農業の補助金は、たいてい「認定農業者であること」から始まります。
認定を持たない人は、金額を見る前に対象から外れます。

鳥取県は、その関門の手前にもう一段の階段を置いています。

  • 県の中山間地域を支える水田農業支援=対象が認定農業者・認定新規就農者・集落営農組織「ではない」個人農家
  • 倉吉市の定年帰農者等支援=「国・県の新規就農者支援制度の要件を満たさない」ことが対象条件
  • 湯梨浜町=町が独自に「準認定農業者」「準認定新規就農者」いう区分を作っている
  • 県の就農応援交付金=国の経営開始資金の対象にならない月11万円×3年

「認定に届かない」ことが、そのまま入口になっている。その県では落ちる条件が、鳥取では申請の理由になります。
湯梨浜町にいたっては、認定の手前に「準認定」という身分を町が発明しています。

この記事では掲載17件を出し手ごとに金額つきで整理します。
一覧で見たい方は鳥取県の補助金一覧からどうぞ。

鳥取の内訳

出し手件数性格
鳥取県10件⭐⭐掲載の6割が県。⚠️8件が「県1/3+市町村1/6」の共同負担型
智頭町3件⭐自然栽培に特化した就農給付/有機肥料/⭐8/10の検討費
湯梨浜町・倉吉市各1件⭐⭐町独自の「準認定」枠/⭐国県の要件を満たさないことが条件
境港市・鳥取市各1件農地賃借料を5年で100万円/⭐市外での販路開拓に1/2
⚠️ この件数は当サイトの調査状況を反映した数字です。
鳥取県には19の市町村があり、表に出ていない市町村にも制度がある可能性は十分あります。
件数の順位を「手厚さの順位」と読まないでください。

🥇認定の「手前」にある3つの階段

① 県が「認定ではない人」向けの枠を持っている

⭐⭐鳥取県 中山間地域を支える水田農業支援事業は、対象が認定農業者・認定新規就農者・集落営農組織「ではない」個人農家です。
国や県の主要な機械補助に乗れない人の受け皿して作られています。

水田農業に必要な機械の導入費を1/2補助(スマート機械なら個人上限300万円)。
⚠️農業経営または基幹的農作業を行う水田が中山間地域内あること、 ⚠️市町村の地域計画に位置づけられている個人農業者であることが要件です。
⚠️軽トラックなど汎用性のある車両・土地基盤整備は対象外。

「大規模化しない小さな担い手」を県が正面から支援する設計は、全国的にも珍しいものです。
補助金は規模を大きくする人に集まりがちですが、中山間地では広げないまま続けること自体が地域を保ついう考え方が背景にあります。

② 町が「準認定」という身分を作っている

⭐⭐湯梨浜町 担い手ステップアップ支援事業補助金は、町独自の「準認定農業者」「準認定新規就農者」いう枠を持っています。
国・県の認定に届かない人を、町の判断で拾う形です。

  • ①就農奨励金=就農後3年以内の準認定新規就農者に定額30万円(1回限り)
  • ②住宅家賃補助=町外から転入し3年以内の(準)認定新規就農者に月2万円(連続24か月まで)
  • ③中古農業機械の導入=1/3以内・上限50万円(準認定農業者等は30万円)
  • ✅④農業機械の「修理」も1/3以内・上限25万円対象=買い替えずに直したい人に使えます

中古機械と修理まで対象にする制度は少ないので、費用を抑えたい人に向きます。
機械が壊れたとき、補助金は普通「買い替え」にしか出ません。
直して使い続ける選択肢に出るのは実務に近い設計です。

③ 市が「要件を満たさないこと」を条件にしている

倉吉市 定年帰農者等支援事業費補助金は、対象条件が「国・県の新規就農者支援制度の要件を満たさない」ことです。
年齢等で国に落ちた人の受け皿だと、要綱の側から明示しています。

