茨城県の農業補助金には、はっきりした特徴が2つあります。

1つは、県が「産地」と「人手」に出していること。
園芸産地の高温対策に上限200万円そして特定技能外国人の免許・資格取得に1人10万円いう枠を持っています。
もう1つは、市町村の制度が4月に始まって数週間で終わること。
日立市の農機具補助は令和8年度、4月15日に受付を開始してすぐ予算上限に達しました

この記事では掲載21件を市別に金額つきで整理します。
一覧で見たい方は茨城県の補助金一覧からどうぞ。

茨城の内訳

出し手件数性格
茨城県7件⭐産地の強化と人手の確保。品目名で出す
日立市3件⭐認定農業者でなくてよい。農機具は中古も可
小美玉市3件⭐狩猟免許は全額、防護柵は2/3と高水準
つくば市・常陸大宮市各2件就農支援+機械。つくばは65歳未満まで
水戸市・筑西市・稲敷市・鉾田市各1件研修後・就農後の受け皿/スマート/資材
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
茨城県には44の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

🔴まず知っておくこと:茨城は「4月に動けるか」で決まる

茨城の市町村の制度を調べていて、他県よりはっきり目についたのが締切の早さです。
金額や補助率よりも先に、ここを押さえてください。

⚠️ 年度が明けてから探し始めると、その年はもう間に合いません。3月のうちに担当課へ電話して受付開始日を聞き、見積書を用意しておくのが現実的な進め方です。
お茨城の制度はほぼすべて「購入前の申請」必須で、買ってしまった機械・資材は後から申請できません。

例外は日立市 鳥獣被害防止施設整備支援事業で、受付が4月1日から翌年2月下旬まで長く、年度内のタイミングを選べます(令和8年度は令和9年2月26日まで)。
⭐オンライン申請ポータルから申請・実績報告・請求まで手続きできるのも、この一覧のなかでは珍しい部類です。

県の7件①:人手不足に正面から出す2つ

茨城県の制度でいちばん特徴的なのが、労働力そのものを対象にした2本です。

外国人農業労働力確保支援事業費補助金(資格取得支援)特定技能外国人1人あたり最大10万円(定額)
普通免許・大型特殊(農耕車限定)免許の取得・更新費に加えて、フォークリフト・ショベルローダー・小型車両系建設機械・玉掛けなどの技能講習受講料とテキスト代も対象です。
⚠️申請するのは受入側の農家等(特定技能所属機関)で、補助対象期間内に資格取得・講習修了することが要件になります。

人を増やすのではなく「作業を外に出す」側を支えるのが2本目です。
いばらきの農業支援サービス事業緊急拡大支援対策機械導入に1/2以内・上限1,500万円スマート農業機械なら3,000万円)。

⚠️ 対象は「農業支援サービス事業体」です。
自分の農地で使う機械には使えません。
✅ ただし他の農家の作業を受託する(受委託契約を結ぶ)なら農家自身も対象になり得ます
⚠️補助を受けた機械は農業支援サービス専用で、自分の農地で使うと対象外。
サービス提供面積の拡大が必須条件で、乾燥機・色彩選別機などの調製機械は対象外です。
⚠️受付は例年6月下旬に事前確認、7月中旬に県へ申請(令和8年度は事前確認6月26日17時・申請7月14日で受付終了)。

県の7件②:高温対策に上限200万円

茨城県 園芸産地高温対策事業1経営体あたり上限200万円・補助率1/3以内
夏にハウスが焼ける問題に、県が専用の枠を立てています。

🔴この制度は「何を買うか」より「どう組み合わせるか」で通るかが決まります。

  • ⚠️単独の技術では対象外。複数の対策の組合せが条件で、しかも「①換気+②遮光・遮熱」は必須
  • ①換気=外気導入器・天窓換気装置/②遮光・遮熱=遮光ネット・遮熱フィルム/ ③冷却=ヒートポンプ・細霧冷房・屋根散水
  • ✅ すでに対策している場合、既存の資材・装置も「対策技術」として数えられます
  • ⚠️サイド(側窓)換気と塗布剤は対象経費になりません
  • ⚠️県の「強靭化ハウス」の要件を満たすか、施設園芸共済・民間保険に入っていることが必要
  • ⚠️収量目標(現状から向上かつ県の収量基準)と、耐用年数以上の同一品目の栽培継続が求められます

