県の事業でも窓口は市町。園芸大国とちぎは市町村長の承認を経て農業振興事務所長へ出す方式です
  5. 面積・規模の要件を先に確認する。小山市の広域防除は同一作物2ha以上、有機農業機械は取組面積30a以上、スマート農業は枠によって「1ha以上拡大」と「2ha未満」で正反対です

まとめ:栃木は「毎年かかる費用」から探す

  • 作付けを増やす=小山市の高収益作物(3年で10aあたり15万円・上限なし)
  • 米づくりの手間を減らす=小山市の直播(12,000円/10a)広域防除(面積単価で上限なし)
  • 有機で続ける=小山市(⭐JAS更新料も全額・有機専用の機械に年100万円)
  • 継いだ施設を直す=県のリフォーム支援(1/2・畜産は500万円。
    ⚠️親族からの継承は不可)
  • 規模が小さい=小山市スマート農業の営農持続支援枠(2ha未満が条件)
  • いちごで就農して移住する=鹿沼市(ハウス300万円+移住支援)
  • 獣が出る=那須塩原市(免許・所持許可は全額、銃も1/2・5万円)

通信料や資材のように毎年出ていく費用はスマート農業の資金でも扱っています。
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