補助金と聞いて思い浮かぶのは、たいてい機械かハウスです。
鹿児島にはそれとは別に、土を調べる費用と、帳簿をつける費用に出す市あります。

⭐⭐志布志市の土壌分析は1農業者2検体まで無料
しかも市が検査機関へ直接払うので、農家の窓口負担が発生しません。簿記ソフトの購入費にも1/3・上限3万円出ます。
会計ソフトそのものに補助を出す自治体は、全国的にほとんどありません。

⭐商談会に出るときは旅費だけでなく通訳手数料や販売補助員の委託料まで対象。
収量を上げる道具ではなく、経営の裏側にお金を回しているのが志布志市です。

ただし入口に条件があります。
🔑「畑かん(畑地かんがい)を開栓して利用していること」
この条件が付く制度は全国でもほとんど見かけません。
自分の農地が畑かんの受益地かどうかで、使える制度が変わります。

もうひとつ、鹿児島らしいのが畜産です。
⭐⭐鹿屋市は研修中に夫婦で月20万円、就農時にさらに100万円
2年フルに受けると計580万円の計算になります。

この記事では掲載16件を出し手ごとに金額つきで整理します。
一覧で見たい方は鹿児島県の補助金一覧からどうぞ。

鹿児島の内訳

出し手件数性格
志布志市4件⭐⭐土壌分析は無料/⭐簿記ソフト/商談会は通訳料まで/🔑3件は畑かんが条件
薩摩川内市3件⭐六次産業化は最大4,000万円/⚠️災害復旧は2万5千円から/流動化は貸借の双方に
鹿屋市2件⭐⭐畜産の研修に夫婦月20万+就農時100万/機械は1/4・200万円
曽於市2件就農2年以内に月5万〜15万円/畜産は人工授精も対象
大崎町2件45歳以下に一時金20万/⭐46〜65歳の親元就農に月5万×2年
南さつま市・霧島市・鹿児島市各1件⭐ハウスの補修に10aで250万/国県に乗れない人の受け皿/農福連携1/2・100万
⚠️ 掲載16件はすべて市町村の制度で、県単独のものは掲載がありません。これは県に制度がないという意味ではなく、当サイトの調査がまだ市町村中心であることを反映した数字です。
鹿児島県には43の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

🥇⭐⭐志布志市は「土と数字」に出す

志布志市 土壌分析の助成は、1農業者につき2検体まで無料です(1検体7,000円を上限に市が補助)。

効いているのは払い方です。
市が検査機関へ直接補助するので、農家の窓口負担が発生しません。あとから請求する手間も、いったんの立替も要らない。
「無料」と言いながら実際は立替が必要な制度が多いなかで、ここは本当に負担ゼロです。

⚠️ 始め方が独特です。
申請書ではなく「検査事業者への事前連絡」から入ります。
志布志市農業公社松山事業所(099-487-8239)またはJAあおぞら(099-474-1211)へ、採土の前に電話して助成を使いたいと伝えてください。
⚠️連絡なしで分析すると助成が受けられません。
⚠️市内に住所があること・分析するほ場も市内にあることの両方が必要です。
⚠️3検体目からは自己負担、1検体7,000円を超える分も自己負担になります。

志布志市 簿記ソフト購入費用事業は、会計ソフトの購入費が1/3以内・上限3万円。
ソフトそのものに補助を出す自治体は全国的にほとんどありません。肥料や機械のように目に見えるものではありませんが、帳簿が付いていないと補助金の申請書も融資の相談も進まないので、実務的にはここが詰まっている農家は多いはずです。
会計ソフトの選び方は農業の会計ソフトと補助金の記事どうぞ。

志布志市 農産物流通促進事業展示会・商談会への出展費用が1/2以内・年間上限10万円。
⭐対象経費に旅費・通訳手数料・販売補助員の委託料・会場や備品の借上料まで入っています。
通訳手数料が明記されているのは、輸出や海外バイヤーとの商談まで視野に入れているからです。
⚠️各年度1回まで、かつ通算3回までなので使いどころは選んでください。

