山梨県の農業補助金には、はっきりした特徴が2つあります。

1つは、50代からの就農を「新規参入」と「経営継承」で分けていること。
南アルプス市は50〜65歳の新規参入に3年で最大450万円親の経営を継ぐ50代には別枠で100万円を出します。
国の経営開始資金(49歳以下)とほぼ同水準を、市が単独で用意している形です。

もう1つは、果樹産地らしく道具の粒度が細かいこと。
電動剪定バサミ・糖度計・ジベ処理機まで対象に入り、鳥よけの網も獣の柵とは別枠になっています。

この記事では掲載19件を市別に金額つきで整理します。
一覧で見たい方は山梨県の補助金一覧からどうぞ。

山梨の内訳

出し手件数性格
甲州市5件⭐60歳未満の研修支援/狩猟免許は全額
山梨県5件親元就農/スマート農業2/3・500万円
南アルプス市2件⭐⭐50〜65歳を新規参入と継承で別建て
山梨市・甲斐市各2件⭐果樹の小道具まで/品目に定額
笛吹市・北杜市・甲府市各1件機械1/10/⭐利子補給/⭐防鳥網が独立枠
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
山梨県には27の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

⭐⭐南アルプス市:50代を「入る」と「継ぐ」で分ける

50歳を過ぎてからの就農は、国の経営開始資金(原則49歳以下)から外れます。
南アルプス市はそこを2つの制度で別々に受けているのが特徴です。

どちらの立場か制度金額
⭐新しく入る中高年の新規就農者支援事業150万円/年×最長3年=450万円
⭐親の経営を継ぐ中高年の農業継承者経営安定支援事業100万円(就農から1年間)

新規就農者支援のほうは、国の経営開始資金(年165万円)とほぼ同水準を市が単独で出しています。⚠️ただし条件は軽くありません。

  • ⚠️市内で農地30a以上取得または借りていること
  • ⚠️山梨県立農林大学校またはアグリマスター等での研修経歴が必須
  • ⚠️年間農業労働時間1,800時間以上が見込めること・専業農家であること
  • ⚠️経営開始5年後に農業所得200万円以上する計画の提出
  • ✅通年募集(随時受付)。
    申請前に市が対象になるか判断するため、必ず事前相談を

⚠️農家子弟の経営継承による就農は、こちらの対象外です。
その場合は継承者向けの制度になります。
親元での経営継承は国の経営開始資金では対象になりにくいので、 50代で継ぐ人にとってはこれが受け皿です。
⚠️就農した日から1年を超えていないこと条件なので、継いだらすぐ動く必要があります(家族経営協定の締結も必要)。

甲州市(5件):60歳未満の研修支援と、全額の狩猟免許

甲州市 就農定着総合支援制度研修1日5,000円×上限240日=最大120万円
60歳未満対象で、国の就農準備資金(49歳以下)から外れる層の受け皿です。
研修は年180日以上(月10日以上)、期間は原則2年・最大3年まで。

⚠️ 国・県の同様の事業による補助金を受けていないことが条件(併給不可)。
⚠️市内に農地を持つ人から30a以上の農地を将来借りる/買う候補として確認できること必要です。
受入は地域のアグリマスター等で、地域ぐるみで人材を育てる仕組みになっています。

甲州市 新規狩猟者確保対策事業補助率10/10(全額)
狩猟免許申請手数料・予備講習会受講料・射撃教習受講料が対象で、銃砲所持許可の射撃教習まで見てくれる自治体は多くありません(⚠️猟友会の支部への加入・市内在住・過去3年間市税の滞納がないことが条件)。

甲州市 有害鳥獣被害防止電気柵・ネット網等資機材購入費補助金補助率1/2以内ですが、 🔴個人は上限5万円、団体だと上限50万円と10倍のあります。
地域の区やほ場等管理組合など、農業者で組織する団体でまとまるかどうかで使える額が変わります。

残る2件です。
農地流動化奨励補助金貸す側にも借りる側にも出て、借りる側のほうが金額が大きい設計(貸借10年以上なら貸す人5,000円・借りる人10,000円/10a、所有権移転なら譲り渡す人6,500円・譲り受ける人12,500円/10a。
⚠️家族間の貸借・移転は対象外)。
農福連携推進農業者支援事業福祉事業所への農作業委託費が1/2以内・上限10万円(⭐袋詰めなどの出荷調整作業も対象
⚠️委託先は県内の就労継続支援B型事業所)。

⭐山梨市:果樹の小道具まで、中古も対象

山梨市 農業用機械等購入及び施設整備支援補助金は、果樹農家が実際に使う道具の粒度で組まれています(1/2・上限20万円)。

  • 電動剪定バサミ・ハンディソー・ジベ処理機・糖度計・電動巻つる処理機など小型機器が幅広く対象
  • 中古品も対象(SS・乗用草刈機・昇降機・運搬機・トラクター・ウッドチッパーで50万円以上のもの)
  • ⭐新規就農者(開業届の受理から5年以内)はぶどう棚の新設に上限30万円・修繕に10万円
  • ⭐全国からのふるさと納税寄付が原資になっている制度です
⚠️ 対象は個人事業主で、農業収入のうち果樹での収入が過半であること。
⚠️市内に事業所または販売店を置く事業所から購入したものに限られます。
⚠️新品は2万円以上、中古は50万円以上が下限。
⚠️次年度以降、同じ機械は仕様が違っていても再度購入できません。
⚠️反射シートは県の推奨品種を定植していることが条件(もも=日川白鳳・夢桃香・夢みずき・白鳳・あかつき・なつっこ・川中島白桃・幸茜/ぶどう=サンシャインレッド)。
⚠️ぶどう棚は2親等以内の経営者から継承した親元就農者は対象外です。
⚠️混雑するため必ず電話で事前相談の予約してください。

