山形県の農業補助金には、はっきりした特徴が2つあります。

1つは、「やめる人」にもお金を出すこと。
天童市は離農する人の農地の片づけ費用 10アールあたり10万円で見ます。
始める人を支える制度は多くありますが、終う人を支える制度は全国的にもほとんどありません

もう1つは、住まいの補助に光熱水費まで入っていること。
天童市は家賃月4万円に加えて光熱水費を月5千円、最長5年で合計270万円
冬の暖房費が重い土地ならではの設計です。

この記事では掲載19件を市別に金額つきで整理します。
一覧で見たい方は山形県の補助金一覧からどうぞ。

山形の内訳

出し手件数性格
山形県5件⭐50〜65歳の受け皿/さくらんぼの品種転換
天童市4件⭐⭐農地の入口と出口の両方に払う
酒田市・米沢市各3件⭐毎年かかる費用/親元就農に専用の20万円
村山市2件⭐生活費・住居費・車両費をまとめて
山形市・鶴岡市各1件6次産業化/販路開拓(海外は上限25万円)
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
山形県には35の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

⭐⭐天童市(4件):農地の入口と出口の両方に払う

天童市はさくらんぼ・ラフランスの産地で、高齢化により棚付きの園地が遊休化しやすい地域です。
そこに対して、4つの制度が段階ごとに用意されています。

どの段階か制度金額(10アールあたり)
⭐これからやめる農地リニューアル支援伐採・抜根10万円/棚・ハウス撤去5万円
すでに荒れている遊休農地解消対策伐採・抜根15万円/棚・ハウス撤去10万円
これから借りる農地賃借料支援1万円(1haなら年10万円)
移り住む移住・定住促進⭐家賃4万+光熱水費5千/月・5年で270万円

いちばん珍しいのが1行目です。農地リニューアル支援推進事業の対象は「高齢等の理由で後継者がなく離農する方」
現在耕作している農地を更地にするための費用に出ます。

就農を考えている側から見ると、この制度の意味は大きいはずです。棚やハウスが残ったままの農地を引き受けると、最初にやるのは撤去作業になります。
出す側が片づけてから渡せる仕組みがあるかどうかで、入ってくる農地の状態が変わります。

⚠️ 遊休化してからでは扱いが変わります。すでに荒れている農地は「遊休農地解消対策事業」の側になり、単価はそちらのほうが高くなります(伐採・抜根15万円)。
どちらに当たるかは市に確認してください。
⚠️どちらも工事に入る前に農業委員会・農林課へ相談必要です。
⭐遊休農地解消は令和8年4月1日から対象者の範囲が広がったので、以前に対象外と言われた方も確認する価値があります。

移住して就農する場合は新規就農者移住・定住促進事業費補助金効きます。
光熱水費まで対象に入れている自治体はほとんどありません。⚠️対象期間は「補助金の交付から5年まで(研修時の交付期間を含む)」なので、研修で2年使うと就農後は3年分になります。
⚠️就農時点で50歳未満、申請時に市外からの転入後1年未満、親族所有の賃貸住宅は対象外、5年間の定住が条件です。

農地を借りるときは新規就農者農地賃借料支援事業(10アールあたり1万円)も使えます。
⚠️借地権の設定を行う場合が対象で、口約束の貸し借りでは出ません。
申請前に農業委員会で利用権設定の手続きを済ませておく必要があります。

県の5件:50〜65歳の受け皿と、さくらんぼの世代交代

独立自営就農者定着支援事業50歳以上65歳未満認定新規就農者(新規参入)が対象。
営農費用(種苗費・農薬費・肥料代等)を年最大66万円・最長3年(計最大198万円)助成します。
国の就農準備・経営開始資金(49歳以下)の対象外を補う受け皿です。

新規就農者育成総合対策等事業(Uターン親元就農・半農半X)定額82.5万円(最長1年)。
対象が「認定新規就農者以外」=国の経営開始資金に乗れない人の受け皿です。
県外からのUターンで家族経営協定を結んで親の経営に就農する人、半農半Xで就農を希望する人が対象(⚠️65歳未満・2年以上の営農継続見込み)。

さくらんぼ品種転換緊急促進事業定額2,000円/本
佐藤錦から晩生種への転換を促す制度で、対象品種はやまがた紅王・紅秀峰・紅てまり・大将錦・紅さやか・紅ゆたかです。

⚠️ 3本以上の改植が必要で、令和9年3月末までに植栽を完了すること。
🔴植栽から4年以内に改植前の佐藤錦を伐採することが条件です。
⚠️重複する国・県の補助事業を使っていないことも要件。
次回募集は令和8年11月(予算に達し次第終了)とされています。

機械・施設なら未来を育む農業担い手育成支援事業(新規就農者等の経営発展)県1/3+市町村1/6=合計1/2(補助対象経費の上限500万円)。
⚠️土地の取得・賃借費、人件費、肥育目的の家畜購入費は対象外です。
⚠️募集は例年6月上旬〜下旬(令和8年度は6月5日〜30日で受付終了)で、市町村へ申請します。

団体向けには同事業(組織的な取組み)あり、県2/10+市町村1/10・上限800万円(⭐県域の取組なら市町村の協調なしで3/10)。
⚠️取組状況を積極的に発信することが条件です。