志布志市 遊休農地対策助成事業は、業者に委託する場合が対象経費の1/2以内・年間上限10万円、自分で整備する場合も10アールあたり2万円(年間上限10万円)。
草刈り・除礫・抜根・耕起が対象で、外注しなくても受け取れるのが実務的です。

⚠️ 遊休農地対策のほうは農地の要件が厳しいです。
中間管理機構と契約して貸す/借りる農地か、購入して新たに取得した農地に限られます。⚠️国・県・市の他の補助事業を受ける農地は対象外(二重取り不可)、 ⚠️整備したうえで畑かんを開栓して耕作することが条件です。

🔑入口は「畑かんを開栓しているか」

いま挙げた4件のうち3件(流通促進・遊休農地・簿記ソフト)に共通の条件が、「畑かん(畑地かんがい)を開栓し、利用していること」です。
畑かんは畑に水を引く国営・県営のかんが施設で、その受益地であるうえに、実際に開栓して使っていることが求められます(開栓しているだけでは足りない、と要綱に書かれているものもあります)。

ここまで具体的な施設の利用を条件にする補助金は、全国でもまず見かけません。言い換えれば、志布志市では「自分の農地が畑かんの受益地か、開栓しているか」で使える制度が変わります。心当たりがあるなら、市農政畜産課(099-474-1111 内線169〜172)か土地改良区に確認してください。

💡 土壌分析の助成だけは畑かんの条件がありません。要件は「市内に住所があること」と「分析するほ場も市内にあること」の2つだけです。
畑かんを使っていない農家でも、ここからは入れます。

🥈畜産への就農に、鹿屋市は計580万円を出す

⭐⭐鹿屋市 畜産担い手定着促進事業は、研修中の生活支援が単身で月15万円以内、夫婦で月20万円以内(研修期間は原則2年以内)。
国の就農準備資金(月13.75万円)を上回る水準です。
さらに研修終了後の就農時に100万円以内の就農開始支援あります。

⚠️夫婦で2年フルに受けた場合の計算では、生活支援480万円+就農時100万円=計580万円なります。
畜産に的を絞った就農支援は全国的にも数が少ないもので、産出額で全国上位を占める鹿児島らしい設計です。

⚠️ 年齢は18歳以上50歳未満 ⚠️鹿屋市内に居住(または今後居住)し中核的農業者となり得る方が対象。
🔴研修終了後に直ちに農業へ5年以上従事することが要件です。
⚠️研修先農家と関係機関が一体となって指導する体制になっています。
💡市内の畜産用遊休資産を活用する「鹿屋市農業未来バンク登録畜産用施設整備事業補助金」(1/2・100万円、移住者は150万円)も別にあります。
⚠️年度ごとの実施は畜産振興課へ要確認です。

曽於市 畜産振興事業優良血統の導入・人工授精が上限10万円/戸ほか、牛舎改造・子牛育成舎の整備なども対象です。
繁殖のところにお金が付いているのが、産地らしいところです。

耕種のほうは鹿屋市 耕種生産パワーアップ事業農業用機械の導入経費を1/4以内・上限200万円で支援します。
⭐認定新規就農者も対象です。

🔴 認定農業者は「作付面積または販売額の10%以上の増加」が認められることが必要です。
⚠️中古機械は対象外(新品のみ)、⚠️他の補助を受ける予定がある場合は交付対象になりません。
⚠️対象は農産物販売金額50万円以上(認定新規就農者は除く)で、 ⚠️地域計画への位置づけ(見込みを含む)も条件です。
⚠️公募期間が約1か月半と短い(令和8年度は7月6日〜8月21日)ので早めに相談を。

🥉薩摩川内市は4,000万円から2万5千円まで

同じ市のなかで、金額の両端が極端に離れているのが薩摩川内市です。

薩摩川内市 六次産業化支援事業補助金は、調査研究開発費・販路開拓費・機械等購入費・事業推進費が3/4または2/3で上限300万円、加工施設などの施設整備費は3/4で上限2,000万円、または2/3で上限4,000万円(区分により3,000万円)。
市町村単独の補助としては屈指の規模です。対象経費には先進地視察の旅費・研修受講料・成分分析・試作品製作費・パッケージデザイン製作費・ホームページ開設費まで入っています。