これまで手伝い程度の農業だった人が、定年・早期退職を機に本格的に始めるケースを想定した制度で、10万円以上の農業用機械の購入・施設整備が1/2補助(1戸あたり上限30万円)。
農業技術の習得にかかる経費も1/2補助の対象です。

⚠️ 退職またはそれに準ずる日から3年以内であることが条件です。
⚠️軽トラックなど汎用性のあるもの、家畜、果樹苗は対象外。
⚠️事業実施後3年以内に、農産物の販売額を現状よりおおむね100万円以上増やす計画必要になります。

県の交付金2つも「国に落ちた人」向け

鳥取県 就農応援交付金は、国の「経営開始資金」の対象にならない方が使える県独自の制度です。
上限11万円/月を最長3年間で、 ✅運転資金にも機械・施設の整備費にも使えます。
⚠️認定新規就農者(青年等就農計画の認定)であることが前提で、 ⚠️国の経営開始資金の対象となる方は重複できません。

鳥取県 親元就農促進支援交付金10万円/月を最長2年間
3親等以内の親族の経営でも対象なり、親の経営に従事しながら研修を受ける形が前提です。
国の制度では対象になりにくい層をカバーしています。

⚠️県の制度は「市町村が乗らないと動かない」

鳥取は掲載17件のうち10件が県の制度=6割が県という構成です。
ただしその大半に共通の作りがあります。

制度補助率の内訳上限
畜産経営第三者継承1/2(県1/3+市町村1/6)1,200万円(5年合計)
就農条件整備1/2(県1/3+市町村1/6)800万円(5年合計)
令和の米増産緊急支援1/2(県1/3+市町村1/6)事業費 個人1,500万円
ともに目指す!担い手強化1/2(県1/3+市町村1/6)単年度 個人400万・法人800万
みんなでやらいや農業支援1/2(県1/3+市町村1/6)個人300万・法人等700万
スマート農業推進(実装支援)1/2(県1/3+市町村1/6)個人300万・法人等700万
中山間地域を支える水田農業1/2(県1/3+市町村1/6)スマート機械なら個人300万
鳥取型低コストハウス2/3(国1/3+県2/9+市町村1/9)経費の限度額あり

🔴つまり市町村が予算を組んでいないと動きません。県のページで見つけた制度でも、相談先はお住まいの市町村の農林担当課です。
⚠️市町村ごとに枠や締切が違うことがあるので、県の要領だけを見て判断しないでください。

金額が大きいのは畜産の「第三者継承」

⭐⭐鳥取県 畜産経営第三者継承事業県内最大です。
後継者のいない酪農家・肉用牛農家の経営を第三者として引き継ぐ新規就農者に、機械・施設整備やリース料の1/2最大1,200万円・5年間合計)。

  • 親族でなくてよい「第三者継承」です
  • ✅機械・車両の整備、牛舎・堆肥処理施設の補改修、継承する牛舎等のリース料まで対象
  • ✅就農時だけでなく就農から5年以内まで使えます

畜産はゼロから牛舎を建てると初期投資が桁違いになります。すでにある施設を引き継げれば、その山を越えずに始められる。
後継者不在の畜産農家とのマッチングは県・農業農村担い手育成機構に相談してください。

畜産以外なら鳥取県 新規就農者総合支援事業【就農条件整備事業】で、機械・施設・家畜の整備費が1/2 (経費上限は5年合計1,600万円=補助最大800万円 ⭐家畜導入ならさらに1,200万円上乗せ)。
就農した年だけでなく就農から5年以内まで使えるので、 5年かけて段階的に設備を揃えられます。
⚠️10万円以上の機械等が対象で、単年度の事業費30万円未満は対象外。
🔴耐用年数内に離農すると補助金の返還が必要です。

プランを自分で書くと通る2事業

鳥取県 ともに目指す!担い手強化支援事業自分で作った経営発展プランの達成に必要な経費幅広く1/2補助(単年度上限:個人400万円・法人800万円)。
事業期間が3年間なので複数年かけた投資計画が組めます。
⭐販売額1,500万円以上の経営体が3,000万円以上を目指す場合は「ジャンプアップタイプ」で上限が倍増(3年のうち1年)。
⚠️認定農業者の取組であることが要件で、⚠️他の補助事業で対応できる経費は対象外です。

