補助金の話をすると、たいてい最初に返ってくるのは「で、いくら自分で出すの」です。
1/2でも半分は自腹、1/3なら三分の二は自腹。
その自己負担が、そもそも要らない枠があります。

徳島の掲載16件のうち4件に補助率10/10(全額補助)が入っています。

⭐⭐阿波市の農業振興事業には全額補助の枠が5つあり、農業大学校の受講料(2.5万円)、GAPの農薬残留分析費(2万円)、販売資材の版下・デザイン料・包装資材(20万円) 6次化産品の試作研究材料費(6万円)、適作開発の資材・種苗・ほ場賃借料(10万円)が並びます。
⭐同じ阿波市の異業種と組む商品開発は一般型50万円まで全額
⭐狩猟免許も吉野川市・阿南市の両方が実費補助です。

もうひとつ、徳島は荒れた農地を「面積で買い戻す」でもあります。
美馬市は10アールあたり7万円阿南市は約1反(1,000平方メートル)で14万円
補助率ではなく単価で決まるので、金額が先に読めます。

この記事では掲載16件を出し手ごとに金額つきで整理します。
一覧で見たい方は徳島県の補助金一覧からどうぞ。

徳島の内訳

出し手件数性格
阿波市3件⭐⭐全額補助の枠が5つ/⭐異業種と組む商品開発は50万円まで全額/有機JAS
美馬市3件⭐荒れ地10aで7万円・畦畔除去1m4,000円/⭐世界農業遺産の傾斜地/市単の土地改良
吉野川市3件⭐狩猟免許は実費(⭐わな猟も可)/柵1/2・5万円/⭐チェーンソーに1/2
阿南市3件⭐荒れ地1反14万円/⭐狩猟は銃の所持許可・狩猟税まで/⚠️柵の窓口は農協
神山町2件⭐柵は上限25万円(町村では手厚い)/すだちの冷蔵庫
三好市・徳島県各1件⭐そば・こんにゃく芋は上限なしの単価/⭐県はトイレ・休憩室も1/2
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
徳島県には24の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

🥇⭐⭐自己負担ゼロで使える枠が4件ある

阿波市 魅力と活力で次世代につなぐ農業振興事業は、人材育成から機械導入、6次産業化、販路開拓までを1本にまとめた総合メニューです。
そのなかに補助率10/10(全額補助)の枠が5つあります。

  • 農業大学校の受講料(2.5万円)
  • とくしま国際水準GAPの農薬残留分析費(2万円)
  • 特産認証品の販売資材=版下作製・デザイン料・包装資材(20万円)
  • 6次化産品の試作研究材料費・技術取得費用(6万円)
  • 適作開発の農業資材・種苗購入費・ほ場賃借料(10万円)

とくにデザイン料と包装資材が全額いうのは実務的です。
パッケージの費用は「売るために要るのは分かっているが、後回しになる出費」の代表で、ここが自己負担ゼロなら、直売や贈答用の見た目を先に整えられます。

機械・施設は「先進的技術導入支援タイプ」で5/10以内(上限は個人・法人で異なり最大100万円)、組織向けの「組織的営農支援タイプ」は2/10以内・上限100万円。
販路系は6次化産品の出展旅費が1/3・10万円、都市圏の新規市場開拓の輸送費が5/10・月5万円、特産認証品の出展旅費が2/3・40万円です。

令和8年4月1日から随時受付(予算の範囲内)=募集期間を待たずに相談できます。
⚠️タイプごとに対象者が「個人か組織か」で分かれます。どの枠に当てはまるかを先に確認してください。
⚠️先進的技術導入支援タイプの上限額は個人と法人で異なります。
窓口は農業振興課 0883-36-8720。
💡小口の全額補助枠から使い始めるのが現実的です。

⭐異業種と組む商品開発は、50万円まで全額

阿波市 異業種等と連携した商品開発支援事業は、県産農林水産物を使った6次化・農商工連携の商品開発・改良費と販路開拓費を10/10(全額)支援します。
一般型50万円/一次加工支援型25万円。

⚠️条件は異業種事業者等と連携して新商品開発・販路開拓を行うことです。
農家だけで完結する計画ではなく、加工業者・飲食店・デザイナーなど外と組むことが前提の制度なので、まず連携先を確保してから相談する順番になります。

同じ阿波市の有機JAS認証取得支援事業新規取得が定額5万円、更新が1/2・上限2.5万円(⚠️更新は2回まで)。
有機JASの講習会受講料と認証審査・調査費用が対象です。
有機の制度全般は有機・自然栽培で就農するときの補助金あわせてどうぞ。