✅ 露地野菜・花きの育苗ハウスも対象です(高温環境下で育苗する品目に限る)。

⚠️ヒートポンプや細霧冷房を入れると、暑さは下がっても電気代は上がります
補助金は買うときの半分〜1/3を見てくれますが、そのあと毎月出ていく電気代は自分持ちです。
ハウスの屋根や周辺の空き地で発電して自家消費に回せるかは、設備を決める前に一度見ておくと判断材料になります。

県の7件③:品目の名前で出す

制度金額・補助率特徴
儲かる産地支援事業1/3(⭐メロン枠は1/2)⚠️事業費160万円以上・受益農家3戸以上(先端技術は1戸でも可)
枝物トップランナー産地拡大事業1/2・機械は上限150万円⭐荒廃農地の再生に1aあたり2万円
酒米生産振興緊急支援事業定額2万円以内/10a⭐コシヒカリとの価格差の1/2を埋める設計
有機農業トップランナー事業4メニュー(上乗せ2/10ほか)⭐農地を貸す側にも1.5万〜2万円/10a

名産メロン「イバラキング」贈答用・輸出向けは、パイプハウス・非破壊糖度計が1/2以内補助率が上がります(通常枠は1/3以内)。
⚠️ただし儲かる産地支援事業は事業費160万円以上要件で、トラック・フォークリフト・動力噴霧機など汎用性の高い機械は対象外。
3年後までに販売金額・出荷量・収量・単価のいずれか3%向上、または生産コスト3%削減の見込みが必要です。

枝物(ハナモモ等)に特化した県単事業があるのは全国的に珍しく、茨城ならではです。
荒廃農地等の再生が1/2以内(上限は1aあたり2万円)、乗用草刈機など労力削減の機械類が1/2以内・上限150万円。
⚠️再生した農地で3年以上、枝物を生産することが条件で、機械類も入れる場合は10a以上の再生が必要です。
✅新規就農者も事業対象に含まれています。

酒米10aあたり定額2万円以内
⭐コシヒカリとの価格差の1/2相当を埋める設計なので、主食用米からの転換でも手取りが落ちにくくなっています。
⚠️県内の酒蔵または集荷業者との契約栽培要件なので、酒蔵との縁づくりを先に始める必要があります。

有機農業トップランナー事業4メニュー構成です。
⭐注目は農地を貸す側にも協力金出ること(定額1.5万円/10a、1ha以上まとまった農地なら2万円/10a)。
荒廃農地の再生は1/2以内・上限10万円/10a(抜根ありは25万円/10a)で、 1ha以上まとめて再生すれば2/3以内・上限15万円/10a(抜根ありは35万円/10a)に上がります。
⚠️団地育成の対象品目はにんじん・たまねぎ・じゃがいも・キャベツ・はくさい・トマト・米に限られ、面積要件(露地野菜10ha以上・施設野菜5ha以上等)は個人だけでは届きにくい規模です。

⭐日立市(3件):認定農業者でなくてよい

日立市 農機具購入費補助金1/2・上限20万円。
この一覧のなかでいちばん使う人を選ばない設計です。

  • 認定農業者などの資格要件がない
    農地台帳に記載があり、直売所に出荷していれば申請できます
  • 中古の農機具も対象(新品限定の制度が多いなかでは貴重)
  • 通算3回まで受給できます(年度内は1世帯1回)
  • ⚠️稲作用の農機具は対象外で、出荷する農作物も米を除きます
  • ⚠️補助額の下限が5万円=購入費が10万円未満だと対象になりません

日立市 鳥獣被害防止施設整備支援事業資材費の2/3・上限6万円。
資材費9万円なら自己負担は3万円済みます。
⚠️補助対象は資材購入費のみで設置経費は含まれず、借地の場合は対象とならないことがあります