みんなでやらいや農業支援事業(がんばる農家プラン事業)同じ「自分で作った営農プラン」型で、1/2・上限は個人300万/法人・任意組織700万。
研修・先進地視察などのソフト経費も対象なります。
認定農業者の取組・雇用増・省エネ(10%以上削減)などが評価されます。

品目や経費の縛りが少ないぶん、通るかどうかはプランの中身で決まります。何を買いたいかではなく、それで経営がどう変わるかを先に書く必要があります。

スマート農業は鳥取県 農業生産拡大に向けたスマート農業推進事業で、購入・リース導入費が1/2(県補助上限:個人300万円・法人等700万円)。
共同利用なら上限が2倍(個人600万円・法人等1,400万円)、農業用ドローンの操作講習も1人15万円まで補助されます。
⚠️スマホやPCで圃場管理・環境測定ができる「生産管理システム」の導入が要件です。

ハウスは鳥取型低コストハウスによる施設園芸等推進事業
県が独自開発した「鳥取型低コストハウス」国の産地生産基盤パワーアップ事業に県・市町村が上乗せして2/3補助する形です。
安いハウス × 高い補助率いう組み合わせで施設園芸を始めやすくしています。
⚠️国の事業の要件を満たす必要があり、⚠️県・地域再生協議会が指定する園芸品目の栽培が条件。

米は鳥取県 令和の米増産緊急支援事業で、主食用米の作付拡大に必要な機械・設備が1/2(事業費上限:個人1,500万円)。
⚠️令和7年度を基準に、令和9年度までに主食用米の作付面積を20%以上拡大する計画必須です。

智頭町(3件):自然栽培に特化した就農給付

智頭町 自然栽培普及促進事業費補助金自然栽培(無農薬・無肥料)で新たに就農するへの給付金です。
自然栽培に特化した就農給付は全国的にほぼ例がありません。

  • 1年目月5万円 → 2年目月3.5万円 → 3年目月2万円と段階的に減っていきます
  • ⭐対象は60歳未満
    国の経営開始資金(49歳以下)から外れる50代でも使えます
⚠️ 条件は細かく決まっています。
智頭町在住であること(移住してからの申請)、年間600時間以上または月平均50時間以上農作業、作付面積は穀類10a以上・野菜5a以上就農3年後に農業収入おおむね80万円を目指す就農計画を立てて実践すること、 ⚠️他の補助事業による支援を受けていないこと(国の資金との併用不可)。
⚠️就農期間が20日に満たない月は交付されません(月単位の実績報告が必要)。
💡団体向けに、自然栽培の講演会・研修・拠点整備・販売支援を上限50万円で補助する枠もあります。

智頭町 ホンモノの農産物づくり応援モデル事業補助金有機堆肥・有機肥料の購入費、低農薬技術の導入費1/2・上限3万円。
⚠️この枠は水稲お米)が対象外で、野菜・果樹などが対象です。
有機栽培米・特別栽培米には玄米1俵(60kg)あたり1,000円・上限3万円の販売促進助成が別にあります(⚠️有機認定農業者・特別栽培農産物認証事業者に限る)。
金額は小さいですが、認定や研修歴が不要で申請の手間が軽い制度です。

智頭町 スマート農業推進事業費補助金補助率8/10以内市町村の制度としてかなり高い水準ですが、 ⚠️対象はJA・JA生産部・農業生産組織で、個人では申請できません
⭐そして対象が「導入」ではなく「導入の検討」=機械の試験導入や研修会の費用に使えます(1事業実施主体あたり上限35万円)。
個人でスマート機械を買いたい場合は、所属する生産部会からの申請を検討するのが現実的な道筋になります。