🥈荒れた農地は「面積で買い戻す」

徳島の耕作放棄地対策は補助率ではなく単価で決まります。いくら出るかが計画の段階で読めるので、動きやすい設計です。

美馬市 耕作放棄地再生保全対策事業費補助金は、商品作物を作る場合初年度1アールあたり7,000円=10アールで7万円(上限70万円)。
2年目以降も2,000円/アール(上限20万円)が続きます。
景観形成作物そばや花など)なら初年度3,000円/アール(上限30万円)。

畦畔除去が1メートルあたり4,000円・上限60万円で、初年度から3年間使えます。
区画を大きくしたい人に効きます。対象経費は障害物除去・深耕・整地・土壌改良・作付けなど、再生の実作業そのものです。

⚠️ 対象者は「3人以上の団体(耕作者を含む)」か「市内在住の認定農業者」です。個人単独で使うなら認定農業者になるルートになります。
⚠️5年以上継続して耕作する意思が必要、⚠️土地所有者の同意が必要です。
窓口は美馬市農林課 0883-52-8011。

阿南市 耕作放棄地フル活用事業農用地区域内なら1,000平方メートル(約1反)で14万円それ以外で7万円。
土壌改良を行うと1,000平方メートルあたり3万円が加算されます。

⚠️⚠️ 農地中間管理機構を通じて借り受けることが前提です。個人間の直接契約では使えません。
⚠️地域計画の目標地図に位置付けられた担い手であること、 ⚠️再生作業のあと5年以上耕作を続けることが条件。
🔴先に草刈りなどの再生作業をしてしまうと対象にならない可能性があります。⚠️1月1日〜12月31日の間に契約が成立した農地が対象で、契約成立まで数か月かかるため早めの相談が要ります(農林水産課 0884-22-1598)。
⚠️申請者自身の人件費は対象経費から除かれます。

⭐世界農業遺産の傾斜地には、別の制度がある

美馬市にはもう1本、世界農業遺産認定傾斜地農業保全モデル事業(にし阿波)あります。
2018年に世界農業遺産に認定された「にし阿波の傾斜地農耕システム」守るための制度です。

  • 再生事業=耕作放棄地の再生に10アール当たり10万円(上限20万円)
  • 発生防止事業=維持管理している農地の作付け経費に10アール当たり2.5万円(上限10万円)
  • 利活用事業=再生と地域振興作物の実践に2/3・10アール当たり15万円(上限30万円)。
    ⚠️これだけは認定農業者等であることが条件

⭐要件に「カヤ等の有機物を使用する栽培をすること」入っています。
急傾斜地でカヤを敷く伝統農法そのものが補助の条件になっている、全国的にもほとんど例のない制度です。
化学肥料に頼らない栽培をしたい人と噛み合います。

⚠️ 補助額は「実支払額」と「10アール当たりの単価」を比べて少ないです。
使い切る前提で組まないでください。
⚠️事業完了後3年以上継続して耕作すること、 ⚠️補助対象農地の耕作権を持っていることが必要です(借地なら権利関係を先に整える)。
💡同じ美馬市の耕作放棄地再生保全対策事業とは別制度なので、どちらが有利かを農林課で比較してもらってください。

🥉狩猟免許の補助が、市によって正反対

吉野川市と阿南市はどちらも狩猟免許を実費で見てくれますが、対象の切り方がです。

吉野川市 狩猟免許取得補助金免許の種類を銃猟に限定していないので、わな猟だけでも使えます。初回取得は13,200円(初心者講習8,000円+免許手数料5,200円)、すでに免許があって別の資格を追加する場合は11,900円。
⚠️令和5年4月1日以降の取得が条件で、 ⚠️取得日から2年以内に吉野川市地区猟友会へ所属していることが必要です。

阿南市 狩猟免許取得等補助金逆に第一種銃猟免許の新規取得限定(⚠️わな猟のみは対象外・更新も対象外)ですが、対象範囲がとても広いのが特徴です。

  • 狩猟免許試験の初心者講習会受講料(テキスト代含む)・試験手数料
  • 銃の所持許可関係の各手数料(講習受講申込・教習資格認定・火薬類等譲受許可・猟銃所持許可)
  • 射撃教習受講費用(上限10,000円)
  • 医師の診断書取得代金(上限5,000円)
  • 狩猟者登録手数料・狩猟税(第一種銃猟)
⚠️ 阿南市は猟銃の所持許可証の交付を受けていることが必須で、 ⚠️市税の滞納がないこと、 ⚠️徳島県猟友会に加入し市内の有害鳥獣捕獲に従事する意思があることも条件です。
⚠️領収書の写しがない経費は申請を受け付けてもらえません。💡わな猟から始めるなら吉野川市、銃で本格的にやるなら阿南市、という住み分けになります。
狩猟免許そのものについては鳥獣被害対策・狩猟免許の補助金どうぞ。

