長崎県の農業補助金には、はっきりした特徴が2つあります。

1つは、50代・60代の就農に金額で出す市が複数あること。
西海市は50歳以上61歳未満に3年で360万円長崎市は50〜64歳に年120万円×2年
国の就農支援(原則49歳以下)から外れる年代の受け皿が、県ぐるみで用意されています。

もう1つは、県の制度の入口が市町にあること。
県の主力事業は市町が事業費の10分の1以上を上乗せすることが交付条件で、市町が乗らなければ県の補助も動きません。

この記事では掲載20件を市町別に金額つきで整理します。
一覧で見たい方は長崎県の補助金一覧からどうぞ。

長崎の内訳

出し手件数性格
長崎市4件⭐中高年就農に年120万円。びわ・狩猟免許も
南島原市3件⭐親元就農に3年160万円(1年目に100万円)
五島市・島原市・平戸市各2件⭐鳥獣/畜産の頭数定額/施設4/5と、島と半島で色が違う
長崎県2件⚠️市町の上乗せが交付条件。入口は市町
諫早市・雲仙市・大村市・佐世保市・西海市各1件⭐西海市は50歳以上に360万円と県下トップクラス
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
長崎県には21の市町があり、表に出ていない市町にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

⭐長崎の芯:50歳を超えてからの就農に、いちばん厚い

国の就農準備資金・経営開始資金は原則49歳以下です。
この年齢の壁の外側に、長崎は4つの受け皿持っています。

制度対象年齢金額
西海市 新たな就農者支援事業50歳以上61歳未満120万円×3年=360万円
長崎市 中高年新規就農者給付金50歳以上65歳未満年120万円×最長2年=240万円
佐世保市 新規就農者支援事業費補助金60歳未満研修 月3.6万円×10か月+農機1/3・40万円
長崎県 技術習得支援研修事業研修開始時64歳未満研修の機会(基礎2か月+実践10か月)

西海市の360万円がこの県のトップです。
新規参入者に年120万円を3年
しかも受給者本人以外で転入する世帯員のうち、所得税法上の被扶養者1人あたり年10万円が加算されます。
家族で移ってくることを前提にした設計です。

⚠️ 西海市の要件=就農して2年以内・50歳以上61歳未満・長崎県等の研修制度を経て就農・支援認定・自治会加入など。
⚠️支援を受けた年数の倍の期間以上(最低3年以上)営農を継続する条件があります。
3年もらったら6年続ける、という重さは先に見ておいてください。

西海市には施設等整備支援もあり、ハウス・機械・設備・資材等が3/4以内・下限20万円・上限300万円(1回のみ)。
61歳未満で、就農1年前から就農2年以内の人が対象です。

移住して就農する場合、住まいは借りるだけでなく空き家を引き継ぐ形になることもあります
納屋や蔵に前の住人の家財が残っていると、片づけ費用が最初の出費になりがちです。

🔴県の2件:申し込む前に、まず市町へ

ながさき農林業・農山村構造改善加速化事業上限2,500万円(1事業主体あたり)の大型事業ですが、 🔴市町が補助対象事業費の10分の1以上を上乗せすることが県補助の条件です。
県のページを見て県へ直接申し込もうとすると、順番を間違えます。

  • 2つの型があります。後継者応援型=施設2/5・機械1/3(50歳未満)/ ⭐認定新規就農者応援型=施設1/2・機械1/3。
    新規就農者側のほうが施設の補助率が高い設計です
  • ⚠️1人(受益戸数1戸)で実施する場合は上限1,000万円なり、しかも農業用機械は支援対象外
    機械を入れたいなら2戸以上でまとまる必要があります
  • ⚠️下限もあります=1事業主体あたりの助成対象事業費100万円以上、農業用機械は1台50万円以上
  • ⚠️園芸ハウスの面積要件=1戸なら1,000㎡以上、2戸以上なら2,000㎡以上。
    国庫補助の対象になる事業は原則としてこの県事業の対象外です

もう1件の技術習得支援研修事業は、お金が振り込まれる制度ではなく研修の機会を提供する制度です。
基礎研修2か(県立農業大学校等で施肥・防除・土づくり、機械操作、就農計画作成演習)+実践研修10か(県内各地の優良農家・生産部会)という構成で、募集は各コース25人・計50人。
研修開始時64歳未満対象で、生活費は国の就農準備資金等と組み合わせて考えます。