🔴 補助金の前に「六次産業化実施計画」の市の承認を受けていることが必須です。
承認なしでは申請できません(別の承認要綱があります)。
⚠️人件費・原材料費・光熱水費は対象外、 ⚠️加工施設をつくる場合は加工品の主原料が市内産であること ⚠️無人販売所は施設整備費の対象外、 ⚠️市税の滞納がないこと(団体の場合は構成員全員)。
⚠️委託料は補助率が半分(1/2または1/3)に下がります。

反対の端が薩摩川内市 単独農地災害復旧事業補助金です。
国の公共災害復旧事業に採択されない小規模な農地被害が対象で、事業費2万5千円から使えます。事業費7万5千円未満なら事業費から2万5千円を引いた額、 7万5千円以上40万円未満なら事業費の2/3、 40万円以上で国庫補助に採択されない箇所は上限26万7千円。

「小さすぎて国の枠から漏れる被害」を市が拾う設計で、大雨のあとに畦が少し崩れた、という規模でも申請できます。

🔴 工事に着手する前に申請が必要です。添付書類に「復旧工事施行前の写真」あるため、先に直してしまうと申請できなくなります。
⚠️隣接者の同意書要るので、着工前に隣の農地の所有者へ話を通しておくこと。
⚠️国の指定を受けた年度の自然災害であることが前提、 ⚠️限度額を超える分は受益者(農家)の負担です。

薩摩川内市 農地流動化促進事業補助金貸す側にも借りる側にも出ます(借りる側のほうが手厚い)。
10アールあたりの定額で、本土地域の新規契約なら借りる側が3〜6年未満5,000円/6〜10年未満11,000円/10年以上18,000円貸す側が2,000円/5,000円/7,000円。
⚠️更新契約は約半額、甑島地域は5アールあたりの別表になります。

⚠️⚠️ 借り手と貸し手が同一世帯員または3親等内の親族の場合は対象外です(親子・兄弟間の貸借には使えません)。
⚠️貸し手・借り手のいずれかが市内に住所を持たない場合も対象外、 ⚠️契約期間は3年以上・面積は1回の申請につき本土10アール以上(甑島5アール以上)、 ⚠️期間満了前に農地を返すと補助金の返還を求められることがあります。⚠️申請は利用権等を「設定した後」に行います。

残りの4件:ハウス・受け皿・農福連携・就農

南さつま市 園芸施設有効活用支援事業は、ハウスを建て替えずに直すための制度です。
補修・補強(パイプ・水平梁・筋交・谷柱・谷シートの交換や追加、施工費、附帯設備)と中古ハウスの移設等が5分の2以内で、上限は10アールあたり250万円・1経営体あたり500万円枠が大きい。

⚠️ 対象作物は野菜・果樹・花きで、水稲やかんしょの育苗用ハウスは対象外です。
⚠️農産物の販売金額が年間50万円以上あることが条件(出荷先が発行した販売証明か出荷伝票が必要。
個人間の売買では認められません)。
⚠️中古ハウスの取得費は三親等以内の親族からの取得は対象外
⚠️附帯設備は全体事業費の50%未満まで。
⚠️交付決定前に購入・発注したものは対象外、⚠️税込10万円未満の経費も対象外です。
💡見積りは「税抜価格が明記」「工賃・運賃が別欄」「ハウスごとに分けて記載」の 3条件を満たすよう販売店に伝えてください。

霧島市 担い手経営発展等支援事業「国・県の補助事業の要件を満たさない人」が対象明記された市独自の受け皿です。
トラクター・コンバイン・田植機・管理機等の導入を、 55歳以下なら1/2以内、56歳以上なら1/3以内(上限は耕種・畜産ともに100万円)。
⚠️国県事業に乗れる規模ならそちらが優先になります。

鹿児島市 農福連携支援事業1/2以内・上限100万円。
「雇用予定」「受入れ予定」の段階でも対象で、実績がないと申請できない制度ではありません。
⭐農業者側だけでなく、農業分野へ参入する(参入予定の)就労継続支援事業所も対象です。
⚠️申請期間がページに明記されていないので、取組を始める前に農政総務課(099-216-1515)確認してください。