柵のほうは3市町にあります。
神山町 農作物鳥獣害防止対策事業費補助金5/10以内上限25万円町村規模では手厚く、✅個人で申請できます。
⚠️柵の設置距離30メートル以上・1施設あたり事業費3万円以上が条件、 ⚠️資材費のみで設置の人件費は対象外、⚠️設置後5年間の保守点検義務があります。

吉野川市 有害鳥獣侵入防止柵設置補助金1/2・最大5万円。
⚠️過去3年間にこの補助金を受けていないことが条件=3年に1度のペースです。
⚠️監視カメラ・警告ライト・かかしなど「容易に動かせる物」は対象外、 ⚠️柵の設置と維持管理を申請者自身が行うこと(業者任せは不可)。

⚠️⚠️ 阿南市 鳥獣害対策補助3/10以内・上限5万円と補助率が低め(実質の自己負担が7割)で、 ⚠️申請1件あたり5万円以上(税抜)の購入という下限あります。
🔴申請窓口が市役所ではなく徳島県農協(旧JAアグリあなん)または東とくしま農協です。
資材そのものは指定の農協で買う必要はありません。
🔴神山町・吉野川市はどちらも資材を買う前に申請してください。買ってからでは対象外になります。

県の1本は、トイレと休憩室まで見てくれる

とくしま農山漁村未来投資事業県の基金によるメニュー型事業で、個人の認定農業者・認定新規就農者がそのまま使えます。

  • 施設園芸支援=園芸用ハウス等の導入を1/2・上限700万円
  • 新規就農者支援=就農5年以内の機械導入を1/2・上限300万円
  • DX・GX推進=スマート技術・環境負荷軽減の機械を1/2・上限200万円
  • ⭐⭐労働環境整備=休憩室・更衣室・トイレ等も1/2・上限200万円
    この手の支援は全国的に多くありません
  • 3戸以上の組織・従業員5人以上の法人は企画チャレンジ型で6/10・上限3,000万円

休憩室やトイレは人を雇うときに必ずぶつかるです。
収量にも売上にも直接つながらないので後回しになりがちですが、そこに県が半分出すと明記しているのは実務的な意味が大きい。

⚠️ 認定農業者・認定新規就農者であることに加えて、地域計画の目標地図への位置づけ(見込みを含む)が必要です。
⚠️既存機械の単純更新・事業費50万円未満・トラックやパソコン等の汎用品は原則対象外。
⚠️生産コスト10%削減・販売額10%増加などの成果目標を設定し、 3年間の達成状況報告が要ります。⚠️交付決定前の着手は原則不可、⚠️原則3者以上の見積り合わせが必要。
⚠️申請は市町村経由なので、窓口はお住まいの市町村の農政担当課です。

美馬市の農林水産業振興事業費補助金は、この県事業に市費を1/10以内(市費の上限400万円)上乗せするメニューを持っています。
市単独で使えるものとしては市単独土地改良事業(20%以内・上限20万円。
小さな水路や農道の改良に使えます)と、農業生産団体等補助事業=生産組合補助金(1/2以内または10万円以内。
⚠️組合員10名または営農面積300a以上・⚠️補助期間は3年が限度)。

⚠️ 30を超えるメニューが1本の要綱に入っていて、多くは「国・県の補助を受けることが前提」の上乗せです。⚠️「予算で定める額」とだけ書かれたメニューが多数あります。
自分の計画がどのメニューに当たるかは農林課で確認するのが確実です。

残りの3件:木・すだち・そば

吉野川市 森林作業機械購入補助事業チェーンソー・チッパー等の購入価格の1/2・上限25万円。
個人の山林所有者でも使えます(市内に住所があり市内に森林を所有する人)。
⚠️新品のみ・1台まで、⚠️交付決定通知を受けてから購入すること、 ⚠️対象になる森林のエリアが限られる(市の森林整備計画概要図の着色エリア)ので事前確認が要ります。

神山町 すだち貯蔵用冷蔵庫導入事業補助金新規導入が10分の1以内で最高12〜15万円、更新が最高8〜15万円。
⚠️補助率が10分の1と低く、上限に届くには120万円以上の設備が必要です。
機器本体だけでなく設置工事費・断熱処理工事費・配管換気工事費も対象で、 ⚠️既存施設の撤去処分費・基礎工事費・施設までの電気配線工事は対象外。
⚠️事業着手前の申請が必要です。