⚠️この県の研修とセットで動くのが雲仙市 農業就業者確保育成対策事業です。
⭐研修中に月額最大5万円を最長2年間(目安として最大120万円)。
対象が「長崎県の技術習得支援事業を活用し、市内の農業者から研修を受ける人」なので、市と県の両方に相談が必要です。
研修先を決める前に市農林課へ確認してください。

⭐平戸市(2件):国と合わせて年240万円、施設は4/5

平戸市 就農準備支援事業・経営開始支援事業は、国の制度との組み合わせ方が分かりやすく設計されています。

  • ⭐国の新規就農者育成総合対策が使える人=国150万円+市90万円で年240万円
  • 国の対象にならない場合でも、市単独で年120万円
  • 【就農準備支援】研修期間の1年間/【経営開始支援】最大2年間(⚠️認定新規就農者であることが前提)
  • 研修は農業大学校での2か月の座学+地元の先輩農家での10か月の実地

⚠️国の資金と市の上乗せの併用可否・順番は必ず市へ確認してください。

平戸市 中核的経営開始型支援事業補助金は、国県事業に上乗せする場合で補助対象経費の4/5以内
施設整備の補助率としては全国でも上位です。
市単独事業として使う場合でも2/3以内あります(対象=新たな園芸用施設および肉用牛施設の整備)。
⚠️上限額はこの案内に記載がないため、市へ確認してください。

南島原市(3件):親元就農に前厚で160万円

南島原市 親元就農者支援事業1年目100万円 → 2年目30万円 → 3年目30万円=3年合計160万円
1年目に100万円を寄せた前厚の設計で、就農直後のいちばん苦しい時期に厚く出ます。
国の経営開始資金は「独立・自営就農」が原則で親元就農は対象外になりやすいので、その受け皿です(⚠️49歳以下)。

同じ市の新規就農者就農支援事業4分の3以内・上限75万円補助率が高い制度ですが、 ⚠️対象は就農1年目の認定農業者限られます(2年目以降は使えません)。
親元就農の人は、どちらが有利か比べてから決めてください。

農業研修支援事業・農業後継者育成事業2本立てです。
【研修支援】他市から転入し国の就農準備資金を受けて研修する人に家賃の1/2以内・上限月25,000円(⭐国の就農準備資金月12.5万円と組み合わせる前提の設計なので併用できます)。
【後継者育成】市内農業者の継者に月5,000円(年6万円)(⚠️農業大学校等での修学後3年以内に就農が条件)。
金額は小さいですが、他の制度と重ねられるぶん取りこぼしやすい制度です。

五島市(2件):獣害は「続ける費用」まで見る

五島市 農作物等有害鳥獣被害対策事業は、農地への侵入防止柵の資材費が対象経費の60%以内(定額の上限なし)
非農地への設置は1mあたり250円です。
市内に住所を有する者も申請できるので、団体をつくらなくても個人で使えます。

対象はワイヤーメッシュ柵(防錆仕様・イノシシ用H=1.09m/シカ用H=1.50m)の資材費と、電気柵(5段張)・電気柵シートの資材費。
⚠️申請どおりに設置し事業実施年度の末日までに完了すること、永続的な管理が必要(耐用年数=ワイヤーメッシュ柵14年・電気柵8年)です。

⭐もう1件の有害鳥獣被害対策狩猟免許取得等支援補助金は、この記事のなかでも設計が独特です。
わな猟免許の試験手数料が2/5以内、医師の診断書料が16/25以内という細かさに加えて、狩猟者登録手数料・狩猟税・損害保険料・猟友会費という「毎年かかる費用」に1/2以内出ます。

免許の取得費を全額出す自治体は他県にもありますが、続けるための費用を毎年見る制度は多くありません
狩猟の担い手が続かない理由が維持費にあることを踏まえた設計です(⚠️猟友会五島市部への所属が条件。
免許本体の補助はわな猟に限る)。

