WCS用稲(稲発酵粗飼料)は、水田活用の直接支払交付金のなかで単価がいちばん高いです。
10aあたり8万円。
麦・大豆の3.5万円の2倍以上あります。

それなのに、WCSや飼料の補助金は「畜産の話」として畜産の記事に埋もれがちで、稲作側から探すと単価がまとまって出てきません。
この記事では、掲載している12件を「作る(水田で飼料を作る)」と「買う(配合飼料の高騰)」分けて、単価つきで並べます。

お住まいの地域の制度はみのり補助金ナビ県を選ぶと一覧になります。

① 国の土台=水田活用の直接支払交付金

飼料をめぐる補助金の柱はこれ1本です。
水田活用の直接支払交付金は、水田で主食用米のかわりに何を作るかで単価が変わります。

作る作物単価(10aあたり)ひとこと
WCS用稲(稲発酵粗飼料)8万円⭐転作作物のなかで最高単価。収穫・梱包の機械が要る
飼料用米・米粉用米5.5〜10.5万円⭐収量に応じて変わる。一般品種は標準6.5万円。⚠️一般品種は単価を段階的に引き下げ中
麦・大豆・飼料作物3.5万円飼料作物=デントコーン・牧草など
加工用米2万円
そば・なたね(産地交付金)2万円産地交付金は地域ごとにメニューが違う
🔴 申請先は国ではありません。窓口は地域農業再生協議会(市町村農政課・JA)で、毎年の営農計画書の提出期限に合わせて出します。
⚠️販売目的の生産が前提で、出荷契約・販売実績の確認があります。
⚠️水田機能(畦畔・かんがい)を維持していることなど、対象水田の要件もあります。
⚠️単価・メニューは年度で見直されるので、営農計画を立てる前に必ず協議会で確認してください。

② 県の上乗せ=国の交付金に足せるもの

国の交付金に、県が独自に上乗せしている例があります。
上乗せは「知っていれば足せる」タイプなので、取りこぼしがいちばん多いところです。

  • 千葉県 飼料用米等生産支援事業=新規需要米の作付けを10aあたり3,000円以内定額支援。
    国の水田活用交付金への上乗せとして使えます
  • 埼玉県 新規需要米作付拡大支援事業=作付けそのものではなく省力化のスマート農業機械の導入に1/2以内
    標準事業費800万円=補助額の目安は400万円ほど。
    ⚠️令和8年度は7月10日で要望調査が締め切られており、次年度分は6月のうちに農林振興センターへ確認が要ります

⚠️埼玉の型は「前年度のうちに手を挙げないと使えない」制度です。同じ形の制度は各地にあります。
前年度要望の落とし穴は農機の補助金は前年度に決まるまとめています。

③ 買う側=配合飼料の高騰対策は県で単価が違う

飼料を買う畜産農家向けは、配合飼料価格安定制度への上乗せいう形が主流です。
同じ「高騰対策」でも、単価も手続きも県でかなり違います。

単価手続き
岡山県積立助成 定額400円/t + 購入支援=肉用牛9,200円/t(上限1,100万円)/酪農4,000円/t(上限600万円)/ 養豚2,200円/t(上限400万円)⚠️申請先は加入している基金団体。⚠️購入支援に鶏は含まれない
沖縄県四半期ごとの上限単価(令和8年度=第1四半期7,871円/t → 第4四半期3,321円/t)と、 実質負担額の差額の1/2の低いほう⚠️四半期が進むほど上限が下がる。参加申請の受付は令和8年9月ごろ・基金管理団体へ
新潟県積立金支援200円/t + 酪農は3,500円以内/t を上乗せ加入している基金の事業主体を通じて。⚠️国の同様支援があると減額
広島県400円/t以内 × 対象期間の契約数量申請手続きが不要。加入先の実施主体から振り込まれる
🔑 まず「自分の県は申請が要るのか」を確かめてください。広島のように出さなくても入る県と、沖縄のように参加申請を出さないともらえない県が混在しています。
⚠️そしてどちらの県も、申請先は県庁ではなく自分が加入している基金管理団体です。