三好市 特産物生産奨励金(そば・やつまた・こんにゃく芋)は、そば・やつまたが耕作面積1アールあたり1,500円、こんにゃく芋が出荷数量1キログラムあたり250円。
上限額の定めがなく、面積・出荷量に応じてそのまま計算されます=作れば作るほど積み上がる設計です。

⚠️ 経営所得安定対策交付金(国の事業)を申請していないことが条件です。
どちらが有利か農林政策課(0883-72-7617)に相談してください。
⚠️締切が品目で違います(令和8年度はそばが9月30日、こんにゃく芋が12月18日)。
⚠️そば・やつまたは市職員による現地確認が要り、 ⚠️こんにゃく芋は市内の農協等へ出荷したものが対象、 ⚠️市税の滞納がないことが条件です。

徳島で申請するときの注意点

  1. 全額補助の枠から先に使う。阿波市の農業振興事業は令和8年4月1日から随時受付で、農業大学校の受講料やGAPの分析費、パッケージのデザイン料が自己負担ゼロです。
    金額は小さくても、まず1本通しておくと市の窓口と関係ができます
  2. 🔴買う前・草を刈る前に相談する。神山町・吉野川市の柵は資材購入前の申請が必須、吉野川市の森林機械も交付決定後に購入、阿南市の耕作放棄地は先に草刈りをすると対象外になる可能性あります
  3. ⚠️窓口が市役所とは限らない。阿南市の鳥獣害対策は申請窓口が農協(徳島県農協または東とくしま農協)、県の未来投資事業は市町村経由です
  4. ⚠️個人単独では使えないものがある。美馬市の耕作放棄地再生は3人以上の団体か認定農業者、美馬市の生産組合補助金は組合員10名または営農面積300a以上。
    認定農業者になるかどうかで選択肢の幅が変わります認定農業者とは
  5. ⚠️「機構を通す」かどうかで結果が変わる。阿南市の耕作放棄地フル活用は農地中間管理機構を通じた借受けが前提で、個人間の直接契約では使えません。
    契約成立まで数か月かかります
  6. ⚠️単価制の制度は「実支払額と比べて少ない方」になる。美馬市の世界農業遺産事業は単価そのものが出るわけではありません。
    使い切る前提で計画を組まないでください
  7. ⚠️同じ市に似た制度が2本あることがある。美馬市の耕作放棄地は再生保全対策と世界農業遺産の2本立てで、条件も単価も違います。
    どちらが有利かを窓口で比較してもらってください

まとめ:徳島は「自己負担ゼロ」と「単価」で探す

  • 自己負担なしで始める=⭐⭐阿波市の農業振興事業(農大受講料2.5万/GAP分析2万/⭐デザイン・包装20万/試作研究6万/適作開発10万)
  • 外と組んで商品を作る=⭐阿波市の異業種連携(一般型50万円まで全額。
    ⚠️連携先の確保が先)
  • 荒れ地を戻す=⭐美馬市(10aで7万円・⭐畦畔除去1m4,000円。
    ⚠️3人以上か認定農業者)/⭐阿南市(約1反14万円+土壌改良3万。
    ⚠️⚠️機構経由が前提)
  • 傾斜地を守る=⭐美馬市の世界農業遺産(10aで10万円。
    ⭐カヤ等の有機物を使う栽培が要件)
  • わな猟から始める=⭐吉野川市(13,200円が実費。
    ⭐わな猟でも可)
  • 銃で本格的にやる=⭐阿南市(⭐所持許可の手数料・射撃教習・診断書代・狩猟税まで。
    ⚠️第一種銃猟限定)
  • 柵を張る=⭐神山町(5/10・上限25万円)/吉野川市(1/2・5万円。
    ⚠️3年に1度)/阿南市(3/10・5万円。
    🔴窓口は農協)
  • ハウスを建てる・機械を入れる=⭐県の未来投資事業(施設園芸1/2・700万円/新規就農の機械1/2・300万円)
  • 人を雇う準備をする=⭐⭐県の未来投資事業の労働環境整備(休憩室・更衣室・トイレが1/2・200万円)
  • 山の道具をそろえる=⭐吉野川市の森林作業機械(1/2・25万円。
    ⭐個人の山林所有者も可)
  • 作るほど積み上げる=⭐三好市のそば・こんにゃく(⭐上限なしの単価制。
    ⚠️国の経営所得安定対策とは併用不可)
  • 有機JASを取る=阿波市(新規5万円の定額)

鳥獣の柵は鳥獣被害対策の補助金有機・環境の制度は有機農業・環境保全の補助金あわせてどうぞ。
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