酒田市(3件):毎年かかることに単価で出す

酒田市の3件は、いずれも設備ではなく毎年の作業や資材対象です。

  • リモートセンシング・土壌分析活用事業=10アールあたりの単価制。
    両方使えば4,000円/10aリモートセンシングだけなら2,000円/10a、土壌分析だけでも1ほ場あたり2,000円
    ⚠️土壌分析はpH(酸度)とCEC(保肥力)を検査するものが基本。
    ⚠️生育中の時期にしか撮影できないため、実施できる期間が限られます
  • 異常気象対応資材施用事業ケイ酸質肥料(土づくり資材)そのものへの補助で、全国的にも例が少ない制度です。
    ⚠️主食用米の刈り取り後から12月31日までに施用すること、 🔴単価は非公表(市の一覧に「定額」とだけ記載)で0234-26-5752へ要確認、 ⚠️申請期限は例年1月上旬と年度末ではありません
  • 有害鳥獣被害対策推進事業費補助金=資材が1/2以内1件あたり上限20万円
    侵入防止柵の「安全講習会の開催・受講費用」が別枠(上限3万円)あるのが珍しい設計です。
    ✅個人でも申請でき、随時受付です

米沢市(3件):親元就農に専用の交付金

米沢市 親元就農支援交付金定額20万円
親元就農「専用」の支援は全国的に少ないので、該当する方は確認する価値があります。

⚠️ 対象は米沢市に住所がある満50歳未満で、親か祖父母(直系尊属2親等以内)が経営主の経営体に専業で新たに従事する方。
⚠️経営主(親・祖父母)が認定農業者または地域計画に位置付けられていることが条件です。
⚠️国の助成金等を受けている(受けたことがある)方は対象外。
🔴交付から3年間、毎年度末に従事証明の提出が必要で、 3年未満で離農すると全額返金です。

米沢市 未来を拓く農業支援事業1/2・上限100万円で、新規作物の導入から新商品開発・販路拡大・スマート農業まで 5つの事業区分をこれ1本でカバーします。
ホームページ等の作成費も販売促進・販路拡大事業の対象です。

⚠️事業費の下限があり(20万円以上・先端技術活用は10万円以上)、原則として交付決定後に事業着手(注文・契約・納品)。
先に買うと対象外です。
⚠️トラクター・田植機・コンバイン・作業小屋などのハード事業は原則対象外(先端技術活用事業を除く)。
⚠️令和8年度は予算上限に達し受付終了しています。

自分で売り先を持つときに、産地と作り手を説明できる場所があるかどうかで引き合いが変わります。
山形はさくらんぼ・ラフランス・米と、名前が通っている品目が多いので、産地名だけで終わらせず「誰が作ったか」まで伝えられると差がつきます。

米沢市 畜産経営支援事業飼料生産機械が1/3・上限30万円、環境整備が1/3・上限20万円の2本立て。
認定農業者なら個人単独で申請できます(畜産農家2戸以上の団体も対象)。

村山市・山形市・鶴岡市

村山市 独自移住就農研修生支援事業は、生活費・住居費・車両費をまとめて見る制度です。
生活費年144万円(⭐夫婦での研修は1.5倍)、住居費年最大120万円、車両費年最大60万円支援期間は最長3年間。
⚠️市外からの移住と、就農研修計画の認定が要件です。

村山市 担い手創造推進事業費補助金就農計画の経営品目の生産経費等が1/2・年上限30万円(認定新規就農者は最長5年で計最大150万円、認定農業者は新規認定時に1回)。

山形市 6次産業化推進支援事業新商品開発・試作品販売・農家レストラン等が単独2/3・上限25万円、商工業者と連携すると上限50万円(重点農畜産物は2/3)。
商談会・見本市出展は1/2・上限25万円、グリーンツーリズムの施設整備は1/3・上限50万円です。

鶴岡市 鶴岡産農産物等販路拡大チャレンジ支援事業商談会出展・EC販売などの新規販路開拓が1/2以内で、国内上限10万円・海外は上限25万円
チラシ・動画・パッケージ刷新などのPR資材は上限10万円で、販路拡大とPR資材は併用できます
⚠️例年4月中旬から予算達成まで先着受付です(令和8年度は4月15日〜)。

山形で申請するときの注意点

  1. 🔴着手前・工事前に相談する。天童市の農地関係2件は工事前、米沢市の未来を拓く農業支援は交付決定後に着手が原則です
  2. 🔴県の担い手育成支援は6月の1か月だけ。令和8年度は6月5日〜30日で受付終了しています。
    年度が明けたら早めに市町村へ
  3. 返還条件を先に見る。米沢市の親元就農は3年未満で離農すると全額返金県のさくらんぼ品種転換は4年以内に佐藤錦を伐採することが条件です
  4. 予算枠が小さい制度がある。天童市の移住・定住は年度の早い段階で予算に達することがあり、鶴岡市・米沢市は先着順です
  5. 単価が非公表のものは電話で聞く。酒田市のケイ酸質肥料は市の一覧に「定額」としか書かれていません(0234-26-5752)

まとめ:山形は「農地の状態」から探す

  • これから農業をやめる=天童市の農地リニューアル支援(伐採・抜根10aあたり10万円)
  • 荒れた農地を戻す=天童市の遊休農地解消(10aあたり15万円)
  • 移住して就農する=天童市(家賃+光熱水費で5年270万円)/村山市(生活費・住居費・車両費)
  • 50歳を超えて始める=県の定着支援(50〜65歳未満・3年で198万円)
  • 親元に入る=米沢市(定額20万円)/県のUターン親元就農(82.5万円)
  • さくらんぼを植え替える=県の品種転換(1本2,000円)
  • 毎年の資材・分析に使う=酒田市(土壌分析2,000円/ほ場・ケイ酸質肥料)

荒れた農地を引き受ける話は耕作放棄地・遊休農地の補助金年齢で国の制度から外れた方は国の補助金から落ちた人が使える県・市町村の制度あわせてどうぞ。
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