就農の入口は町ごとに分かれています。
曽於市 新規就農者支援対策事業就農2年以内の人に月5万〜15万円を2年間(⚠️18歳以上55歳以下・ ⚠️補助終了後も5年以上継続)。
大崎町 新規就農者支援事業新規学卒者・新規参入者・Uターン者への一時金20万円(⚠️概ね45歳以下)。
大崎町 親元就農者確保対策事業46歳以上65歳以下対象に月5万円×最長24か(=最大120万円)で、 ⚠️年間の農業従事日数150日以上・⚠️住民基本台帳に記録されてから3年以内・ ⚠️国の農業次世代人材投資事業の交付を受けていないことが条件です。

鹿児島で申請するときの注意点

  1. 🔑まず「畑かんの受益地か」を確かめる。志布志市の流通促進・遊休農地・簿記ソフトの3件は畑かんの開栓と利用が条件です。
    該当するなら使える制度が一気に増えます
  2. ⚠️電話が先の制度がある。志布志市の土壌分析は申請書ではなく検査事業者への事前連絡から始まります。
    採土してから連絡しても間に合いません
  3. 🔴直す前・買う前に申請する。薩摩川内市の災害復旧は施行前の写真が添付書類南さつま市のハウスと鹿屋市の機械も交付決定前の発注は対象外です
  4. 🔴先に通す計画がある。薩摩川内市の六次産業化は「六次産業化実施計画」の市の承認が補助金の前提です。
    ここを飛ばすと交付決定が行われません
  5. ⚠️身内との貸し借りには使えない。薩摩川内市の農地流動化は同一世帯員・3親等内の親族間の貸借が対象外で、志布志市の遊休農地対策も中間管理機構経由か購入した農地に限られます
  6. ⚠️販売金額の証明を用意しておく。南さつま市(年50万円以上)と鹿屋市(年50万円以上・認定新規就農者は除く)は出荷先が発行した販売証明か出荷伝票要ります。
    個人間の売買による証明は認められません
  7. 💡国県に乗れないときの受け皿を知っておく。霧島市は国・県の要件を満たさない薩摩川内市の災害復旧は国庫に採択されない小規模被害入口です。
    国の制度から外れた場合の探し方は国の補助金から落ちた人が使える県・市町村の制度どうぞ

まとめ:鹿児島は「土と数字」と「畜産」で探す

  • 土壌を調べる=⭐⭐志布志市(2検体まで無料・⭐窓口負担なし。
    ⚠️検査事業者への事前連絡から)
  • 帳簿をつける=⭐志布志市の簿記ソフト(1/3・上限3万円。
    ⚠️畑かん)
  • 商談会に出る=⭐志布志市(1/2・年10万円。
    ⭐通訳手数料も対象。
    ⚠️通算3回まで)
  • 荒れ地を自分で直す=⭐志布志市(10aで2万円。
    ⚠️機構経由か購入した農地に限る)
  • 畜産で就農する=⭐⭐鹿屋市(研修中夫婦月20万+就農時100万=計580万円。
    ⚠️18歳以上50歳未満)
  • 繁殖にお金を入れる=曽於市(人工授精上限10万円/戸・牛舎改造も)
  • 加工に踏み出す=⭐薩摩川内市(施設整備は最大4,000万円。
    🔴先に実施計画の承認が必要)
  • 小さな災害を直す=⭐薩摩川内市(2万5千円から。
    🔴施行前の写真が要る)
  • 農地を借りる・貸す=薩摩川内市(10年以上なら借り手10aで18,000円。
    ⚠️親族間は対象外)
  • ハウスを建て替えずに直す=⭐南さつま市(5分の2・10aで250万円。
    ⚠️野菜・果樹・花きのみ)
  • 機械を入れる=鹿屋市(1/4・200万円。
    🔴10%以上の増加が条件)/霧島市(⭐国県に乗れない人の受け皿・55歳以下1/2)
  • 人手を福祉と組んで埋める=⭐鹿児島市(1/2・100万円。
    ⭐雇用予定の段階でも可)
  • 就農の一時金・生活費=曽於市(月5万〜15万×2年)/大崎町(45歳以下に20万/⭐46〜65歳に月5万×2年)

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