果樹は剪定・摘果・収穫と、一年を通して手と腰を使い続ける作業が続きます。
電動の道具で負担を減らせる部分はありますが、それでも体のほうが先に音を上げることがあります
50代から始める場合はとくに、道具と同じくらい体の側の備えも効いてきます。

山梨市 狩猟免許等取得補助金予備講習1万円・⭐射撃教習3万5,000円
狩猟免許と鉄砲所持許可の両方を新規取得すれば最大4万5,000円になります。
⚠️取得後は速やかに申請してください(遅れると受けられない場合があります)。

県の5件:親元就農と、スマート農業2/3

山梨県 親元就農促進支援事業50万円または100万円(経営指標を5年以内に5%増→50万円、10%増→100万円)。
⚠️就農時50歳未満、3親等以内の親族が経営する県内の農業経営体への就農が対象で、本人と配偶者の前年合計所得600万円以下、親元世帯1人当たりの前年度農業所得400万円以下、年間農業従事日数225日以上かつ1,800時間以上、親が認定農業者または地域計画の目標地図に位置づけられていることが条件です。

機械・施設はスマート農業推進事業費補助金(2/3以内・上限500万円。
⚠️下限100万円なので小規模な機器単体では使いにくい)と、施設園芸等経営強化支援事業費補助金(2/3以内・上限300万円・下限10万円。
⚠️施設園芸セーフティネット構築事業への加入が要件、中古機器・消耗品は対象外)の2本があります。

やまなし新規就農アシスト事業リース方で、リース事業者への補助率が取得価格の1/3以内(県2/9+市町村1/9)。
新規就農者はリース料が下がる形で恩恵を受けます=機械を直接買わなくてよい仕組みです。
トラクター・コンバイン・ぶどう棚などが対象。

やまなし未来創造農業推進事業⚠️対象が農協・営農集団・農地所有適格法人・農業参入企業・NPO法人で、個人農家単独では使えません(データ農業・スマート農業、4パーミル・イニシアチブ、異常気象への対応が対象。
補助率・上限は非公表で県農村振興課へ確認)。

甲斐市・北杜市・甲府市・笛吹市

甲斐市の2件は品目に定額で出す型です。
やはたいも作付補助事業1平方メートルあたり20円(10アール作付ければ2万円)。
⭐農地を借りて作付けしている場合も、農地貸借確認書を添えれば申請できます(⚠️竜王地区・100平方メートル以上)。
学校給食米生産者補助事業籾1キログラムあたり50円で、学校給食向けという安定した出荷先を確保しながら補助も受けられます(⚠️コシヒカリ・ヒノヒカリ、農協の検査で認められたもの)。

北杜市 担い手農業者育成助成金4メニュー構成で、注目は利子補給です。
借入金残高につき年2.0%以内を市が負担し、償還が終わるまで続きます
融資の返済負担を直接下げられる制度は多くありません。
ほかに③チャレンジ農業(休耕田・遊休畑を活用した高収益農業や特産品開発の資材費等が 1/2以内限度額100万円)、①農業教育研修(研修生を受け入れる農家に日額1,500円以内・研修生1人につき年額50万円が上限・2年以内)、 ②農地集積(3年以上の賃借権設定・標準小作料と契約賃貸借料の低いほうの1/2以内)。

甲府市 鳥獣被害防除用施設設置費補助金防鳥網が独立した対象になっています(1/2・上限3万円)。
果樹産地では鳥の食害が実害になるため、獣の柵とは別に用意されているものです。
電気柵1/2・上限10万円、金網柵1/2・上限5万円、他獣種対応型柵1/2・上限10万円。
⚠️事前に購入すると対象外、一世帯につき年度あたり原則1回、家庭菜園は対象外です。

笛吹市 農業用機械等購入補助金税抜10万円以上・耐用年数7年以上の機械が1/10以内・上限10万円
補助率は低めですが、⚠️市内事業所からの新品購入が条件です(軽トラック・バックホー等の汎用機械は対象外)。

山梨で申請するときの注意点

  1. 🔴買う前に申請する。甲府市の鳥獣防除は事前購入だと対象外、山梨市は電話での事前相談の予約が必須です
  2. 🔴継いだらすぐ動く。南アルプス市の継承者支援は就農日から1年を超えていないことが条件です
  3. 研修経歴が要る制度がある。南アルプス市の新規就農者支援は県立農林大学校またはアグリマスター等での研修経歴が必須。
    甲州市も受入がアグリマスター等です
  4. 個人と団体で桁が変わる。甲州市の鳥獣柵は個人5万円・団体50万円。
    地域でまとまれるかを先に確認してください
  5. 買う店が指定されることがある。山梨市は市内に事業所・販売店を置く事業所から、笛吹市も市内事業所からの購入が条件です

まとめ:山梨は「年齢」と「果樹」から探す

  • 50代で新しく入る=南アルプス市(3年450万円)/甲州市の研修支援(60歳未満・最大120万円)
  • 50代で親の経営を継ぐ=南アルプス市の継承者支援(100万円)
  • 50歳未満で親元に入る=県の親元就農促進(50万〜100万円)
  • 果樹の道具をそろえる=山梨市(電動剪定バサミ・糖度計・中古も可)
  • 機械を買わずに使う=県の新規就農アシスト(リース料が下がる)
  • 借入の返済が重い=北杜市の利子補給(年2.0%以内・償還まで)
  • 鳥と獣が出る=甲府市(⭐防鳥網が独立枠)/甲州市(団体なら50万円)

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