④ 作る側=自給飼料に切り替える支援

高騰対策は単年度の緊急対策が多く、来年も同じ額が出るとは限りません。
設備や草地に残る「作る側」の支援のほうが、効き目は長く続きます。

  • 岡山県 県産飼料生産・利用拡大緊急対策事業=草地の改良(種子・肥料・土壌改良資材)に1/2以内
    水田飼料作物の収穫を請け負うコントラクター組織には10aあたり2,500円
  • 北海道 自給飼料で支える酪農強化対策事業=放牧の開始・拡大に1/2以内・上限100万円酪農ヘルパー組織の実証に1/2以内・上限25万円、経営体質強化に定額100万円。
    ⚠️令和8年度は7月27日〜8月17日で受付終了。
    ⚠️要望が予算を超えると補助率が下がります
  • 米沢市 畜産経営支援事業=自給飼料の生産拡大に必要な機械の導入に1/3・上限30万円
    ⭐随時受付で、予算に達した時点で締切
  • 鶴田町 稲わら収集事業=わら焼きを減らすため、機械で稲わらを収集する経費に10aあたり4,000円
    ⭐稲作側から飼料に関われる小さな入口

⚠️作る側に回るときに実際に効くのは、機械よりも「作業を頼める先があるか」です。WCS用稲の収穫・梱包も、水田飼料作物の刈り取りも、自分で機械を持たない場合はコントラクターに頼むことになります。
岡山のように受託側へ単価を出している県があるのは、そこが詰まりやすいからです。

⚠️ここで実際につまずくのが電源です。WCSのラップ作業も、放牧地の電気柵も、飼料タンクの見回りも、たいてい電気の来ていない場所でやることになります。
補助金は機械や資材には出ても、そこまで電気を引く工事費までは面倒を見ないことが多く、引くとなれば機械より高くつく場合もあります。
まず小さく試す段階なら、持ち運べるポータブル電源[広告]足りるかを先に確かめると、投資の順番を間違えずに済みます。
⚠️容量(Wh)と定格出力(W)は、動かしたい機器の消費電力から決めてください。

⑤ 申請でつまずきやすい3つ

  1. 🔴窓口を間違える。国の交付金は地域農業再生協議会、飼料高騰対策は基金管理団体。
    どちらも県庁ではありません
  2. 🔴年1回の期限を逃す。営農計画書の提出期限も、埼玉の要望調査(7月10日)も、北海道の募集(7月27日〜8月17日)も年に一度きりです。
    逃すと1年待ちなります
  3. ⚠️出荷先を決めずに作ってしまう。WCS用稲も飼料用米も販売目的の生産が前提で、出荷契約・販売実績の確認があります。
    作ってから買い手を探す順番では通りません

⚠️そして、飼料をめぐる制度はもっとも年度改定が入りやすい分野です。
飼料用米の一般品種は単価が段階的に引き下げられていますし、沖縄の四半期単価のように年度内でも数字が動くものがあります。
この記事の単価も、申請前に必ず公式の最新版で確認してください。

自分の地域の制度をさが

ここに挙げたのは掲載12件のうち代表的なものです。
産地交付金は地域農業再生協議会ごとにメニューと単価が違うので、最終的にはお住まいの協議会に当たるのがいちばん確実です。
当サイトの掲載分は畜産の補助金一覧県を選んだ一覧からも探せます。

まとめ

  • WCS用稲は10aあたり8万円=転作作物で最高単価。
    飼料用米は収量次第で5.5〜10.5万円
  • 県の上乗せがある(千葉3,000円/10a)。
    埼玉の機械支援は前年度の要望調査に間に合わないと使えない
  • 買う側の高騰対策は県差が大きい。
    岡山は肉用牛1トン9,200円、広島は申請不要
  • 長く効くのは「作る側」=草地改良1/2、放牧1/2・100万円、機械1/3・30万円
  • 🔴窓口は県庁ではなく、地域農業再生協議会か基金管理団体