境港市と鳥取市

境港市 新規就農者支援農地賃借料を就農から5年間・年20万円まで=最大100万円
移住する新規就農者には家賃・空き家修繕費等の支援もあります(金額は市に要確認)。
✅県・市共同の就農応援交付金などと併せて使えます

鳥取市 農産物等販路開拓支援事業費補助金は、自分で作った農産物とその加工品を売り込む経費が1/2・上限5万円(市主催マルシェに年10日以上出店する事業者は6万円)。
旅費・配送料・イベント出展料・印刷製本費まで幅広く対象で、交付対象者に「農業者」が単独で挙がっており、団体をつくらなくても申請できます

⚠️ 対象は「鳥取市外」で行う販路開拓です。
市内でのイベント出店・PRは対象外。
⚠️申請期限は例年1月末(令和8年度分は令和9年1月31日まで)で、年度末ぎりぎりでは間に合いません。

市外へ売りに行く費用は出ますが、行った先で継続的に注文を受ける仕組みは自分で用意することになります。イベントで名刺やチラシを渡しても、その場限りで終わることが多い。
次に注文できる場所を持っていると、出店の費用が度きりで終わりません。初期費用をかけずに始めるなら無料でネットショップを開設できるBASE[広告]のようなサービスもあります。
⚠️ただし補助の対象になるかは要綱と審査次第なので、費用を計画に載せるなら先に市へ確認してください。

鳥取で申請するときの注意点

  1. 🔴県の制度でも相談先は市町村。主要な8事業が「県1/3+市町村1/6」の共同負担型で、市町村が予算を組んでいないと動きません
    県の要領だけを見て判断しないでください
  2. 「認定がない」ことを理由に諦めない。県の中山間水田は認定"ではない"個人が対象、倉吉市は国県の要件を満たさないことが条件、湯梨浜町には「準認定」枠があります。
    国の制度から外れた方は国の補助金から落ちた人が使える県・市町村の制度あわせてどうぞ
  3. ⚠️併用できない組み合わせを先に確認する。県の就農応援交付金は国の経営開始資金と重複不可、智頭町の自然栽培給付も他の補助事業との併用不可、県の担い手強化は他の補助事業で対応できる経費が対象外です
  4. 🔴返還・継続の条件がある。県の就農条件整備は耐用年数内に離農すると返還倉吉市は3年以内に販売額を100万円以上増やす計画が必要、県の米増産は令和9年度までに作付を20%以上拡大する計画が必須です
  5. ⚠️プラン型の事業は「何を買うか」より「どう変わるか」。担い手強化とやらいや農業支援は自分で作ったプランの達成が対象なので、機械の見積より先に経営の見通しを書く必要があります
  6. ⚠️締切が年度末より早い制度がある。鳥取市の販路開拓は例年1月末が申請期限です

まとめ:鳥取は「認定がなくても」から探せる

  • 認定を持たず機械を入れたい=⭐⭐県の中山間水田認定"ではない"個人が対象・1/2)
  • 認定に届かない=⭐⭐湯梨浜町の「準認定」(就農奨励金30万/家賃月2万×24か月/⭐中古機械と修理)
  • 定年後に本格的に始める=⭐倉吉市(⭐国県の要件を満たさないことが条件・1/2・30万円)
  • 国の経営開始資金に落ちた=⭐県の就農応援交付金(月11万円×3年)
  • 親元で就農する=県の親元就農交付金(月10万円×2年・⭐3親等以内も可)
  • 畜産を継いで始める=⭐⭐県の第三者継承最大1,200万円
  • 5年かけて設備を揃える=県の就農条件整備(最大800万円・家畜なら上乗せ)
  • 自然栽培で始める=⭐智頭町(月5万→3.5万→2万・⭐60歳未満)
  • 有機の資材を買う=智頭町(1/2・3万円・⭐認定や研修歴が不要)
  • ハウスを建てる=⭐県の鳥取型低コストハウス(2/3)
  • 市外へ売りに行く=⭐鳥取市(1/2・⭐旅費や配送料も対象。
    ⚠️1月末締切)

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