日立市 特産農産物産地育成事業種子・苗の購入費が1/2・上限10万円。
種苗代という毎作かかる費用出るので、作付けを広げるタイミングで使えます。
⚠️「新たに、または拡大して」作付けする分が対象例年どおりの作付けは対象外)で、 JA(JA常陸、JA日立市多賀)の推薦書と作付農地の位置図が必要です。

⭐小美玉市(3件):狩猟免許が全額、防護柵は2/3

小美玉市 狩猟免許等取得補助金補助率10/10=全額です。
わな猟免許の予備講習受講料と免許申請手数料が実質無料になります。

  • 🔑わな猟免許は猟友会への所属義務がありません(銃猟は茨城県猟友会小美玉支部への所属と捕獲活動への従事が条件)
  • 銃猟は上限6万円。
    予備講習料・免許申請手数料に加えて、猟銃の取扱いに関する講習受講料・教習資格認定申請手数料・火薬類譲受許可申請手数料・技能検定受験手数料・所持許可申請手数料まで対象
  • ⚠️銃猟関係は申請日現在の年齢が65歳以下であることが条件
  • ⚠️市内に住所があり、過去に狩猟事故・狩猟違反がないこと/市税の滞納がないこと

小美玉市 農作物被害防止防護柵設置事業補助金2/3・上限12万円
1/2・数万円の市が多いなかでは高い水準です。
電気柵・ワイヤーメッシュ柵・防護ネット柵など柵の種類を幅広く選べます。
⚠️補助対象は資材購入費のみ(設置工事費は対象外)、家庭菜園は対象外、申請前に購入したものは対象外です。

小美玉市 先端技術導入支援事業補助金1/3・上限50万円。
対象が広く、農業用ドローン・GPS(ロボット)トラクター/田植機/コンバイン・食味収量センサ付きコンバイン・自動操舵システム・リモコン草刈機・電動アシストスーツ・生育管理システムなどが含まれます。
非電動のアシストスーツ「省力化機材導入支援」として 1/3・上限10万円で対象になります。

⚠️ 「スマート農業技術」の定義=①農業用の技術・機材 ②デジタル(情報通信)技術を有する ③農作業の効率化・負担軽減・生産性向上、の3つをすべて満たすもの。
スマート農業技術(機能)のない機械は対象外です。
⚠️申請は同一年度内で1回限り(家族・関連企業で複数名該当してもいずれか1名のみ)、補助対象経費は本体のみ設置・取付費や運用費は対象外、交付決定前に買ったものと中古機械は対象外
国・県・他の自治体の補助金との重複受給もできません。

つくば市(2件):18歳から65歳未満まで

つくば市 新規就農経営支援補助金18歳以上65歳未満対象。
国の経営開始資金(原則49歳以下)の年齢の壁を大きく超えています。
最大5万円・年最大60万円・最長3年間=最大180万円で、種苗費・肥料費・農具費など営農の経費が対象です。
⚠️国の新規就農者育成総合対策との重複受給はできません。

つくば市 スマート農業機械等整備支援事業1/2・上限50万円。
中古品も対象です(個人間売買は不可・農機具販売業者からの購入であること)。
⚠️汎用性の高いもの(農業以外に容易に使えるもの)は対象外。
⚠️前年度に同種の市補助を受けた人は原則申請不可ですが、有機JAS取得者や「スマート農業技術カタログ」掲載機械なら再申請できます。

常陸大宮市(2件):手厚いが、条件も重い

常陸大宮市 新規就農支援事業研修月3万円(2年まで)+経営月5万円(就農後3年まで)
⭐研修を受け入れる市内農家にも月3万円が出るので、受け入れ側の負担が軽くなる設計です。

⚠️ 条件はこの一覧のなかでいちばん重い部類です。
対象は「他産業から新たに就農する人」で満18歳以上45歳未満(農業後継者を除く)。
就農時に市内の農業経営面積50a以上必要で、 🔴10年間、経営主として農業に従事することを確約し、 10年以内に農業経営改善計画の認定(認定農業者)を受けることも求められます。
申請時に市内に住所があること・市税等を滞納していないことも条件です。