長崎市の狩猟免許取得助成金受験手数料と事前講習会の受講料がそれぞれ1/2 (新規受験5,200円→2,600円、わな猟講習10,000円→5,000円、銃猟15,000円→7,500円)。
⚠️助成対象の免許は網猟・わな猟に限り長崎市在住の場合は市税完納証明書の添付が必要です。

島原市(2件):牛の頭数に定額で出す

島原市は増頭を2方向から支援しています。
どちらも団体経由ではなく家畜飼養者本人が使える市単独メニューです。

  • 基礎家畜保留事業=自家産を出荷せず繁殖用に残す(保留する)場合に、肉用牛1頭50,000円・乳用牛1頭20,000円・豚1頭10,000円
  • 肉用牛導入支援事業=購入する場合に繁殖牛1頭30,000円・肥育牛1頭13,000円以内

頭数に応じた定額なので、多頭で導入するほど効きます。
⚠️どちらも島原市農林水産業振興事業補助金の1メニューなので、申請時期・様式は農林課へ確認してください。

長崎市のあと2件・諫早市・大村市

長崎市 農業新規参入促進事業1/2以内上限400万円
対象が「新規参入しようとする企業または個人」で、企業の農業参入を明示的に対象にする制度は多くありません。
対象は生産基盤整備(ハウス・付帯施設等)と小規模土地基盤整備(進入路・農地造成改良・灌排水施設・整地客土等)。
⚠️実施面積300㎡以上いう面積要件と、事業期間中1回限りいう制限があります。

長崎市 長崎びわ産地再生対策事業費補助金は、びわという単一品目に絞った産地再生の制度です。
優良品種の補植苗「なつたより」「茂木種」など・1戸あたり10本以上)が1/2、省力化・高品質化の資材が1/2、収穫防鳥対策(音声追払機器・ネット・テグス)が1/2で講習費用も対象。
⚠️対象は「農業者の組織する団体(3戸以上)」で個人申請は対象外です。

諫早市 生産施設・小規模基盤整備支援「国・県の補助の対象外の取組」を支援する受け皿いう位置づけです。
生産施設整備=1/3以内・上限200万円、小規模基盤整備=1/2または10aあたり25万円の低い方(⚠️経営改善計画の目標達成が条件)。

大村市 新たな担い手支援事業作物で補助率が変わります
市の主要作物(いちご・トマト・きゅうり・みかん)は1/2・上限200万円その他の作物は1/4・上限50万円。
⭐農地の賃借料も1/2を5年間(10aあたり上限2万円)、 ICT(環境制御など)導入も1/2・上限10万円で支援します。

長崎で申請するときの注意点

  1. 🔴県の事業は市町から入る。構造改善加速化事業は市町の10分の1以上の上乗せが交付条件、県の研修事業も雲仙市の給付とセットで動きます
  2. 年齢の上限が制度ごとに違う。49歳以下(南島原の親元就農)/ 60歳未満(佐世保)/61歳未満(西海)/65歳未満(長崎市)/64歳未満(県の研修)。
    1歳の差で使える制度が変わります
  3. 国の資金との併給に条件がある。西海市の親元就農枠は「国の農業次世代人材投資事業を受けられない者」が条件。
    平戸市・南島原市は併用前提の設計なので、市への確認が必須です
  4. 継続営農の年数を先に見る。西海市は支援を受けた年数の倍以上(最低3年)営農継続が条件です
  5. 個人で使えるかを確認する。長崎市のびわは3戸以上の団体限定、県の構造改善は1戸だと機械が対象外になります

まとめ:長崎は「年齢」と「就農の形」から探す

  • 50代で新規参入する=西海市(360万円+扶養家族に年10万円加算)/長崎市(年120万円×2年)
  • 60歳前後で就農する=佐世保市(60歳未満)/県の研修(64歳未満)
  • 親元に入る=南島原市(3年160万円・1年目に100万円)
  • ハウスを建てる=平戸市(国県と組めば4/5・単独でも2/3)/西海市(3/4・上限300万円)/諫早市(国県の対象外を拾う)
  • 企業として参入する=長崎市の新規参入促進事業(1/2・上限400万円)
  • 獣が出る=五島市(柵60%・上限なし。
    ⭐狩猟の維持費にも毎年1/2)
  • 牛を増やす=島原市(保留5万円/頭・繁殖牛の導入3万円/頭)

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