もう1件の有機農業推進土地改良事業補助金は、「有機農業のための土地改良」に出すいう全国的にも例の少ない設計です。
補助率は経費の15%以内。
⚠️受益面積がおおむね20ha以下・1地区あたりの事業費がおおむね20万円以上が条件で、茨城県の同種事業における計画審査に合格することが前提=市単独では完結しません。
⚠️上限額は要綱に明記がないため、事業費が大きい場合は農林振興課で確認してください。

水戸市・筑西市:研修のあと、就農のあとを拾う

水戸市 就農スタートアップ支援事業資機材の購入に1/2以内。
金額が2段階なっているのが特徴です。

  • 青年等就農計画の認定を受けた方=上限20万円
  • 農業研修の修了後3年以内の方=上限10万円
    まだ認定を受けていない段階でも使えます

⚠️認定期間内であることが条件で、認定が切れていると対象になりません。
対象経費の細目はページに明記がないため、購入前に市農政課振興係へ確認してください。
認定を取れば上限が2倍になるので、認定の検討とセットで相談するのが得です。

筑西市 新規就農者研修事業研修費に上限30万円(期間1年間)。
「就農後おおむね3年以内の人」も対象で、研修支援は就農前だけという制度が多いなかでは珍しい設計です。
国の経営開始資金の受給者は対象外=逆に言えば、国の支援から漏れた人の受け皿になっています。
✅市外から転入する人には別枠で住宅費補助10万円(1回限り)。
⚠️年齢要件は50歳以下です。

研修先は日本農業実践学園・鯉渕学園などの学校、いばらき営農塾(茨城県立農業大学校)、先進農家等研修、その他市が認めた研修。
対象経費は研修受講料・教材費・研修先への交通費です。

稲敷市・鉾田市

稲敷市 スマート農業推進事業補助金1/3以内・上限70万円。
農林水産省「スマート農業技術カタログ」掲載のICT機器・ロボット技術が対象です。
⚠️購入前の申請が必須で、過去にこの補助金を使った方は再度は使えません。
🔴市の告知で「予算額が残りわずか」されています(2026年7月時点)。

鉾田市 生分解性マルチ活用推進事業1mあたり20円・上限10万円
使用後に土壌へすき込める分解性マルチが対象で、プラごみ削減と、剥ぎ取り作業の省力化両方に効きます。
対象は市内の農林水産業を営む個人・法人・団体。
⚠️令和8年秋以降の受付予定とされているので、時期は市へ確認してください。

茨城で申請するときの注意点

  1. 🔴4月に動く。日立市の2件は4月15日開始、小美玉市の先端技術は5月1日ごろから先着順。
    3月のうちに担当課へ受付開始日を確認しておく
  2. 買う前に申請する。稲敷市・小美玉市3件・日立市3件のいずれも、購入前の申請が必須です
  3. 中古が使えるかは市で違う。日立市の農機具とつくば市のスマート農業は中古可、小美玉市の先端技術は中古不可です
  4. 1回限り・回数制限の確認。小美玉市の先端技術は同一年度に1回(家族でもいずれか1名)、日立市の農機具は通算3回まで、稲敷市は再申請不可
  5. 市税の滞納がないこと。小美玉市・常陸大宮市・日立市はいずれも条件に入っています

まとめ:茨城は「時期」と「立場」から探す

  • ハウスの暑さを何とかしたい=県の高温対策(上限200万円。
    ⚠️換気+遮光の組合せが必須)
  • 人手が足りない=県の外国人資格取得(1人10万円)/作業を受託する側になるなら農業支援サービス(上限1,500万〜3,000万円)
  • 認定農業者ではない=日立市の農機具(1/2・20万円・中古可・通算3回)
  • 50歳を超えて就農する=つくば市(18〜65歳未満・月5万円×3年)
  • 研修を終えた/就農して数年=水戸市(研修修了後3年以内)/筑西市(就農後3年以内・国の資金の受給者が対象)
  • 獣が出る=小美玉市(狩猟免許は全額・柵は2/3)/日立市(柵2/3・受付が2月下旬まで長い)

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